「変身物語」上下 オウィディウス

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ローマ時代の詩人・オウィディウスによるギリシャ・ローマ神話。そのキーワードは、「変身」。神々の怒りによって、あるいは哀れみによって、あるいは気まぐれによって、植物や動物に変えられてしまうエピソードが250ほど、次々に語り手を変えながら語られていきます。下巻の後半になると、トロイア戦争とその後の物語へ。

子供の頃愛読していたブルフィンチの「ギリシア・ローマ神話」に「変身物語」のエピソードがかなり取り入れられていたし、ホメーロスの2つの叙事詩や様々なギリシャ悲劇作品も下敷きになってるので、既に知っている部分も多かったんですが、「変身物語」という作品として通して読むのは、今回が初めて。ものすごい量のエピソードが、語り手を代えながらも途切れずに続けられていくのがすごいです。元々は詩の形で書かれた作品が、すっかり散文調になってるのは残念だったんですが、訳注を最小限にとどめるようにしたという訳文はいいですね。ただ、ゼウスがユピテル、ヘラがユノー、アプロディテがウェヌスみたいに、神々の名前がローマ神話名になっているのがちょっと分かりにくい...。ローマ時代の詩人のオウィディウスがローマ神話名、というかラテン語名を使うのは当然としても、日本人にとっては、やはりギリシャ神話名の方が馴染みが深いですよね。なんで「ゼウス」や「ヘラ」じゃあダメだったんでしょう。

ここに描かれているのは、相変わらず人間以上に人間臭い神々の姿。懲りもせず浮気を繰り返すユピテル、自分の夫よりも相手の女に憎しみをぶつけるユノー、気侭な恋を繰り返す男神たち、自分よりも美しかったり技能がすぐれている女に嫉妬する女神たち。変身物語といえば、アントニーヌス・リーベラーリスの「メタモルフォーシス」もそうなんですが、こちらは未読。こちらには載っていないエピソードもあるそうで、興味をそそります。でもリーベラーリスの作品に比べると、こちらの方が遙かに人間や神々の心情を細やかに描いているみたい。まあ、確かに相当ロマンティックではありますね。(笑) それだけに、文学だけでなく、その後の芸術全般に大きな影響を与えたというのも納得なんですが。
この中では、ピュラモスとティスベのエピソードがシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」にそっくりで、特に印象に残りました。そっかあ、シェイクスピアはここから題材を取ったのかあ。(岩波文庫)

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Commentaires(4)

 初めまして、マオと申します。叙事詩特集をお始めになったころにブログ村でお見かけしてからの日参読者です。
 オウィディウスの『変身物語』は以前から読んでみたかったのですが、四季さんの感想を拝読していっそう興味がわきました。今年の春にラテン語を少し習っていたこともあって、ローマ時代の文学に挑戦してみようかと思っていたところでしたし。わかりやすく紹介してくださって、ありがとうございました。
 ところでピュラモスとティスベのエピソードって、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』に出てくる劇中劇の話とおなじでしょうか? 隣り合った家に住む恋人たちが、塀の穴を通じて語り合うという話なのですけれど…。
 長々と失礼いたしました。またお邪魔させてくださいね。

マオさん、はじめまして。書き込みありがとうございます。
わあ、マオさんも叙事詩がお好きなのでしょうか。日参だなんて嬉しいです。ありがとうございます~。
まだまだ読みたい叙事詩はあるんですけど、なかなか入手が厳しくて続かなくて、
普通のファンタジー路線になりつつありますが…(笑)
わあ、ラテン語をやってらっしゃったんですか。すごいですね。それなら「変身物語」もぜひぜひ。

あ、そうです、ピュラモスとティスベは「夏の夜の夢」の劇中劇と同じだと思います。
穴を通じて話合うのも一緒ですし。もしかして名前も一緒だったでしょうか?
でも「夏の夜の夢」では、たしかかなり滑稽な演出でしたよね?
こちらの雰囲気としては「ロミオとジュリエット」に近いかと…
…と書きつつ、シェイクスピアを読んだのは相当前のことなので、うろ覚えなのですが。(^^;
3作比べて読むのも面白そうですね。

 こんにちは、四季さん。レスありがとうございます^^
 叙事詩は『イリアス』のほかは読んでいないのですけれど、しばらく興味をもって調べていたので思い入れのあるジャンル(?)です。とくに北欧やゲルマンのものは読んでみたいです。
 ラテン語は学校で一学期間習っただけなので、詩などを読める力はまったくないのですけれど…
 でも、練習問題に詩の一節が出てきたりしたので、気持だけは盛り上がっています。

 ピュラモスとティスベ、おっしゃるとおりドタバタ喜劇のような場面になっていましたね。99年の映画版はごらんになりましたか? あれのなかの劇中劇なんてほんとうに滑稽でおかしかったです。
 名前もピラマス(Pyramus)とシスビ(Thisbe)なのでいっしょですね。

マオさん、こんにちは~。
わあ、それはぜひ色々と読んでみてください。
「ニーベルンゲンの歌」とか、本当に面白いですし!
「エッダ」のシグルト伝説が元になってるはずなのに、展開がまた違っていて…
違うといえば、ワーグナーのオペラの方も違うんです。比べて読むと楽しいです(^^)。

映画は残念ながら観てないんです。面白かったんですねー。
調べてみたら、ミッシェル・ファイファーが出てるんですね。
全然詳しくないんですけど、結構好きなんです。観てみようかしら…
あ、名前一緒だったんですね。今度ちゃんとチェックしてみます。
教えて下さってありがとうございます(^^)。

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