「風町通信」竹下文子

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風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本。「その町へ行くのに 特別な切符や旅券はいらない」という、風町を舞台にした掌編集です。
地球上のどこかに存在しているはず... という井辻朱美さんの「風街」のように、この風町もどこかにきっとあるんだろうな...と、自分も行きたくなってしまうような場所。柏葉幸子さんの「霧のむこうのふしぎな町」で、あの町を必要としている人は、どこからでも一歩踏み出せば行けてしまうように、この本を読む人がたとえどこにいても、風町はそのすぐ隣に存在していそう。

私が特に気に入ったのは、坂の上の閑静なお屋敷町に迷い込んだ時に、偶然結婚式に参会することになった「婚礼」、屋上で大判のスケッチブックを広げ、「大きな青い花びらを押し花にするような具合に」空の色をぴったりと挟み込む「青い空」。アジサイ色の傘を買う「雨が待ってる」。
魔女のような黒い服で夜の散歩をする「月の光」や、月の香りの中で綱渡りをする「星を拾う」のように、印象的な夜が描かれた物語もあるけど、どちらかといえば昼間のイメージ。そして町の名前そのままに「風」も印象的ではあるんですけど、読んでいて印象が強かったのはむしろ水でした。例えば、喫茶店の床を川がいく筋も流れていたり... 夜の間にバケツの水の中に落ちた星くらげ、青一色の部屋で人魚のように泳ぐ伯母さん、アジサイの傘を差している間にすっぽりと水に沈んでしまう街。ライムソーダ色の窓ガラスを通してみる町並みも、水の中の世界のよう。
全体的に、夢の中の話を集めたようなソフトフォーカス感。字が大きめだし、お話も童話風なので、分類としては児童書なのかもしれませんが、これはむしろ大人向けの本のような気がします。飯田和好さんのイラストもこの雰囲気にぴったり。(偕成社)


+既読の竹下文子作品の感想+
「風町通信」竹下文子
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Commentaires(2)

わぁ、早速読まれたんですね!
うん、水のイメージもありますよね。
私も雨が印象に残りました。
川が流れる喫茶店は、実在したらぜひ行きたいです。
建物の中を川が流れてるなんて、
ジョージ・マクドナルドの「魔法の酒」みたい。
あとね、レノの店にも行ってみたいの。
クラフト・エヴィング商會の本に出てきそうな
不思議なものがいっぱい置いてありそうで。

読みました! 楽しかったです~。
読んでると、なんだか自分も風町にいるような気がしてきちゃいますね。
やっぱり雨は印象的でしたよね。
川の流れる喫茶店、いいですよねえ。うん、ほんと「魔法の酒」のあの家みたい。
そしてレノの店! これは行きたいですね。あの月光計が見てみたい。
ほんと、クラフトエヴィングの本にあるような物が置いてありそうです。
夜の散歩のために、真っ黒な魔女の服を用意しておかなくちゃ~♪

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