「ラーマーヤナ」上下 ヴァールミーキ

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強大な力で多くの神々を奴隷にしてしまった魔王・ラーバナに立ち向かうために、至上の神・ビシヌ(ヴィシュヌ)は、奴隷とされてしまった神々を人間や猿に転生させることに。南インドのジャングルには、神々の生まれ変わりの猿や猩々が沢山生まれ、ビシヌ神自身は北インドのダサラタ王の長男・ラーマとして転生。しかしラーマが立派に成長して、ダサラタ王がラーマに王位を譲る決意を固めた時、それに嫉妬した第二王妃(継母)と召使女の陰謀で、ラーマは14年もの間王国を追放されることになってしまうのです。国を離れるラーマに従うのは、妻のシータと弟のラクシマナ。しかしそんなある日、シータが魔王・ラーバナに攫われてしまい...。

「マハーバーラタ」と並ぶ、インドの古典叙事詩。とうとうインドまで来てしまいましたー。この「ラーマーヤナ」はヴァールミーキの作と言われていますが、実際にはインドに伝わる民間伝承をヴァールミーキが紀元3世紀ごろにまとめたってことのようですね。ヒンドゥー教の神話の物語ですが、古くから東南アジアや中国、日本に伝わっていて、この物語に登場する猩々のハヌマーンは、「西遊記」の孫悟空のモデルとも言われているようです。確かに彼の活躍場面は、孫悟空の三面六臂の活躍ぶりを彷彿とさせるもの。

本来この物語には魔王・ラーバナを倒すという大きな目的があったはずだし、そのためにビシヌ神も転生したはずなんですが、人間や猿に転生した時に神々だった時の記憶を失ってしまったせいか、ラーバナ征伐がまるで偶然の出来事のようになってるのがおかしいです。ラーバナがシータを攫わなければ、ラーバナとの争いは起こらず、魔王の都に攻め込むこともなかったのでしょうか! 「ラーマーヤナ」の「ヤナ」は鏡で、要するに「ラーマの物語」ということだそうなので(おお、インドでも鏡は物語なのね)、ラーマの英雄譚ということで構わないんですが... まあ、ラーマに箔をつけるために、ビシヌ転生のエピソードが付け加えられたんでしょうしね。
このラーマに関してはそれほど魅力を感じないのですが、至上の神であったビシヌでも、人間に転生してしまうと、ただの我侭な男の子になってしまうのかーという辺りは可笑しかったです。

でも私が読んだこの本は、一見大人向けの新書版なんですが、中身は子供向けの易しい物語調なんです。どうやらかなり省略されているようで、読んでいて物足りない! でも東洋文庫版「ラーマーヤナ」は、訳者の方が亡くなって途中で中断しているようだし、他にはほとんどない様子。結局、現在はこの版しか入手できないみたいなんですよね。「ラーマーヤナ」がどういった物語なのかを知るにはいいんですが、やっぱり完訳が読みたかった。ああ、東洋文庫で続きが出てくれればいいのになあ。(レグルス文庫)


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Commentaires(5)

うわ~~~ラーマーヤナだぁ~!!!
ラーマーヤナは、バリのワヤンやケチャで魅せられてからざっくりとしか知らないのです。
気にはなっていたのですが、そのままに。
コチラの本は省略されているのですね。
完訳もの、私も読んでみたいです。

あ~それにしても、懐かしい~また行きたいです。
プランバナンあたりのラーマーヤナレリーフ、みてないんですよね。。。
http://forum.nifty.com/fworld/indonesia/candi/index.htm#320prambanan_rlf
ジョグジャの震災では、大丈夫だったのかしら・・ジャワ在住の友人に聞いてみなくてはです。

再び、picoです。
何だか、きになってしまって・・・(ほとんど、病気…笑)
こんなのみつけました。ご存知でしたでしょうか?
http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k30749648
こちらは、すでに売却済みのようですが、全集ものなので、図書館の所蔵品としてありそうですね。
でも、こちらも、未完なのかしら・・・

こちらの方のサイトもおもしろかったです!
http://www.geocities.jp/jayramayana/index.html

はーい、ラーマーヤナです!
いつか読みたいとずっと思ってたんだけど、これでようやく読める…
…と思ったら、子供用の抄訳でちょっとがっくりでした。
見かけは普通の中公新書か岩波新書のような感じなんですよー。
いかにも児童書的な外見だったら、心の準備もできてたでしょうに。
そうそう、バリ!! ケチャックダンスの題材はラーマーヤナですものね。
昔は集団催眠でお告げを聞いていたのが、20世紀になってから今の形になったんですよね。
大学の時に、インドネシアを長年研究されてる先生がいらして
何の気なしにその民俗学の授業を取ったら、すっかり面白くなっちゃって
実際にバリに行った時も、とても楽しかったです~。
でも私もラーマーヤナのレリーフは見てなくて… 見てみたいです。
地震では、プランバナンあたりはかなり被害があったようですね。
ボロブドゥールはなんとか無事だったようですが。
http://fworld.nifty.com/indonesia/2006/05/post_7473.html

そしてそして、河出世界文学大系のラーマーヤナ、知りませんでしたー!!
こんなのあったんだ。全集って、検索してもひっかからなかったりするので、探しにくいですね。
調べてみたら、英訳を再編集したものだけど良心的な訳、という意見が出てました。
全489ページ、二段組で字が小さくてぎっしりとも。(笑)
全訳かどうかは分からないんですが、このレグルス文庫版よりはずっと詳しいはず。
しかも、図書館サイトで調べてみたら、ありましたよ!
(河出世界文学大系全100巻揃っててびっくり)
これはぜひ読んでみようと思います。picoさん、ありがとう~♪

ラーマーヤナのサイトも面白そうですね。早速拝見してきます!

レグルス文庫のラーマーヤナ、十代の頃、読んだ覚えがあります。はるかなる過去。。

今、猿のことを少し調べてるんです。
京都の守り神は猿らしいのです。
ハヌマーン、ヒマラヤの雪男、孫悟空、柳田國男の「山人」、サルタヒコ…東アジアに広く分布する猿の伝説。
つながってるような、つながってないような。
そういうのを、ちょっと調べていて、もうすぐ記事にする予定です。

おおー、overQさんもこの本を読んでらっしゃいましたか。
overQさんが読んでらっしゃると聞くと、なんだか同じ本にも箔がつくような…(笑)
これで大筋は掴めたので、次は河出世界文学で詳しいのを読むつもりです~。

へええ、京都の守り神が猿とは知りませんでした。
そういえば、確か石川の方に猿神伝説とかありましたよね。
ラーマーヤナでのハヌマーンを見てると、人間に転生しても良かったのに
なんで敢えて猿とか猩々を選んだんだろう?ってすごく不思議なんです。
人間と近しい関係というだけでなく、何かふかーい意味があるのかなとも思うのですが…
色んな猿伝説がどんな風につながっていくのか、興味津々です。記事、楽しみにしてますね!

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