「ありえざる伝説」ウィリアム・ゴールディング他

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3編が収められたアンソロジー。ローマ皇帝の前に現れたのは、ギリシャ人発明家のパノクレス。彼は新発明を皇帝に説明し、実際にどんどん作り上げていくのだが... というウィリアム・ゴールディングの「特命使節」。目が覚めた「わたし」がいたのは、女性だけの世界。周囲の状況も自分が何者なのかも思い出せない「わたし」がパニックに陥る、ジョン・ウィンダムの「蟻に習いて」。少年城主の14歳の誕生日、煩雑な儀式にこれ以上耐えられないと感じた少年は城からの脱出を考え始め... というマーヴィン・ピークの「闇の中の少年」の3作。

いやあ、面白かったです。なんでこの3作の組み合わせになったのかはよく分かりませんが、元々アメリカでアンソロジーとして出版されていた本をそのまま訳して、ハヤカワ文庫FTから出したみたいです。副題は「ファンタジイ傑作集3」。1と2は子供向けのおとぎ話みたいな作品が多かったので、(感想)、3でいきなり大人向けになってびっくり。

最初の「特命使節」は、「蝿の王」で有名なウィリアム・ゴールディングの作品。とは言っても、私は「蝿の王」も他の作品も読んでないんですが...。ローマ時代に圧力鍋だの蒸気船だの大砲だのを考案してしまう発明家の話は、実際にはあり得ないと分かっていても面白いー。パノクレスが発明するのは、後世になれば確かに役に立つ物ばかりだし、皇帝自身もそれらの真価は分かってるんですけど、科学や技術の発展が人間の幸せに直結するとは限らないという話。
ジョン・ウィンダムも有名なSF作家だそうなんですが、私は名前を聞くのも初めて。男性が滅亡した未来の世界では、過去の歴史が微妙に歪んで伝わっていて、みんな女性だけの社会に満足しきってます。だから主人公が、男性の必要性や男性との生活の素晴らしさを説こうとしても、何も伝わらないし、理解もしてもらえません。そういう考えになったのは、男性にそう思い込まされていただけ、とあっさり片付けられちゃう。主人公の女性の歯痒さが伝わってくるんですが、同時に過去や現代の歴史が本当に自分が思ってる通りなのか、改めて考えさせられる作品。
「闇の少年」は、「ゴーメンガースト」の外伝とも原型とも言えそうな作品。ここに登場する少年城主は、名前は出てこないんですけど、きっとタイタスなのでしょう。城から脱出したタイタスが出会うのは、かつて人間だった山羊とハイエナ、そして彼らの主人である子羊。でも子羊といえば、キリスト教ではイエス・キリストにもなぞらえられるような存在なんですよね... きっとそういう前提があってこその話なんじゃないかと思います。この子羊が、限りなく邪悪な存在で、しかも甘美な声の持ち主というのが、何とも言えません...。(ハヤカワ文庫FT)

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Commentaires(4)

昔、この本を読んだことがあり、うろ覚えで探し、このサイトにたどりつきました。
「闇の少年」の作者、原題がわかりましたら教えていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。

はじめまして。ようこそです。^^
「闇の中の少年」の作者はマーヴィン・ピーク(Mervyn Laurence Peake)で
原題は"Boy in Darkness"です。これでお役に立てますでしょうか~?

ありがとうございます。
とても不思議な話だったのを覚えているのですが、なかなか、もう一度手にいれるのは困難のようです。なので、洋書か、どこか、ネットで読めないかなあと探してみようかと思ったのです。

いいえ、どういたしまして~。
そうですね、日本語版の入手は難しそうですけど、洋書なら手に入るのかも!
アマゾンの洋書のところにも短篇集がありましたし、探せばネットでも読めるのかもしれないですね。
なんとか無事に読めるといいですねー。

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