「哀愁的東京」重松清

Catégories: /

 [amazon]
学生時代から夢だった絵本作家になり、「パパといっしょに」という作品で賞を取るものの、それから2年もの間絵本を描けないでいるまま、フリーライターの仕事がすっかり本業となってしまっている、40歳の新藤宏が主人公の連作短編集。
せっかくいい絵本を出した作家なのに、物語が始まった時は既に絵本を描く気もなく、自分のことを「絵本作家」ではなく「元絵本作家」だと自嘲的に考えている進藤。自分の作品を知ってる人間がいると、逆に尻込みしてしまうような覇気のなさ。最初はなんでそんなことになったのか分からないのですが、短編が進むに連れて徐々に分かってくるという構成。

昨日と同じくお初の作家さん。そして同じく頂き物です。ありがとうございます。
評判はとてもいいのに、なぜこれまで重松作品を読んでなかったかといえば、なぜか読むのがツラそうな感じをひしひしと感じていたから。要するに、読まず嫌いですね。でもこれは読みやすかった。「ツラそう」は単なる私の思い込みで、他の作品も同じように読みやすいのかな? いや、まだ油断はできないぞ、なんて思いつつ。(笑)

各章でそれぞれ新しい人物が出てきて、それは大抵進藤がフリーライターとして会う相手なんですけど、その人物がそれぞれに一癖も二癖もあって、しかも既に絶頂期は過ぎてしまったような人物ばかりなんですよね。特に「マジックミラーの国のアリス」の田上幸司や「鋼のように、ガラスの如く」のヒロミ、「虹の見つけ方」の新井裕介は、それぞれの世界でかつて頂点を極めた人々。いかにもモデルがいそうで、そういうのを考えるのも楽しいところ。...それにしても、絵本を作り出すというのは、他の物作りの作業以上に、周囲の物や人間に関心がないとできない作業なんじゃないかと思いますね。色んな出会いによって、進藤は少しずつ刺激を受け、同時にフリーライターとして流されている自分に向かい合うことになります。そして最後は絵本を描けそうな予感なんですが... あれがどんな絵本になるんだろう? 進藤はどんな風に仕上げるつもりなんだろう? すごく不思議。そこんとこがちょっと覗いてみたいなあ。(角川文庫)

| | commentaire(2) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「哀愁的東京」重松清 へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

Commentaires(2)

四季さん、こんばんは。
「ツラそう」な重松作品ですか~。笑
私も全部読んでいるわけではないのですが、表紙も恐ろしげな『疾走』を除けば、ツラくはないと思います(ただし、『疾走』は滅茶苦茶辛いです・・・)。
重松作品は、涙も出るし、ちょっと苦い時もあるけれど、基本は明るいように思います(しつこいけど、これまた『疾走』は除きます。笑)。

つなさん、こんにちは~。
あ、普通のはツラくないですか。(笑)
実は以前にも一度読もうとしたことがあったんですが(他の本です)
実際に手に取っても、本に呼ばれてる時とは逆の、どこか馴染まない感じがあってやめちゃったんです。
今回の「哀愁的東京」は、そんな感じがなくて、するっと読めたんですけどね。
「疾走」ってアレですよね、すごい表紙の…
あれは表紙を見るだけでキツいので、きっと自分からは手に取れないと思います。(笑)

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.