「心地よく秘密めいたところ」ピーター・S・ビーグル

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ニューヨークの共同墓地・ヨークチェスターに19年もの間隠れ住んでいるジョナサン・レベック。ある時ぐでんぐでんに酔っ払ってここに迷い込んで以来、鴉に1日2回の食事を運んでもらいながら、ここに暮らしているのです。幽霊を見ることができるレベックは、死者の話し相手となって相手の気持ちを落ち着かせたり、一緒にチェスをしたり、本を朗読する毎日。そんなある日、新たにマイケル・モーガンという男が墓地に埋葬されます。

以前「最後のユニコーン」を読んだ時に(感想)、ちょろいもさんがこの「心地よく秘密めいたところ」もいいと伺って、読もうと思っていた本。もっと早く読むつもりだったのに、ずいぶん遅くなってしまいましたー。(それでも1年は経ってないからまだマシなのだ)
まるで神話の世界のような「最後のユニコーン」とは違って、とても現実に近い物語なのだけど、独特の雰囲気は共通してますね。あくまでも静か。墓地が舞台の物語なので当然といえば当然なんですが、本当に静かに淡々と進んでいきます。途中、マイケルの死は毒殺なのか自殺なのかといった興味はあるんですが、基本的にはそれほど起伏のない物語。ただ、舞台が墓地で、死と隣り合わせだけに、とても登場人物たちの言葉に哲学的な雰囲気があるんですよね。レベック氏がマイケルに語る「死」というもの、静かに記憶がなくなっていくそのイメージが素敵です。人生から逃げ出したレベック氏や、夫を失って以来時間が止まっているようなクラッパー夫人にとって、ここはまさに「心地よく秘密めいたところ」。ここにいることは、人生における執行猶予期間なんでしょうね。人生半ばで死んでしまい、死んだ自分と向き合う時間を持つことになったマイケルやローラにとっても同様。まさにそれぞれにとっての「死」と「再生」の物語なのでしょう。
そしてこの作品で印象に残るのが鴉! ボロニヤ・ソーセージやローストビーフ・サンドイッチの重さによろけ、時にはトラックの荷台で休みながらも、レベック氏に食べ物を届け続け、皮肉な言葉を吐き続ける鴉の姿がとても微笑ましくて良かったです♪ こんな話を読んだら、鴉に対するイメージが変わっちゃうな。(そういえば、ジョージ・マクドナルドの「リリス」でも鴉が印象的だったなあ)

この作品は、ピーター・S・ビーグルが19歳の時に書いたものだと知ってびっくり。19歳でこういう作品が書けるものなんですか! てっきり、既に人生を重ねて老成した時期の作品かと... 凄いなあ。良かったです。(創元推理文庫)


+既読のピーター・S・ビーグル作品の感想+
「最後のユニコーン」ピーター・S・ビーグル
「心地よく秘密めいたところ」ピーター・S・ビーグル

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