「遙かよりくる飛行船」井辻朱美

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アスナが北海の島・ハイブラセイルを出て、新大陸の都市で働き始めて5年。ふと気がつくと、空には飛行船が浮かんでいました。その飛行船は神出鬼没。でも飛行船を見かけた日は、アスナにとって何かしらか良いことがあるのです。そんなある日、アスナの勤める会社にやって来たのは、ネヴィル・リーデンブロックという研究者。会社のビルの柱や壁には色々な化石が埋まっているため、それを見たいとやって来る人間が時々おり、この日もアスナが案内します。ネヴィルは2度目に来た時に、会社の床に生えているゼラニウムの植木鉢を見つけ、こういうのが見つかる場所は地層がおかしくなっているのだと言い出します。アスナは数日前にゴミ捨て場で拾ったゼラニウムの植木鉢のことを思い出して、ぎくりとするのですが...。

SFなのかファンタジーなのか、とっても不思議な物語でした。沢山の国から沢山の人々が訪れるため、地層が緩くモザイクのようになっていて、そのすきまに地球や滅びた生き物たちの夢の地層が忍び込み、地震や天変地異を起こすというプリオシン市が舞台。それに対して、アスナの出身の島は、ケルトを思わせる古い島。古い中でも古い島で、そこには古い家や血があり、結束力の固い共同体があり、伝統があり、人々は何代も変わらない暮らしを続けています。
故郷の島に重く立ち込めるしがらみを嫌い、そこから逃れたいと願いながらも、都会の薄っぺらな、あぶくのような生活にも満足できず、島を捨ててしまったら自分には何も残らないという虚無感に襲われるアスナ。生粋の島の人間ではないにも関わらず、島の人間になりきろうとしているアスナの恋人・ハリー。草原からやって来たシャーマンの孫娘・マドロン。正体は既に絶滅した翼竜「アンハングエラ」だというネヴィルは、夢の地球からやってきた惑星管理官。といった登場人物たちが、この街で出会い、自分自身として生き続けていくためにそれぞれにあがいています。まるで違う出自を持つ彼らを結びつけているのは「愛」。夢と現実が混在したような世界の中で、飛行船が象徴する「愛」が大きく暖かく包み込んでくれるような、とても不思議な雰囲気を持った物語でした。でも、もうちょっと読み込まないと、まともな感想が書けないなあ...。(理論社)


+既読の井辻朱美作品の感想+
「風街物語 完全版」井辻朱美
「エルガーノの歌」「パルメランの夢」井辻朱美
「幽霊屋敷のコトン」「トヴィウスの森の物語」井辻朱美
「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」井辻朱美
「遙かよりくる飛行船」井辻朱美
「ファンタジーの森から」「ファンタジーの魔法空間」井辻朱美
「夢の仕掛け 私のファンタジーめぐり」井辻朱美
「魔法のほうき」井辻朱美
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