「雷の季節の終わりに」恒川光太郎

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地図にも一般の書物にもその名を記されていない、海辺の漁村・穏。そこには春夏秋冬の他に、冬が終わるとやってくる神季、あるいは雷季と呼ばれる、その名の通り雷の季節がありました。雷の季節には鬼が穏のあちらこちらを歩き回り、人を攫っていくと言われ、穏の町に暮らす賢也もまた、ある雷季にただ1人の肉親だった姉を失っていたのです。そんなある日、賢也は穏の広場で偶然出会った老女がきっかけで、自分が「風わいわい」という鳥のようなものにとり憑かれているのを知ることに。

以前読んだ「夜市」「風の古道」(感想)がものすごーく良かった恒川光太郎さんの2冊目。この作品の舞台となる穏は、見かけは普通の田舎の村。どこか懐かしく、でも独特の幻想的な雰囲気を持っていて、「風の古道」と繋がっているように感じさせる世界です。現実の世界の延長線上にありながら、でも普通にしていたらどうやっても手が届かないような、そんな感じ。謎めいた風わいわいの存在も独特で、賢也視点の前半はとても面白かったんですが...。
問題は後半。それまでずっと賢也視点で話が進んでたので、突然茜の視点が登場して戸惑ったし、その2つの視点がどんな風に繋がるのか期待感を煽るというよりは、話を失速させてしまったような印象。タダムネキに関しても唐突だったし...。終盤は、あれよあれよという間に、違う方向に行ってしまいました。なんでこんな風になっちゃったんだろう? なんだか、この物語としてあるべきラストではなく、作者が頭の中で作っておいたラストに向かって無理矢理展開させて、強引に終わらせてしまったような、そんな感じがしました。独特の幻想的な情景はとても良かっただけに、とても残念...。次の作品に期待します。(角川書店)


+既読の恒川光太郎作品の感想+
「夜市」恒川光太郎
「雷の季節の終わりに」恒川光太郎
「秋の牢獄」恒川光太郎

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◆ 『雷の季節の終わりに』  恒川光太郎 読了 すごい世界だった。ひきこまれて一気に読了。 でもでも・・・なんか、、、恩田陸っぽくない?(笑)『常野物... » Lire la suite

デビュー作『夜市』がなかなかだったので手に取りました。この著者の初長編になるのでしょうか。 雷の季節の終わりに恒川 光太郎角川書店 2... » Lire la suite

Commentaires(2)

四季さん、こんばんは~♪
TB&コメント、どうも有り難うございます。(*^。^*)
四季さんが、「後半失速」・・・と書かれていて、私が感じたのもそうだったんだ、と再確認させてもらった感じです。

茜の話は、私も読んでいて、それまでの世界観と相容れない違和感を強く感じました。
最後、茜が○○というのも「ふ~ん」って感じであまり大きな感動も無かったですし。

風の古道のように心を揺さぶられる、そんな小説をまた読んでみたいなぁと、この本を閉じた時、クールに思ってしまいました。

ワルツさん、こんにちは~。
やっぱり「夜市」「風の古道」とはちょっと違いますよね。
この作品ももっと短ければ、もっと違ってたのかしら? なんて考えてしまいます。
期待しすぎは禁物と分かってはいるんですが、プロローグがとても良かったので… うーん。
また「風の古道」のような作品が読みたいですね!

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