「影の谷物語」ロード・ダンセイニ

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スペインの黄金時代。自分の死期を悟ったアルゲント・アレスの領主は、自分自身で何かを勝ち取る力のない次男に土地を残し、長男のロドリゲスにはカスティーリャの古い長剣とマンドリンを遺すことに。父の葬儀を終えたロドリゲスは、剣を佩きマンドリンを背負うと、父の言葉に従って戦さを求めて旅に出ます。そして途中の宿屋で出会ったモラーノも、ドン・ロドリゲスに同行することに。

今はない月刊ペン社の妖精文庫に入っていた時の題名は、「影の谷年代記」。この妖精文庫というのが、当然のようにことごとく絶版なんですけど、気になる作品が多いんですよねえ。いくつかはちくま文庫などで復刊されていて、私も読んでるんですが、もっと(文庫で)出してくれないかなと思ってるシリーズ。
訳者あとがきに、この「影の谷物語」がセルバンテスの「ドン・キホーテ」を意識的にモデルにしているようだと書かれていたんですが、私もそれはすごく感じました。ロドリゲスはドン・キホーテだし、モラーノはサンチョパンサ、セラフィーナはドゥルシネーアといった役回り。ロドリゲスはドン・キホーテほど滑稽な人物ではないんですけどね。むしろ非常に真面目。着実にやるべきことを果たして、一番の望みを叶えますし。とは言っても、私は「ドン・キホーテ」をきちんと読んだことがないんですよね。読んでいたら、もっと色々と分かったんでしょうに、悔しいなあ。
ダンセイニらしく物語は淡々と進みます。主人公は一応ロドリゲスだと思うんですが、この作品ではモラーノがすごく魅力的。常にフライパンを大切に持ち歩いて、朝食になるとベーコンを焼くモラーノ。ロドリゲスがドン・アルデロンと戦っている時にとる行動なんて、思わず笑ってしまうほど。純朴で真っ直ぐな愛すべき田舎者です。 (ちくま文庫)


+既読のロード・ダンセイニ作品の感想+
「ぺガーナの神々」ロード・ダンセイニ
「魔法使いの弟子」ロード・ダンセイニ
「魔法の国の旅人」ロード・ダンセイニ
「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」ロード・ダンセイニ
「妖精族のむすめ」ロード・ダンセイニ
「エルフランドの王女」ロード・ダンセイニ
「影の谷物語」ロード・ダンセイニ
「時と神々の物語」「最後の夢の物語」ロード・ダンセイニ
「ダンセイニ戯曲集」ロード・ダンセイニ
「牧神の祝福」ロード・ダンセイニ

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Commentaires(2)

 こんにちは。
 とてもおもしろそうなお話ですね! いまちょうどスペイン黄金時代の剣客小説を読んでいるので、うれしい偶然です^^
 ダンセイニは短篇しか読んだことがないので、このあたりから長篇に取りかかってみようかと思います。でも、その前にまず『ドン・キホーテ』ですね。

 ところでモラーノという人、
>常にフライパンを大切に持ち歩いて、朝食になるとベーコンを焼く
ってなんだか『指輪物語』のサムみたいですね(笑)。

マオさん、こんにちは~。
ダンセイニならではの雰囲気がたっぷりでした。
あの雰囲気がお好きな方なら、きっと楽しめると思います。
「魔法使いの弟子」という作品が、この物語の後日譚とも言えそうなので
読まれる時はセットでどうぞ。
あ、でもダンセイニの長編の中で一押しなのは、「エルフランドの王女」です!
ぜひこちらを読んでみて頂きたいです。とても素敵なんですよ~。

そうそう、モラーノはほんとサムみたいでした。^^
主人にひたすら忠実なところもそっくりです♪

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