「フィオリモンド姫の首かざり」ド・モーガン

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イギリスのヴィクトリア朝の作家、メアリ・ド・モーガンの童話集。職業作家ではなかったようなのですが、ウィリアム・モリスや画家のバーン=ジョーンズ、詩人のロゼッティといったラファエル前派の芸術家たちと家族ぐるみでつきあい、仲間内では話上手のレディとして人気があった人なのだそう。という私は、岩波少年文庫は大好きだったのに、この作家さんは全然知りませんでした... 迂闊。

一見昔ながらの童話集に見えるんですけど、いざ読んでみると、その内容はなかなかしたたか。意外と辛口でびっくり。特に表題作の「フィオリモンド姫の首かざり」がすごいです。これは、見かけはとても美しいながらも、実は邪悪なフィオリモンド姫が主人公。王様に「そろそろ結婚を」と言われた姫が、魔女の助けを借りて婚約者たちを1人ずつ宝石の珠にしてしまい、それを首かざりにしてしまうという物語。この本の表紙の絵は、フィオリモンド姫が婚約者たちの変身した宝石の連なる首かざりを、鏡でうっとり見入ってるところです。腰元のヨランダだけは姫の性悪さを知ってるんですが、他の人たちは皆、姫のあまりの美しさに心根も綺麗だと思い込んでいるんですよね。そういう話を読むと、大抵、邪悪な姫よりも健気な腰元に気持ちがいくんですが、この作品は違いました。この良心のかけらもないような姫の存在感がすごい。その邪悪っぷりが堪らなく魅力的。...って、そんなことでいいのかしら。(笑)
妻が黄金の竪琴に変えられてしまったのを知らずに、その竪琴を持って妻を探して諸国を歩き回る楽師の物語「さすらいのアラスモン」や、妖精に呪われて心を盗まれた姫の絵姿に一目惚れして、心を取り戻す旅に出る王子の物語「ジョアン姫のハート」なんかも、当たり前のように頑張ってハッピーエンドになる童話とは一味違ーう。それ以外の作品も、滑稽だったり哲学的だったり、なかなか幅も広いんですね。メアリ・ド・モーガン、気に入っちゃった。図書館にあと2冊あったし、それも借りてこようっと。(岩波少年文庫)


+既読のメアリ・ド・モーガン作品の感想+
「フィオリモンド姫の首かざり」ド・モーガン
「風の妖精たち」「針さしの物語」ド・モーガン

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Commentaires(4)

エントリ・タイトルの著者名を見てびっくり。
私の好きなラファエル前派の女流画家と同じ名前!
絵だけじゃなく本まで書いてたのかと思ったら
ファーストネームが違ってました。
(画家の方はイーヴリンでした)
それでも、こっちの彼女もラファエル前派との繋がりがあるんですね。
邪悪なお姫様かぁ。ふふっ、そそられます~♪
童話と言っても、良い子のための童話とは
趣きがすこぉし違ってそうなとこも興味津々です。

わー、それはきっと何かあるに違いない… と調べてみたら
どうもメアリのお兄さんのお嫁さんみたいですよ!>イーヴリン
メアリのお兄さんは工芸家なんですけど、絵も描く人で
次のエントリの「針さしの物語」の表紙の絵は、そのお兄さんの絵なんです。
名前がウィリアム・ド・モーガン。
で、↓のページを見ると、「William de Morgan と結婚」となってます。
http://art.pro.tok2.com/M/Morgan/Morgan.htm
こっちにもウィリアム・モリスの名前が出てくるし
イーヴリンはメアリより5歳年下なので、年代も合います~。
えへへ、調べながら、なんだかワクワクしちゃいました♪

お姫さまは、それほど積極的に悪いことをするわけじゃないんだけど
なんか邪悪な雰囲気がむんむんしてました。(笑)
絶版なので、図書館にあればぜひぜひ。

わぉ! メアリとイーヴリンは義理の姉妹だったんですね。
遠ーい親戚にはなってるのかなくらいに思ってたら、
こんなに近い関係だなんて。
メアリの童話も興味あるけど、ウィリアムの絵も見たい!
地元の図書館にあるみたいなので、借りてみますね~。
岩波少年文庫って、良作なのに絶版になってる作品多くないですか?
復刊してくれたら買うのにー。

ねね、意外と近くてびっくりですよね~。
ウィリアムの絵も素敵ですよ。イーヴリンとはまたタイプが違って。
で、メアリ・ド・モーガンの本は岩波少年文庫から3冊出てるんですが
どれも挿絵を描いてる人が違っていて、でもそれぞれに素敵なんですよ~。
雰囲気にぴったりです。ぜひ見てみてください。

ねね、ほんと絶版が多いですよね。>岩波少年文庫
でも新しい作品を出すより、復刊に力を入れてるみたいなので
そのうちまた出るんじゃないかなあって期待してるんです。
10月も「飛ぶ教室」が復刊でしたしね。(この作品を絶版にするなんて!)

今はジョージ・マクドナルドやこのメアリ・ド・モーガンみたいな
ちょっと古めのイギリスのファンタジーがもっと読みたいんです。
いいのないかしら~。

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