「アイの物語」山本弘

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「僕」がかつて見た中で最も美しいマシン、アイビスに出会ったのは、数世紀前ヒトが繁栄していた頃は「新宿」と呼ばれていた、今は無人の寂しい場所。「僕」はアイビスを攻撃しようとするのですが、逆に攻撃を受けて足を脱臼。見知らぬ建物に収容されて怪我の治療を受けることに。そこでアイビスは「僕」に向かって、1つずつ物語を語っていきます。

人間の数はごく少なくなり、意思を持ったロボットが支配する世界が舞台の物語。私にしては珍しくSFの作品なんですけど、これは頂き物なので...。(笑) 読む前は大丈夫かなとちょっとどきどきしてたんですけど、面白かったです~。
アイビスが「僕」に語る物語は全部で7つ。最初はどこかで聞いたような普通の話なんです。インターネットの仮想世界を舞台にした、いかにもありそうな話。でも1つずつ話が進むにつれて、中のAIはどんどん進化していくし、物語自体も深みを増していくような。最初は普通のSF短編集にちょっと外枠をくっつけて繋いでみましたって感じだったのに、最後まで読んでみると、バラバラだった短編同士が繋がっていくように感じられて、しかもおまけっぽかった外枠は、いつしかきちんとメインになっていました。

アイの見せるアンドロイドの姿は、ある意味人間の理想の姿。でも理想ではあっても、人間には決してなることのできない姿。人間が作り出したもののはずなのに、全然違うんです。人間の欠点を認識しつつも、何も言わずに見守る彼らの姿が、とても優しいんですよねえ。それなのに、自分たちの姿を投影し、ありもしないことを思い込み、勝手に疑心暗鬼に陥る人々。これを読んでしまうと、人間が衰退していくのも当然の結末に思えてきちゃう。でも、人間の欠点や愚かさを目の当たりにさせられつつも、どこか幸せな気分になれるのが不思議なところ。暖かい気持ちで読み終えることができました。熱心なSFファンには、これじゃあ物足りないかもしれないし、私自身、どこかもう少し掘り下げて欲しかった気もするんですけど... でもとても面白かったです。
それにしても、「クラートゥ・バラダ・ニクト」って、何なんだろう。どこから出てきた言葉なのかしら? 逆に読んでみても... 意味ないし。と思っていたら、「地球の静止する日」という映画に出てくる秘密の呪文だったんですね。なるほど~。(角川書店)


+既読の山本弘作品の感想+
「アイの物語」山本弘
Livreに「神は沈黙せず」の感想があります)

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