「プークが丘の妖精パック」キプリング 「夏の夜の夢・あらし」シェイクスピア

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夏至の前日の夕方、ダンとユーナの兄妹は、両親の地所で自分たちが「野外劇場」と呼んでいる場所に行き、3頭の牝牛相手に「夏の夜の夢」を演じます。おとうさんにシェイクスピアの戯曲を短く書き直してもらい、おかあさん相手に何度も練習して台詞を暗記したのです。上手く演じられて嬉しくなった2人は、思わず最初から最後まで3回も演じてしまうことに。そして腰を下ろして持ってきたおやつを食べようとした時、妖精のパックが現れて...。

妖精パックが連れてくる歴史上の人物たちが、自分の体験談をダンとユーナという兄妹に語り聞かせてくれるという形式の連作短編集。これを読む前にシェイクスピアの「夏の夜の夢」も再読しちゃいました。シェイクスピアに限っては悲劇の方が好きなんですが、「夏の夜の夢」はとても好きな作品。でも随分前に読んだっきりなので、細部はすっかり忘却の彼方... 読み返して良かった。現在の可憐な妖精像を作り出したのはシェイクスピアだとこの間読んだところなので、以前読んだ時とは違った部分に注目して読めたし、福田恆存氏の訳もすごく良かったし。右の画像は私が読んだ新潮文庫版。この表紙も素敵ですよねー。

で、こちらの「プークが丘の妖精パック」ですが、これもすごく面白かったです!
まず、なんで登場する妖精がパックだけなのか、他の妖精は今はどうしてるのかという部分で、パックの説明にはすごく説得力があったし... これは上手い。そして中で語られる物語を読んでいて、どことなくローズマリー・サトクリフの本の題名を連想しちゃうなと思っていたら(中身は読んでないので、題名だけ)、サトクリフもこの作品に影響を受けてるんだそうです。ちょっとびっくり。でもやっぱりこれは、他の作家さんに影響を与えるタイプの本だろうな。1つ1つのお話も面白かったし、大きな歴史の流れを追うという意味でもすごく面白かった。パック自身が、「どうだった? ウィーランドが剣を与え、その剣が宝をもたらし、宝が法律を生んだ。オークが伸びるように自然なことだ」と言ってますが、まさにその通りですねー。しかも読者にとっても2人の子供たちにとっても単に歴史の教科書に載ってるってだけだった出来事が、語られることによって生き生きと再現されてました。
でもどんなに面白い話を聞いても、家に帰る時間になると、子供たちはオークとトネリコとサンザシの魔法で全てを忘れちゃうんです。なんだか気の毒。もちろん次にパックに会った時に、ちゃんと全部思い出すことにはなるんですが...。ちなみにパックという妖精は、ケルト神話のプークが原型と言われてるので、この題名は要するにパックの丘のパックってことですね。偶然アメリカ版を見つけたら、表紙がラッカムでした。ラッカムの絵は表紙だけなのかしら。中も見てみたーい。(光文社古典新訳文庫)


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四季さん、おはようございます。
牧草地、妖精の輪、夏至の前日・・・もう出だしからメロメロになりそうなほどすてきな言葉がでてきて、夢中になってしまいました。大好きです、この雰囲気。
妖精たちが英国を出て行く話が好きでした。これだけ雰囲気、違うのですね。昔話みたいで大好きです。
わたしもサトクリフ、思いました。でも、こちらが先で、サトクリフが影響を受けているんですね~。
ただ、わたしは英国史がさっぱりわからなくて、物語を心行くまで堪能した、といえないのが残念です。
ところで、アメリカ版の表紙! ラッカムなんですか! うわあ、これは豪華ですねえ。ほしくなってしまいます。

ぱせりさん、おはようございます~。
これ、本当に素敵な作品ですよね。私もこの雰囲気は大好きです!
本当はもっと格調高い訳で読みたかった… というのは内緒ですが。(笑)
いろんな話がありましたよね。うんうん、昔話みたいなのも素敵でした!
確かに英国史に詳しい人の方がより一層楽しめそうな作品なので、
そういう意味では、私も堪能しきれたかどうか怪しいものなんですが…
これを読んでから、ローマ関係の本もある程度読んだので、
今度再読したら、例えば百人隊長の辺りとかももっと理解できるかも?
いくつか先に読みたい作品があるので、それを読んだらまた再読したいです。^^

そうそう、ラッカム! 素敵ですよねえ。
中身もラッカムの挿絵だったら買ってしまいそうなんですが、どうなのかしら~。

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