「魔性の犬」クエンティン・クリスプ

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徹底した人間嫌いの主人、エムズ卿には身寄りがないことから、いつか自分たちが遺産を相続をする可能性があるのではないかと淡い期待を抱き始めたデーヴィス夫婦。しかしエムズ卿の動物への偏愛ぶりを見ているうちに、もしや動物に全財産を遺すつもりなのではないかと不安になり、デーヴィス夫婦は屋敷にいる動物を1匹ずつ始末し始めます。そしてエムズ卿の死後。エムズ卿は、動物たちが生きている限りデーヴィス夫婦が屋敷に住むことを認めると遺書に書き残していたことが明らかになり、デーヴィス夫婦は唯一残った半シェパード犬の世話中心の生活を送るようになるのですが...。

いやー、ハヤカワ文庫FTも結構読みましたが、その中でもダントツで妙な話でした...。ファンタジーらしくない話はこれ以外にも時々ありますけど、なぜこの話がこのラインナップに入ってるのか理解できないぐらい。
原題は「Chog」で、これは「child」と「dog」の造語、文字通り犬児のことなんです。それも普通の犬の子じゃなくて、人間と犬の間にできた子。でもだからといって、そういう場面が赤裸々に描かれてるわけではなくて、かなり後になってから、そうだったんだということが分かる程度の婉曲な表現。直接的に書かれるというのも考えてしまうけど、ここまで婉曲に書かれてるというのも、実際起きたこととのギャップが激しすぎて何とも言えません...。こういうのをブラックユーモアって言うんでしょうか。読んでるだけで気が滅入りそうです。でも決してつまらないわけではなくて、逆に一旦読み始めたら、その展開からは目が離せないんですよね。

クエンティン・クリスプって、私は全然知らなかったんですけど、同性愛カミングアウトの先駆者としても有名な人なんだそうです。バージニア・ウルフ原作の映画化作品「オルランド」とか、イーサン・ホーク監督の「チェルシー・ホテル」、スティングの「イングリッシュマン・イン・ザ・ニューヨーク」のビデオクリップにも出演してるとか。いや、そういった部分は特に関係ないんですが...^^;(ハヤカワ文庫FT)

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魔性の犬クエンティン・クリスブ 望月 二郎 船木 裕  今回はイギリスの作家クエンティン・クリスプの『魔性の犬』(望月二郎・船木裕訳 ハヤカワ文庫FT)を紹介し... » Lire la suite

Commentaires(2)

これはすごい作品でしたね。
面白いことは面白いんだけど、ものすごく読後感が悪いですね。登場人物に対する作者の思い入れ(愛?)が全然といっていいほど感じられない、という作品も珍しいです。
残酷だったり、グロテスクだったりする行為とかも、意外と遠回しに描かれているあたり、この作者かなりテクニシャンでもあるようで、本当にクセのある感じです。
もう一作ぐらい読んでみたい作者ではありました。

kazuouさん、こんにちは。
これはほんと凄いですね。読み終えた時、一体これは何だったんだろう…?って思っちゃいました。
うん、確かにかなりのテクニシャンかも。
でも、なんで露骨に書かずに、あそこまで婉曲に書いたんでしょうね? 時代的なものもあるのでしょうか。
今の時代に書いたらまたちょっと違ってたのか… 今だったとしても同じように書くのか、その辺りがすごく気になりました。
他にはどんな作品を書いてるのかというのも気になりますねー。

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