「バルザックと小さな中国のお針子」ダイ・シージエ

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文化大革命の嵐の吹き荒れた1971年のはじめ、再教育のために山奥の小さな村へと送り込まれた羅と馬。羅は有名な歯医者の息子で18歳、馬は普通の医者の息子で17歳。再教育とはいっても、普通なら2年の期間が終われば町に帰ることができるはず。しかし反革命分子の息子である2人が帰れる可能性は、千分の三もないのです。厳しい労働に明け暮れる中、2人は仕立て屋の美しい娘・小裁縫に恋をします。そして友人のメガネがこっそり隠し持っていた本を借りることのできた2人は、初めて読むバルザックの作品に夢中になり、小裁縫にもバルザックのことを語って聞かせることに。

在仏中国人の映画監督、ダイ・シージエが書いた、自伝的作品なのだそうです。
許される本といえば、「毛沢東語録」のみ。それ以外の全ての本は禁書として扱われるような世の中で、こっそり西欧文学を読んだ時の衝撃というのは、私たちが日頃している「読書」とは計り知れないほどの違いがあるんでしょうねー。主人公の「目がくらみそうだった! 心は酔いしれて朦朧となり、気を失うかと思った」という言葉にとてもよく出ていました。分かる気がするなあ...。それまで愛国心や共産主義、政治思想、プロパガンダといったことしか知らなかった彼らに、バルザックの本は色鮮やかな未知の人生を描き出していきます。いくらこういった空間に閉じ込められようとも、「再教育」をされようも、到底抑えきれないものってありますよね。そしてその影響が三人三様で出てくるところが、またいいのです。彼らのその後はどうなるんだろう...。これはぜひ続きを知りたいものです。(ハヤカワepi文庫)


+既読のダイ・シージエ作品の感想+
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なんとも魅力的なタイトルの映画「小さな中国のお針子」を、再び見ました。 中国は » Lire la suite

Commentaires(2)

うんうん、その影響は三者三様でしたねえ。
あんな状況には自分はとても耐えられそうにないのだけれど、
あの濃密な「読書」という体験は、やはり羨ましかったです。
とっても瑞々しくって、いい物語でした。

最後、びっくりしましたよね!(笑)>三者三様
本当にあんな濃密な読書体験がしてみたくなります。
今みたいに本がいくらでもあるという状況では、ちょっと難しいでしょうけど…
どちらが幸せなのか、考えてしまいます。
(あんな状況には、私も耐えられそうにないですが!)

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