「カレワラ神話と日本神話」小泉保

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フィンランドの国民的叙事詩カレワラを主軸に、古事記や日本書紀、さらにはギリシャ神話や北欧神話など世界各地に伝わる神話や民間伝承を比較し、共通するモチーフを抽出していく本。 現在一般に「カレワラ」と呼ばれて知られているものは、エリアス・リョンロートによって編集されたもので、その中にはリョンロートの創作も入っているので、この本では主にカレワラ原詩を題材に、天地創生(卵生神話)、課題婚、呪的逃走、カレワラの骨格、再生、天体解放、児童神、禁室型説話、宇宙樹、 母子神、兄妹相姦、三機能という12章から考察していきます。

先日読んだ「カレワラ」(感想)の訳者である小泉保さんの著書。訳がとても良かったので、こちらも読むのを楽しみにしてたんです。世界各地に伝わる物語に、これほど沢山共通する部分があるとはちょっとびっくり。ってぐらい、類似部分を持つ神話や伝承が取り上げられていきます。これはちょっと興味深いです。でもね、何かが足りないんですよね。ほら、ここにこんな話があるよ、ほらあそこにも、って感じで共通する話を列挙するだけで、今ひとつ整理されていないような...。似たようなキーワードの話があるから、ここに突っ込んどけって感じのも目につくし。同じ章に入れるのはいいとしても、せめてもう少し話が繋がるように脈絡をつけて欲しかった。それに、いくら沢山類似点を出してきても、出しっぱなしで終わりじゃあねえ。そこから導き出される考察とか結論とかも決定的に物足りなかったです。例えばこういうモチーフには根底にこのような意味がある、とかね。そういうのが読みたいわけですよ。あともう一歩、踏み込んで欲しかったです。
それにこの題名もちょっと違いますね。これじゃあ「カレワラ神話」と「日本神話」が比較対照されているように思ってしまいそうですけど、日本神話の比重はそれほどでもないです。あくまでも主軸は「カレワラ」。「カレワラ」と、世界各地から拾ってきたエピソードの比較です。しかも、ここに登場するのは叙事詩である「カレワラ」であって、「カレワラ神話」というのはちょっと違うような気がします。ワイナミョイネンやイルマリネン、レンミンカイネンはあくまでも英雄だし、この本でも「カレワラの三英雄」って書かれてます。言葉の定義としては、「神話」だからといって必ずしも神が登場する必要はないようなんですが、フィンランドにもユマラ、ウッコ、ペッレルボイネンという神がいて、自然界の神もいるようなんですよー。ヒーシっていう悪魔も。なのにほとんど触れられていなかったのがとっても残念。私としては、その辺りが知りたかったんだけどなあ。(NHK出版)

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