「中庭の出来事」恩田陸

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中庭が隠れ家のようなカフェ・レストランになっている小さな古いホテル。そこを訪れた「女」は、待っていた「サングラスの女」と共にワインを飲み、鴨とチコリのサラダを食べながら、以前この同じ中庭で開かれた小さなティー・パーティのことを話し始めます。それは脚本家・神谷華晴のために開かれたパーティの話。神谷は大の紅茶党で、その日も貰ったばかりのカップを片手に客の間を泳ぎ回り、ひっきりなしに紅茶を飲んでいました。しかしその手からは突然カップが落ちて...。カップからは毒が検出されます。誰も紅茶に毒を入れた形跡も目撃証言もなく、警察は自殺と断定。それでも「女」は真相に気付いたのです。そしてその時、「サングラスの女」の口からは、突然糸のような血の筋が流れ、その身体は崩れ落ちて...。

いやあ、面白かった。演劇という意味では「チョコレート・コスモス」(感想)の延長線上にあるような作品なんですけど、雰囲気としては、むしろ「夏の名残りの薔薇」(感想)でしょうか。演劇ミステリですね。「チョコレート・コスモス」ほどの興奮はなかったんですが、こういうのもすごく好き~。
でもとても面白かったのだけど、とても分かりづらくもありました。同じ場面、同じ台詞が何度も繰り返し繰り返し、少しずつ形を変えながら登場、何層にも入れ子になっているのです。ゆっくり読んではいたんだけど... 一体どこからどこまでが現実で、どこからが芝居で、どこからが芝居の中で演じられている芝居なのやら、まるで不思議のアリスの国に迷い込んだみたい。内側だと思っていたものが、気がつけば外側になっていて、外側だと思っていたものは、いつの間にか内側になり、現実と虚構が螺旋階段のように絡み合ってグルグル上っていくような...。まだ掴みきれてない部分があるので、これはもう一回、今度はメモを取りながら読んだ方がよさそうです。

そしてこの作品には、神谷という脚本家が登場するんですが、これは...? 芝居の演出で芹澤という名前もちらっと出てきて、こちらは「チョコレート・コスモス」で登場したあの人と同一人物だと思うんですが、神谷の方はどうなんでしょう? 「チョコレート・コスモス」の神谷とは年齢も食い違いそうだし、別人のような気もするのだけど...? 「チョコレート・コスモス」の本が手元にないので、細かい部分が確かめられませんー。(新潮社)


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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Commentaires(12)

お久しぶりです。
私も最近読みました(*^▽^*)
どこまでが現実なのか、どこまでがお芝居なのか
混乱しますよね。でも、私好みの作品でした♪
何度も読まないと理解できないところも。
いや、何度読んでも理解できないかも(^^;
読むたびに違う表情が見える作品です。
「神谷」、私も気になっています・・・。

ゆこりんさん、こんにちは!
この作品には、ほんと混乱させられましたよー。
私はまだ1回しか読んでないのですが、この分じゃあ
何度読み返しても、分からないままの部分が残ってしまいそうです。
でももしかしたら、そこまで突き詰めて考える必要はないのかもしれないですね。
こうやって翻弄されてるのが、すごく楽しかったですもん。
読んでいるのが、ほんと楽しかったです。^^

「神谷」、どうなんでしょうね?
でも往年の女優さんのエピソードなんかを読んでいると
あっちの「神谷」よりも随分年上のような気がしますが…。

四季さん、こんにちは^^

今、この本を読んでいる真っ最中なんですよ。
で、私も『神谷』が
『チョコレート・コスモス』の神谷なのか
よくわからなくて悩んでます(笑)
恩田さんらしい不思議な作品ですね。
どんな結末を迎えるのか楽しみです^^

ご無沙汰してます。
読みましたー。幻惑されましたー。こういう恩田さんが好きな私ってどうよってちょっと思いました・・・。
「神谷」って「チョコレートコスモス」にも?彼がリアル人物だとしたら私のこの本の理解もまだまだということに・・・・。今混乱中です。
も一回メモとって再読したいところですが、しばらく疲れてできません。(笑)

>かなめさん
わあ、丁度読んでらっしゃる真っ最中とは。
もう読み終えられたかしら?
かなめさんの感想を拝見するのが、とっても楽しみです~。

神谷、どうなんでしょうね? あっちの神谷はもっと若くありませんでした?
でも、思わせぶりですよね。気になるーっ。(笑)

>ざれこさん
こんにちは~。こちらこそご無沙汰してます。
「ほんぶろ」では、とてもお世話になったそうで、ありがとうございました。
…って、こんなところに書いていてゴメンナサイ。
「中庭の出来事」、面白かったですね!!
私もすっかり幻惑されましたよ。いや、私もこういう恩田さんが好きですよー。
最近すっかりミステリから気持ちが離れてるのに、それでもやっぱり恩田さんの作品が楽しめるのは
こういうミステリの枠に収まりきらない作風が好きなんだと思います。^^
あ、私もメモを片手に再読したいと思いつつ、ちょっと休憩中…
時間が経つうちに、今の理解でいいような気がしてきました。軟弱者です。(笑)

「神谷」は神谷をモデルとした劇中人物と考えればどうでしょう?
この本を読んだ後、「ガラスの仮面」を再読してしまいました。
文庫で23巻は疲れました。(^^;)

ああーそうか、劇中人物ですね。
となると、芹澤に関してもそうだということですよね。
「ガラスの仮面」、懐かしいです~。
私が初めて通して読んだのは、高校の時の試験期間中でした…
次の日に返さなくちゃいけなくて、一晩で読んだ覚えが…^^;

こんばんは♪
翻弄されるのが嬉しい私です(笑)
こういう作品って、恩田さん独特の世界なので、これからもどんどん書いていってほしいなぁと思っています。
四季さんは「不思議の国のアリス」にたとえておられますが、私は「鏡の国のアリス」のラストを思い出しました。

EKKOさん、こんにちは~。
ほんと、翻弄されるのが嬉しくなっちゃうような作品ですね。
他の作家さんだと、そこまで思えるかどうか分からないですが、恩田さんなら!って感じです。(笑)
あ、言われてみると「鏡の国」の方が的確かも。なるほどぉ!

こんにちは^^
TBさせていただきました。
いや~難しかったですねぇ。
多分、全部は理解できてないですね^^;
途中から戯曲かリアルな世界かわからなくなりましたが・・・。
良かったです。
こういう作品を、恩田さんにはもっと書いていただきたいですね。

神谷さんと芹沢さんは別人なんでしょうかね。
私はてっきり同一人物だと思ってました^^
どうなんでしょう。。。

苗坊さん、こんにちは~。
ほんと面白かったですよね。
恩田さんにいいようにあしらわれてしまったような気が…
でもこういう作品は大好きなので、読めて良かったです。
毎回これだと大変だと思いますが。(笑)

>私はてっきり同一人物だと思ってました^^
えっ、本当ですか!
いや、私はもう別人だとばかり… や、思い込みで読んでたせいかも…
きゃー、ほんとどうなんでしょう! 気になりますね。

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