「十一月の扉」高楼方子

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双眼鏡をのぞいた時に目に飛び込んできたのは、木立の間からのぞく、赤茶色の屋根の白い家。翌日、自転車でその家を見に行き、近くに素敵な文具屋まで見つけて浮き立つ爽子。しかしそんな時、父の突然の転勤の知らせが。爽子は中学2年生の2学期が終わるまでは今の学校に行きたいと、それまでの2ヶ月間をその白い家、十一月荘に下宿することになります。

これはまるでジブリの「耳をすませば」ですね! 丘の上の素敵な洋館に素敵な文房具屋、口は悪いけれどかっこいい少年、本が好きで、物語を書きたいと思っている少女、まさにあの映像を思い起こさせるような雰囲気です。でも、「耳をすませば」は好きなんだけど、こっちはイマイチだったかも... 最初はいい感じかと思ったんですけどねえ。
まず、爽子が中学2年生に見えないんですよね。嫌なことがあっても、冷静に自己分析をして理性的に乗り越えてしまう爽子は、どちらかといえば大人っぽい少女。それは全然構わないんですが、この言葉遣いって、一体いつの時代の中2? 高楼方子さん自身がこういう少女だったのかしら? 特に爽子の内面や心の声を描く文章に違和感です。言葉の選び方、間違ってませんか... それだけならまだしも、時々わざと子供っぽさを演出しようと、無理矢理はしゃがせているように感じられてしまったのが更にダメ。そして爽子が書く物語も同様。物語と爽子をめぐる現実が二重写しになっているところは、趣向として面白いと思うんですが、筆達者な中にわざと幼さや拙さを演出してるように見えてしまって、読むのがツラかった...。以前読んだ「時計坂の家」では、そんなこと感じなかったと思うんですけどねえ。いや、感じた部分もあったのかもしれないんですけど、それ以上にとても楽しめたのに。残念です。あ、こっちでも、十一月荘で爽子が出会う女性3人は素敵だったんですけどね。そして毎週英語を習いに来る耿介という少年が、すっかり天沢聖司に脳内変換されてて、気に入ってたんですけど...!(笑)
それにしても、この話はその後どうなるのかしら? 気になるなー。あ、物語の余韻に浸りたい方は、解説を読まない方がいいかもです...。(新潮文庫)


+既読の高楼方子作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「時計坂の家」の感想)
「十一月の扉」高楼方子

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十一月の扉 爽子は小さな町に住む中学3年生。いつも弟が買った双眼鏡で近所を眺めている。 その中で初めて見る大きな家を見つけた。 爽子は自転車を走らせてその... » Lire la suite

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四季さん、こんにちは。
本の紹介を読ませて頂きますと、ほんと「耳をすませば」ですね!
四季さんは、宮崎駿作品では、オリジナルストーリーものがお好きだと仰っていらしたこと思い出しました。僕の知り合いで「耳をすませば」の大ファンがいて、彼はとうとう作品の舞台となった京王線沿線の街(聖蹟桜ヶ丘)に引っ越してしたことを思い出してしまいました。
>すっかり天沢聖司に脳内変換されてて、気に入ってたんですけど…!(笑)
あはは、僕は読書好きの雫に四季さんを脳内変換してしまいました(笑)

kyokyomさん、こんにちは。
ほんと、「耳をすませば」でしたよ~。読めば読むほど脳内変換。(笑)
あ、でも私は文句を書いてしまいましたが、一般的にはとても評判の良い作品のようです… 
って、今さらフォローになってない?(笑)

ジブリは、実はあまり好きじゃないんですけどねー。「耳をすませば」は大好きです。
あ、そうだ、↓の「天沢聖司にツッコミを入れる」が面白いんですよー。
http://www.asahi-net.or.jp/~hn7y-mur/mimisuma/mimilink07.htm
舞台に引っ越してしまうほどのお友達には怒られるかもしれませんが。(笑)
わ、光栄です。>雫に脳内変換
私にも文才があれば良かったのになー。(笑)

四季さん、再びおじゃまします。
紹介して頂いたページ見てきましたー。あんな天沢聖司イヤ。でも面白くて笑えました。知り合いには秘密にしておきます(笑)
四季さん、ジブリ作品はあまりお好きではないのですね。なんとなく解ります。僕は十台の頃は、まったくもって無条件に宮崎作品が好きだったのですが、歳をとるにつれ、それほど熱中しなくなりました。もっと面白いものが世の中にはあるんだなってことを知り始めたからかもしれないです。
四季さんがジブリ作品をそれほどお好きではないのは、たくさんの面白い小説を知っていらっしゃるからじゃないかなあ、などと考えてしまいました。

kyokyomさん、おはようございます。
面白かったでしょー。なんで大阪弁なんだ!ですけど、よく出来てますよね。(笑)

>僕は十台の頃は、まったくもって無条件に宮崎作品が好き
やっぱりそういう人の方が、一般的なんでしょうね。
私はなんだか全然興味が湧かなくて… 母が好きなので、付き合いで結構見てるんですけどね。
多分、元々アニメに興味がなかったのが大きいんだろうと思います…
いや、アニメは見ないけどジブリは見るって人も多そうなので、それだけではないんでしょうけど。
本を読んでる時の映像喚起力が好きなので、
映像そのものを見せられてしまうのには、あまり魅力を感じないのかもしれないです。

あとは、ジブリのあの説教臭さですねー。
「耳をすませば」は、説教臭が薄いから好き。ドリームと郷愁が堪らんです。(笑)

こんにちは。TBさせていただきました。
ああ~確かに「耳をすませば」ですね^^
好きなんです~そちらも。
この作品は高校生のときに最初は読みました。
とっても素敵な作品だなぁと思った記憶はあります。
確かに爽子は大人ですよね^^
私は違和感なく読んでしまいましたが。

実は、先月に高楼先生の講演会が道内の高校でありまして。
お話を聞いたんです^^ちょっと自慢です。
サインをもらって握手もしました^^
とても素敵な方でした。
お話も面白かったんです。
エッセイは良いですよ^^私も全部は読んでいませんが^^;

苗坊さん、こんにちは。TBありがとうございます。
私も「耳をすませば」は大好きなんですよ。いいですよねー。
わあ、苗坊さんは高校の時に読まれたのですか。
ええと「大人っぽい」というよりも、今どきの中学生に思えなかったのが
今回ひっかかったポイントなんです。どうも30~40年前の中2に思えてしまって。
今本が手元にないので、ここがこう、と具体的に書けないのが残念なんですが。
でも高校生の頃の苗坊さんが違和感を感じなかったということは
私の考えすぎかも…?(笑)

わあ、素敵ですね。講演会。しかも握手とサインまで♪
私もお話を聞いてみたいです。
あ、高楼方子さんはエッセイも書かれてるんですか。
私はまだこれが高楼作品の2冊目なんです。
こういう方のエッセイは楽しそう。ぜひ読んでみたいです。^^

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