たらいまわし企画・第32回「ねこ・ネコ・猫の本」

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tarahon32.jpg今回のたらいまわしの主催は、柊舎の書庫のむつぞーさん。お題は「ねこ・ネコ・猫の本」。猫の登場する作品というのは、国内外を問わず、本当に多いですね。長編やエッセイ作品も沢山ありますし、猫をテーマにしたアンソロジーもいっぱい。やっぱり猫というのは作家の創作心を刺激する存在なのでしょうかー。しかもジャンルはミステリ、ファンタジー、ホラー、純文学作品まで多岐にわたります。猫が一匹いるだけで、その情景が浮かんでくるような気がします。

この企画に興味をもたれた方は、右上の「たら本」アイコンをクリック! 初めての方も大歓迎。どうぞお気軽に参加なさって下さいね。

猫と本あるいは猫と文学...というのは、とっても似合うとおもいませんか?
時に愛らしく、時にふてぶてしく、身近な存在でありながらミステリアスな雰囲気をもつ猫。
多くの作家達にも愛された猫は、いろんな本に登場していると思います。
そんな猫が出てくるお気に入りの本を教えて下さい

 
ということで、猫本です。このブログを「猫」で検索しても結構沢山ヒットします。(うちで飼ってる猫の話も時々ヒットしますが)
そこに猫が一匹いるだけで絵になる、なんて感じで登場してることもありますが、やっぱりここは猫じゃなくちゃ、なんて存在感を発揮してくれることも多い猫という存在。犬も大好きなんですけど、犬と猫とはやっぱり雰囲気が全然違いますね。川端康成の「わが犬の記 愛犬家心得」の中に、「犬というものは主人に対して不機嫌な時がない」なんて言葉がありました。本当にその通りですよねー。常に変わらない愛情を向けてくれるのは、犬の大きな魅力の1つ。その点、猫はちょっと違いますね。甘えたい時には甘えるけど、基本的には自分の世界。こっちに来て欲しいと思った時に来てくれるとは限らない。でもたとえば病気で寝てる時なんか、気がついたら同じ枕に頭を乗せて、隣でながながと伸びて寝ててくれたりして♪
あ、上に書いた川端康成の言葉は、私は↓の「犬」で読みました。「犬」とくれば、お揃いで「猫」もあります。犬や猫をテーマにした、日本の文学者たちによる短編小説やエッセイのアンソロジー。

 


この「犬」「猫」は、1954~55年に中央公論社から発刊された本を元に、クラフトエヴィング商會がデザイン・再編集したという本なので、クラフト・エヴィング商會の黒猫Thinkもこっそり登場しています。ということで、吉田音「Think 夜に猫が身をひそめるところ」「Bolero 世界でいちばん幸せな屋上」の2冊も一緒に。文庫も出てるんですけど、私は単行本の装幀の方が好きなのでそちらを。(ちなみに「犬」の方に登場するのは、「ゆっくり犬」)

 


お次はポール・ギャリコ「猫語の教科書」。
ギャリコといえば「ジェニィ」「トマシーナ」なんて猫が主人公の小説もありますが、こちらは猫の猫による猫のためのマニュアル本。「人間の家をのっとる方法」に始まり、人間の性癖についての詳しい解説、美味しいものを食べるための方法、その家での居心地を良くするためにするべきこと、したらいけないこと、人間を篭絡するために必要な魅力的な行動や表情の作り方など、実際に家をのっとった時の経験を踏まえて(笑)、細かく書かれています。「うちの猫はやっぱり最高」なんて思ってるアナタ、実はすっかり猫に躾けられてしまっているのかも...?(笑)
そんな猫たちも、時には身体の具合が悪くなることがあります。そんな時に登場するのが獣医さん。ドクター・ヘリオットが、獣医歴50年の間に見た猫絡みの10のエピソードをまとめたのが、隣の「ドクター・ヘリオットの猫物語」です。登場する猫たちも可愛いんですが、まずこのドクター・ヘリオットが本当に素敵なお医者さまなんですよー。文章からも、その優しいまなざしが感じられるよう。
そして猫、獣医、とくれば、やっぱり猫の飼い主さんも。
猫好きの作家さんは多いですが、私の中でまず出てくるのは高田宏さんなんです。猫エッセイもいくつかありますが、その中で一番最初に書かれたのがこの作品のはず。「『吾輩は猫でもある』覚書き」です。高田宏さんは実際に20匹近く猫を飼ってらしたことがあって、もう本当に愛情たっぷり。人柄が表れたような柔らかい語り口も大好き。次男の高田雄太さんは画家で、この本では違いますが、お父さんの本の挿画も手がけています。自然を描いた絵が多くて、その中には必ず猫の姿があるんですよ♪(サイト

  


最後に稲垣足穂「一千一秒物語」から。

「黒猫のしっぽを切った話」
ある晩、黒猫をつかまえて鋏でしっぽを切るとパチン! と黄いろい煙になってしまった 頭の上でキャッ! という声がした 窓をあけると 尾のないホーキ星が逃げて行くのが見えた。

「黒猫を射ち落とした話」
夜中に眼をさますと 部屋の電燈が消えて廊下のほうにともっていた たれのいたずらかなとスイッチの所へ行ってみたが 何事もない ハテとふり返ると こんどは廊下が真暗になって 何かコトコトというものがある 部屋に戻って ローソクをつけてうかがおうとすると 頭の上をスレスレに窓の外へ抜けたものがある ローソクを取り落としたとたん 亜鉛(トタン)屋根の上を逃げてゆく音がしたのでピストルで射つと パッと煙が立って ヒラヒラと落ちた しめた!と降りて行って 懐中電燈で照らしてみると 煉瓦の歩道の上にボール紙製の黒猫が落ちていた。

  

おっ、右端の本はクラフト・エヴィング商會の装幀ですね。今回はどうやらクラフト・エヴィング商會に始まり、クラフト・エヴィング商會に終わったようです。お後がよろしいようで♪

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クラフト・エヴィング商會の装丁、いいですよねー。
彼らの本は全部、そろえたいなあと思っていたのですが、
あれよあれよというまに、たくさん出版されてしまって
追いつかない…(・∀・;)
四季さんは犬も猫も大好きなんですね♪
私はちょっと犬は苦手かな。
特に大型犬は怖いです。
でもそういう犬に限って、飼い主さんのリードがゆるくて
すりすりしてきたりするんですよねー。
ポール・ギャリコは、今回、私が紹介したアンソロジーに
「ジェニー」という作品の一部が収録されてました。
お、今、「ポール・ギャリコ」で検索したら、
四季さんとこの記事がいっぱい♪
ジェニーが大叔母にあたる「トマシーナ」の物語なんていうのも
あるんですか!

四季さん、こんばんわ、このたびはご参加ありがとうございました。
こちらは猫とクラフト・エヴィング商會の本ですね。
クラフト・エヴィング商會の装丁は心ひかれるものがあります。
こちらで読んだことがあるのはドクター・ヘリオットと稲垣足穂ですが…足穂、けっこう頭から抜けてます。
再読したくなってきましたわ。
できればたむらしげるイラストのが見てみたいですね。
図書館にあるかしら?

>ポール・ギャリコ「猫語の教科書」
読みました、これ。ウチは犬を飼っているのですが、
「いやー飼っているのが犬で良かったー」と思いました。
猫、好きなんですけどね。でも、ウチで猫を飼ったら
間違いなく猫に家を乗っ取られるな、と。
で、猫のゴロゴロにほだされて猫のしもべになってしまうだろう、と。
したたかですねー、猫。可愛いなー。

>LINさん
あ、私、実は全部持ってます…>クラフト・エヴィング商會の本
お財布も置き場所も大変なんですが、文庫じゃあの雰囲気は味わえないし、と思うとつい。
吉田篤弘さんの本までは、なかなか揃えられないでいるんですけどね。
ほんと、どんどん出てしまうものだから。(笑)

「猫大全」にポール・ギャリコもありましたか♪
「ジェニィ」もいいですよー。機会があればぜひぜひ。
「トマシーナ」は、そのジェニィの姪らしいんですけど、特に話の繋がりはないんです。
今店頭にあるのは山田蘭訳なんですけど、矢川澄子訳もあって、雰囲気がかなり違うみたい。
矢川澄子訳で読んでみたいです。

私はLINさんとは逆に大型犬の方が好きですねえ。ちょっと落ち着いてる方がいいです。
とは言っても、見知らぬ大型犬に擦り寄られるのは緊張するかも。
大丈夫なんでしょうけど、リードはしっかりして欲しいですねー。

>むつぞーさん
主催者さん、お疲れさまです。
たむらしげるさんのイラストは、素敵ですよー。雰囲気にぴったりなんです。
もし図書館にあれば、ぜひぜひ。あるといいですね。
あ、ちなみにその隣のは新潮文庫ですが、表紙は「青い月の物語」と同じ方の絵なんですよ。
ちょっと懐かしいでしょう?(笑)
とは言っても普通の文庫なので、こちらは表紙だけなんですが…

>菊花さん
おお、菊花さんのおうちは犬でしたね。うちも前は犬でしたよ。
でも、犬は犬ですっごく可愛いんですけど
やっぱり猫の雰囲気は独特ですね。クセになるというか。
自分が犬系人間じゃないせいか、猫の方が波長は合うかもしれません。

猫、可愛いですよ~。乗っ取られちゃうのもまた良し、です。^^

クラフト・エヴィング商會の本は、「ご本」という感じで、きれいですね。

戦前の本は、どれもとても美しくて、手が込んでるものが多いです。
造本職人さんがいて、手作りしてたせいでしょうね。
その分、生産数が少なく、値段も高くなると思いますが。

今の本は、カバーが本の顔になってるけど、カバーも元は本を保護するもので、装飾ではなかったようです。
今は、カバーを取っちゃうと、そっけない剥き身になっちゃう本ばかりですが(笑)

書かれてる内容じゃなくて、物体として価値がある本も、今なら売れるように思います。
プレゼントにもいいし、机の飾りにもなるし、超豪華本なら、資産価値もあるヽ(´ー`)ノ
昔は、本は資産だったようですから。
「ケルズの書」もどうやら売りつけるためのお宝として作られ、高価すぎて売れ残ったものみたいです。

足穂も、ちょん切ってますね、シッポ。
江戸時代には、尻尾の長いネコは縁起が悪いと言われてたんですよね。
呪術の伝統が伝わってたんでしょうか。。

>overQさん
ああ、戦前のにきちんと作られた本はいいでしょうね。
いくら機械が発達しても、最高級の手作りには敵わないんだろうな…
その頃の職人さんは、本当のプロだったでしょうし。
もしかしてoverQ家には、そういう本が沢山あるのでしょうか~。いいなあ。
うちの田舎の家にも祖父母の古い本が残ってるんですが、それほどの本はなさそうです。

中世の写字生さんが少しずつ筆写していったような本ってほんと憧れます。1冊でいいから欲しい~。
大英博物館の図書館にもヨダレが出そうな本が色々と展示されてました。
「ケルズの書」も、買えるものなら欲しいです!
最近、アーサー・ラッカムやカイ・ニールセンなどの絵のついた本をよく読んでたんですが
こういった挿絵画家がもてはやされて本が沢山作られたのは
やっぱり上流階級がプレゼントに使うためだったようですね。あとは書斎の肥やし?
お金が全てではないですが、やっぱり上流階級っていいですよね。(笑)

猫の尻尾って脊髄と直結してるから、切られたりするとものすごく痛いんですって… いやーん。
うちの猫は、尻尾にものすごく感情が出るので、ない状態なんて考えられません…
豊穣のシンボルだったこともあるのに、誰ですか、そんな呪術に使い始めたのはー もー。

クラフト・エヴィング…ここんちの本、いいですねー。欲しいです。。
置いといて価値のある本。最近、そういう本が集めたくってしょうがないです(笑)
ケルズの書は…見たいけど買うのは…(汗)
ケルトの紐文様で、猫2匹がからまりあって文様になってるのがあって。やはり呪術ですかね猫は。。

あ、「猫語の教科書」!
この表紙の写真もいいですよね♪
私はどちらかというと犬(大きいのから小さいのまで)のほうが好きかなあ。でも絵になるのは絶対!猫のほうだと思います。

>天藍さん
クラフト・エヴィング商會の本、いいですよね!
本棚に並べてても、すごく雰囲気が揃っていていい感じです♪
単行本は場所を取るし値段も高いので、あんまり沢山出ると困っちゃうんでけどねー。(笑)
ケルズの書は、自分では絶対無理なんですけど、
overQさんが買われたらぜひ見せていただきたいですー。
と、他力本願な私。(笑)

天藍さんは犬派ですか。犬も可愛いですよね。
でもほんと、絵になるのも雰囲気があるのも猫の方が上かと~。
「猫語の教科書」、天藍さんもぜひぜひ♪

四季さん、おばんでやんす。
装丁話、盛り上がってたんですね。
私は以前、漱石の革装(大正期)のをねだったところ、自分も手元においておきたいもんだから「草合」の縮刷本をくれた、そんなけちな男と腐れ縁です。

ギャリコ、「猫語の教科書」なんて書いてたんですね。
これは、ぜひともマスターせニャ~(照れつつ去る)

>ne_sanさん
こんにちは! お久しぶりです。
わー、漱石の革装だなんて素敵なんでしょうね。
お値段も相当素敵そうですが…(笑)
いや、ご自分の手元にも置きたいって、気持ちはよく分かります。(笑)

「猫語の教科書」、機会があれば手に取ってみてください。
私も猫にすっかりしてやられてる、と実感しました。

四季さん、こんにちは。
今回初めてたら本に参加したので、四季さんの記事にもTBさせていただきたくってご挨拶にうかがいました。

クラフト・エヴィング商會の本、じつは読んだことがないんです~。本屋で見かけるたびに、すてきだなあと眺めてくるだけで。初めて読むにはどの本がお薦めですか?
アンソロジーの『犬』と『猫』も気になります! 日本の近代文学にうといので、こういうのから入ってみるのもいいかなって。うちのブログでも言及させていただいたんですけれど、かまいませんでしたでしょうか。

四季さんの記事、さすが猫好きでいらっしゃるだけあって、とてもおもしろかったです♪

>マオさん
わあー、マオさんにも参加していただけて嬉しいです!
TBありがとうございます。^^

クラフト・エヴィング商會の本は本当に素敵ですよ。
特に初期の本はどれもオススメです。
私が特に好きなのは、「どこかにいってしまったものたち」と「クラウド・コレクター」かな。
ぜひ手に取ってみて下さいね。文庫も出てますけど、ぜひハードカバーで!
そして「犬」「猫」は、基本的に装幀を手がけているだけなので、クラフト・エヴィング商會色は薄いのですが
それでも遊び心があって楽しいです。
私も日本の近代文学には疎いんですけど、入りやすかったですよ。ほんとこういうとこから入るのもいいかもです。^^

記事が面白かっただなんて嬉しいです~。ありがとうございます。
後ほどマオさんのところにもお伺いいたしますね♪

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