「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘

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新しい町に引っ越したオーリィは、すれ違う人が皆、「3」と1つ白く印刷された茶色い紙袋を持っているのに気づきます。それは近所のサンドイッチ屋の袋。アパートの大家の「なかなかおいしいわよ」の言葉に、ある日買ってみたオーリィは、その美味しさに驚き、それから毎日のようにそのサンドイッチ屋に通いつめ、とうとうそのサンドイッチ屋で働くことに。

のんびりとした主人公を取り囲む、安藤さんやその息子のリツくん、大家のマダム、濃い緑色のベレー帽をかぶった女性... 素敵な人たちがそれぞれに前を向いて進んでいて、それでいて全然あくせくしたりしていなくて、あくまでも自然体。そんな穏やかな空気が流れているのが気持ちの良い作品。彼らは彼ら自身の人生の主役ではあるんですが、主役の華やかさというよりは、脇役的な味わいを持った人々。それが古い日本映画に、ひたすら脇役として登場している「松原あおい」の姿に重なりますし、物語の最後にオーリィ君が作る、主役不在のスープにも重なります。それぞれに主張がありすぎないからこそ、お互いを引き立てあって醸し出した味わいは格別なんですねえ。登場するのは日本人ばかりなのに、パリの街角が思い浮かぶようなお洒落な雰囲気なのが素敵。(表紙のデザインもフランスのお料理本みたい!?) とても暖かくて懐かしい雰囲気で、美味しいスープのほんわかした湯気がとても良く似合います。
「3」のサンドイッチもとても美味しそうだし、オーリィ君のスープも美味しそう。食べてみたーい。そしてあのレシピも素敵ですねえ。ぜひ試してみたいです。あ、でもレシピだけ先に見ようとしちゃダメですよー。(暮らしの手帖社)


+既読の吉田篤弘作品の感想+
「百鼠」吉田篤弘
「78」「十字路のあるところ」吉田篤弘
「という、はなし」吉田篤弘
「空ばかり見ていた」吉田篤弘
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」吉田篤弘
「小さな男*静かな声」吉田篤弘
Livreに「フィンガーボウルの話のつづき」「つむじ風食堂の夜」「針がとぶ」の感想があります)

+既読のクラフト・エヴィング商會の感想+
「アナ・トレントの鞄」クラフト・エヴィング商會
「犬」「猫」クラフト・エヴィング商會プレゼンツ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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