「アーサー王宮廷のヤンキー」マーク・トウェイン

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「わたし」がその男に出会ったのは、ウォーリック城の中でのこと。まるで親友や敵や、ごく親しい近所の人の話をしているかのようにベディヴィア卿やボース卿、湖水の騎士ランスロット卿、ギャラハッド卿の話をするその男は、コネティカット州ハートフォード生まれの生粋のヤンキー。以前自分の工場の男に頭の横っぺらを殴られて気を失った時、気がついたら6世紀の英国にいたことがあるというのです。ケイ卿に囚われた彼は火刑にされそうになり、しかしその3日後に起きる皆既日蝕のことを思い出して危ういところで命拾い。魔法使いのボス卿として、マーリンを差し置いてアーサー王の大臣兼執務官となることになります。

19世紀のアメリカ人が突然アーサー王時代の英国にタイムスリップしてしまうという作品。そういうのをマーク・トウェインが書いちゃうというのがすごいなあと思ってたんですが、ようやく読めました! マーク・トウェインの時代だったらタイムスリップというだけで新鮮だったんじゃないかと思うんですが、行った先のその時代に合わせるのではなくて、現代技術(マーク・トウェインにとっての「現代」なので19世紀です) をどんどん持ち込んでしまうというのがユニーク。石鹸みたいな日常に便利なものはもちろん、電話や電気みたいな色んなものを作っちゃうんです。工場を建て、人材を育成し、最終的に目指すのは共和制の世の中。
皆既月食の日時を正確に覚えているところはあまりに都合が良すぎるし(確か○年... ぐらいならまだしも、○年○月○日○時○分に始まる、まで覚えてるんですもん)、19世紀の産業を6世紀の世の中ににこんなに簡単に移行できるはずはないとも思うんですが、それでも奇想天外な物語が面白かったです。自分の置かれた状況をくよくよと思い悩んだりせず、19世紀の知識を利用してどんどん前向きに対処していくところはいかにもアメリカ人のイメージ~。それに確かにこの時代には色々問題もあったんでしょうけど、現地の人の気持ちをあまり考えようともせずに物事をずんずん進めていっちゃうのも、アメリカ人っぽい~。(失礼) これがアメリカ人作家の作品じゃなかったら、アメリカ人に対する強烈な皮肉かと思うところです。でもどうやらこれは、南北戦争後の南部人を北部人から見た風刺的な視線といったところみたいですね。アーサー王と宮廷の騎士たちは、思いっきり頭の悪い野蛮人扱いされています。^^; (ハヤカワ文庫NV)

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マーク トウェイン, 大久保 博 「不思議な少年第44号 」 1490年の冬のこと。オーストリアは世界の中心から遠く離れたところにあり、いまだ「中... » Lire la suite

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「ヤンキー」だけあって、異様に積極的なスタンスなのが、愉快な作品でした。
道具も何もなしで、一人でこれだけの技術を作り出せる、という点では、かなりご都合主義な感じもしますが、そんな部分も含めて楽しむべき作品なんでしょうね。
アーサー王と宮廷の騎士が、みんな馬鹿みたいに描かれているのが痛快でした。昨今はやりのヒロイック・ファンタジーのパロディとしても読めるんじゃないでしょうか。

お、上、kazuouさんだ、こんばんは。
マーク・トウェインという共通項だけで、トラックバックかけてしまいました~。
マーク・トウェインって実は色々書いてたんですねえ。
私が読んだ『不思議な少年 第44号』という本でも、進歩万歳!迷信・宗教撲滅!、というように見えて、ちょっと繊細さに欠けるような感じがしたんですよ。
でも、これはもっと凄いんですねえ。笑
「アメリカ人のイメージ」に納得です。

>kazuouさん
ほんと異様に積極的でしたね。
そっか、「アメリカ人ぽい」じゃなくて、「いかにもヤンキー」と書けば良かったのか。(笑)
実際、あんまり細かいところは気にせず、1つのドリームとしてこの勢いを楽しんでしまいましたが
あのラストは、そのヤンキーらしい勢いのツケが回ってきちゃったのかなあって、ちょっと切なかったです…
でもほんと、確かにすごいパロディになってますね。(笑)


>つなさん
そうそう、こんな作品もあったんです。ほんとびっくりですよね。>マーク・トウェイン
おお、「不思議な少年 第44号」でもそんな感じだったんですね。
ここまで産業&最先端技術万歳な作品になってるのは
丁度アメリカがすごい勢い成長してる頃に書かれたってことなのかなあ、なんて思いました。
(バブルにはちょっと早いし、高度成長期みたいな感じ? ←テキトーなこと書いてます)
TBありがとうございます。また記事の方にもお邪魔させて頂きますね。^^
(「ペンギンの憂鬱」にもTBさせて頂こうと思いつつ、なかなか行動に移せてない私ってば…)

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