「幽霊の恋人たち サマーズ・エンド」アン・ローレンス

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夏の終わり。学校に行った妹のリジーとジェニーの帰りを待っていたベッキーが農場の柵戸に腰掛けて空を見上げていると、そこにやって来たのは、荷物を背負って細い杖を持った男性でした。それはレノルズさん。レノルズさんはベッキーたち三姉妹の家に住み込んで父親の仕事を手伝うことになります。姉妹はレイノルズさんが滞在している間、時々不思議な物語をしてもらうことに。

読み始めてすぐ思ったのは、ファージョンの「リンゴ畑のマーティン・ピピン」みたい!ということ。「リンゴ畑のマーティン・ピピン」は、ある日ふらりとやって来たマーティン・ピピンが、6人の年頃の娘たちに1つずつ民話に題材を取ったような物語をしていく話なんですが、その「ふらりとやって来た」と「民話に題材を取ったような」というのが似てるんです。こちらの場合、ベッキーもリジーもジェニーも「年頃」というにはまだ少し早いみたいだから、「ヒナギク野のマーティン・ピピン」でもいいんですけどね。(「ヒナギク野」では6人の女の子たち相手に話をするんですが、その6人の女の子はそれぞれ「リンゴ畑」の6人の娘たちがその後結婚して産んだ娘) で、今回なんでこの本を読んだかといえば、レノルズさんのお話のうちの1つが「タム・リン」だからなんです。昨日読んだ「妖精の騎士タム・リン」(感想)と「タム・リン」繋がり。
元々アン・ローレンスは、民間伝承を素材にした物語を書いていることで有名なのだそうですね。でもここで語られる物語も民話風だし、きっとそういうところに題材を取ってると思うんですけど、出来上がったものはどこか現代風。それぞれの物語に登場する少女たちが、それぞれ自分の力で自分の道を切り開いてるからかな。あと描写もそうなのかも。
でもレノルズさんのお話そのものは面白いんですけど、もう少し枠組みの方に工夫が欲しかったです。三姉妹とレノルズさんのやりとりもあるし、そのうち彼女たちの母親も登場するんですが、どうも単にお話からお話への繋ぎという感じ。せっかくそれぞれの物語に登場する少女が三姉妹に重なるような部分もあるし、特に少女から大人になりつつあるベッキーに重なる部分があるんだから、枠をもう少し膨らましてくれたら、きっともっと魅力的になったのに。それを考えると、題名も「幽霊の恋人たち」なんかよりも、副題の「サマーズ・エンド」の方が断然ぴったり。(原題も「Summer's End」) でも「サマーズ・エンド」なんていきなり書いてあっても、何のことやら意味が通じないですよね... かと言って「夏の終わり」じゃあ、あんまり読みたくならなさそうだし... なんだか勿体ないなー。(偕成社)


+既読のアン・ローレンス作品の感想+
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