「猫とともに去りぬ」ロダーリ

Catégories: / /

 [amazon]
ジャンニ・ロダーリは、イタリアの児童文学作家。子供の頃に岩波少年文庫で買ってもらった「チポリーノの冒険」が、ロダーリの作品なんですよね。まだ祖母の家に置いてあるので、近いうちに再読しよう... なんて思っていたら、この本が! ついついこちらを先に読んでしまいました。
一見童話風の物語ばかり16編。でも、このピリリと効いた辛口のスパイスは、子供向けというよりもむしろ大人向けなんでしょうね。昔話を一捻りしたり、奇想天外のアイディアを楽しませてくれる作品ばかり。私が気に入ったのは、アルジェンティーナ広場の鉄柵を乗り越えると猫になってしまう表題作「猫とともに去りぬ」や、シンデレラを一捻りした「ヴィーナスグリーンの瞳のミス・スペースユニバース」。その他にも、ヴェネツィアが水没してしまうと聞いた時、ヴェネツィアから逃げようとするのではなく、いっそのこと魚になって環境に適応してしまおうとする「ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのがいちばんだ」や、マカロニウェスタンかと思いきや、カウボーイが持ち歩くのは拳銃ではなくピアノだった... と意表を突いてくれる「ピアノ・ビルと消えたかかし」など、アイディアが面白い作品が色々と。先日読んだばかりのエウリピデスの悲劇「アルケスティス」(感想)も、一捻りされた「三人の女神が紡ぐのは誰の糸?」になっていて、面白かったです。ほんと、この時に運命の女神たちが紡いでるのは、誰の糸だったんでしょう?(笑)
あとがきを読むと、ロダーリはかなり政治色の強い人だったみたい。確かに「チポリーノの冒険」も、外側こそ楽しい冒険物語なんだけど、結構政治的な匂いが強くて、風刺的だった覚えがあるので、あとがきを読んで納得。野菜と果物の国に横暴なレモン大公がいて、チポリーノ少年のお父さんが無実の罪で捕らえられちゃう、なんて話だったんですよね。ちなみにチポリーノとはたまねぎのこと、と岩波少年文庫のあとがきにありました。(←おお、小学校の頃に読んだっきりなのに、結構覚えてるもんだ) その後、作品に直接的な政治色が出ることはなくなったらしく、この作品にもそういうのは感じなかったけど、風刺は相変わらずたっぷりです。

光文社古典新訳文庫は、活字離れをとめるために、本当に面白い、いつの時代にも変わらない「本物」の古典作品を、読みやすい新訳で提供するというのがメインコンセプトのライン。(公式サイト) この「猫とともに去りぬ」は今回初邦訳だそうなんですが、同時刊行には、ドストエフスキーやらトゥルゲーネフやらシェイクスピアやらケストナーやら、錚々たる面々が並んでます。
たとえばケストナーだと、私はもう高橋健二さんの訳しか読みたくないし、そういう意味で手に取らない作品もあると思うんですが、まだ読んでない古典や、随分前に読んだっきりの作品に触れるには、いい機会かもしれないですね。(光文社古典新訳文庫)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

| | commentaire(4) | trackback(2)

Trackbacks(2)

「猫とともに去りぬ」ロダーリ へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

 ジャンニ・ロダーリはイタリアの作家。これまでに児童文学の作家として割と多数の作品が紹介されているらしい。この「猫とともに去りぬ」は今回「光文社古典新訳文庫」の... » Lire la suite

『猫とともに去りぬ』 著:ジャンニ・ロダーリ魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家。ピアノを武器にするカウボーイ。ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人。捨... » Lire la suite

Commentaires(4)

これ、おもしろそうです!
猫はもちろん。
三女神は、アトロポス、クロトと、も一人が思いだせません。
糸をきる女神ですよね?
三女神、誰の糸を紡いでるのでしょう。。。きになります。

面白かったですよ~。
三女神の最後の1人は、ラケシスですね。
上からクロト、ラケシス、アトロポスだったんじゃないかと。
エウリピデスの悲劇の方も面白かったので、
もし未読なら、「アルケスティス」だけでも合わせてどうぞ♪
(1冊読むと分厚いけど、1作だけならすぐですし~)

はじめまして。
これは私もとても気に入った作品です。
勝手にTBしておきましたのでよろしくお願いします。
「光文社古典新訳文庫」自体いまどき珍しい、良い企画だと思います。今後期待したいと思います。

piaaさん、はじめまして。TBありがとうございます。
この作品集、なかなか良かったですよね。
で、「チポリーノの冒険」を再読してみたら、これがまた面白くて…!
ロダーリの他の作品も読んでみたくなりました。

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.