「ボートの三人男」ジェローム・K・ジェローム

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近頃どうも身体の具合が良くないという話をしていた、ジョージとハリスと「ぼく」の3人。ハリスとジョージは時々眩暈を感じ、自分が何をしているか判らないことがあると言い、「ぼく」は明らかに肝臓の調子が良くないのです。ハリスは、自分たちには休息が必要だと言い、ジョージがそれなら河へ行こうと言い、3人と犬のモンモランシーは、テムズ川をボートで遡る計画を立てます。

2週間ほどのボート旅行の顛末が面白可笑しく描き出されていくユーモアたっぷりの作品。でも表向きには、あくまでも真面目な雰囲気なんですよね。真面目くさった調子で妙なことを言い、真面目に文句を言っているのが逆に可笑しいといった感じのユーモア。「ぼく」が、薬の広告やそういった本を読んで、全ての症状が自分に当てはまるような気になってしまう部分とか、お湯を沸かす時に、「こっちが熱心に待っていることが、湯沸しに判ると、絶対に沸騰しようとしないものなのだ」という部分に、にやりとさせられる人は多いのではないでしょうかー。その他にもイギリス人らしいユーモアが満載。これが1889年に書かれたというのだからびっくり。100年以上経ってるのに、全然古くないんですね。
でもテムズ川流域や登場する人々の情景は、古き良きイギリスといった感じ。読んでいたら、ケネス・グレーアムの「たのしい川べ」を思い出しました。やっぱりイギリスの人は川遊びが好きなんでしょうね。確かルイス・キャロルが「不思議の国のアリス」を作ったのも、アリスのモデルになった少女たちと一緒に川遊びに行った時のことだし、川遊びの場面が出てくる物語も多いような。...と言いつつ、今咄嗟に思い出したのは、あとは「くまのプーさん」ぐらいなんですが。

ただ、今の私は、いかにもイギリスらしいユーモアの気分ではなかったんですよね... それが残念。もっと違う時に読めば良かった。やっぱり読む時期は重要だー。(中公文庫)

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Commentaires(2)

イギリスの川遊び。とても深みのある主題です!
riverでもstreamでもなくて、brook。
「三人男」はテムズなのでリバーですが、英国の川遊びの「川」は、やっぱりブルックのような気がします。

ブルック。どんより、まったり、田園を流れる小川。
フライフィッシングなども、本来はそんな場所で生まれたもので、かなりフォーマルに近い服装で釣るので、その様子じたいが、ユーモラス。
釣りの機能としては合理的じゃなくて、不思議なまどろっこしさがある。なんというか、ホビットな感じ。

ジェローム・K・ジェロームの時代は、英国、零落しつつも、階級によっては、まだまだ未来がゆっくりした下り坂で、川下りのように楽しめたのかもしれません。
20世紀になると、もっと切羽詰って、ユーモアは狂気の激流に置き換えられていくけどw
ルイス・キャロルも、20世紀に生きたら、小児性愛を全面に押し出してたかも(;・∀・)

そういえば、川がブルックなら、池や湖もポンドやロッホ。どんよりと、濃い色の水たまり。
英国の風景が思い浮かびます。ケルトや古い時代の土木作業の名残りもただよう。
ファンタジーは英国で発祥するけど、大英帝国の達成した「発展・進歩・拡大」といった近代的な「指輪」を捨てて、ブルックやポンド、古来の場所へ帰ろうとする運動の一環だった…とも言えそう。

「三人男」は観光ガイド的なものとして書かれたそうですが、今でも同地はほとんど風景や建物が変わらないんだとか。
ある意味、英国が停滞したことの現われか(笑)
それは、でも、かならずしも、悪いことではないはず。

あと、「三人男」は、どこか死に甘く魅了されてく雰囲気があって、それが隠し味かも。

overQさん、こんにちはー。
やっぱりイギリスといえば、川遊びですか。
riverでもstreamでもなくて、brook。なるほど。
以前イギリスに行った時、山登りとかハイキングとかピクニックには何度か連れて行かれたんですが
川遊びは全然しなかったんですよね。(適当な川がなかったのかも。そういえば川を見た覚えがなくて…)
だから今ひとつ実感として湧いてなかったんですが
イギリスの文学を見ると、川遊びの場面が多いですものね。
それも子供の遊びじゃなくて、きちんとした階級の大人が大真面目にやってる。
この「三人男」もそうですね。

釣りについてはあまり知らないのですが、なんとフライフィッシングもフォーマルに近い服装でしていたのですか!
さすが亜熱帯や熱帯の植民地に行っても、食事をする時は正装していたイギリス人ですね~。(笑)

この時代の大英帝国の斜陽に、川くだりというイメージはとてもぴったりきますね。
世界的な価値は見る見るうちに下がっているのだけど、でもまだまだ緩やか。

わあ、「三人男」の風景や建物は、その頃と変わらないんですか。分かるような気がするなあ。
英国自体はすっかり世界の中心から離れてしまうわけですけど
ゆるやかな流れになって、その後停滞したことは、英国にとって幸せなことだったような気がしますね。
まあ、イギリス人の気質も関係してるんでしょうけど。日本人もそういう気質を持っていればよかったのに。
でもだからこそ、イギリスはファンタジーの発祥の地ともなったのかもしれないですね。
日本が舞台のファンタジーにどこか違和感を覚えることが結構あるのは(もちろん全部じゃないです)
その辺りも関係してるのかもしれないですね。

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