「文盲 アゴタ・クリストフ自伝」アゴタ・クリストフ

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祖国ハンガリーを逃れて難民となり、スイスに住みながらフランス語で読み書きするようになったというアゴタ・クリストフの自伝。でもこの題名には自伝とあるんですが、訳者あとがきによると、原題は「自伝的物語」なのだとのこと。読んでいる感覚としては、「悪童日記」(感想)を読んだ時と同じ感覚。そして内容としては「昨日」(感想)でした。

タイトルになっている「文盲」とは、敵語であるフランス語を話すことはできても、読むことも書くこともできないという状態。4歳の時から手当たり次第、目にとまる物は何でも読んでいたというアゴタ・クリストフが、スイスに亡命して以来、何も読めなくなってしまったのです。26歳の時に、外国人学生を対象とした夏期講座に申し込んだ時も、筆記テストでまるで点数が取れず、入れられたのは初心者クラス。フランス語はきちんと話せるのに、なぜ初心者のクラスにいるのかと先生に訊ねられたアゴタ・クリストフの答は、「わたしは読むことも、書くこともできません。文盲なんです」というもの。
相変わらずの淡々とした文章ではあるんですが、読める喜びと書ける喜びが静かに滲み出てきます。これを読んでいる私には「書かずにはいられない」欲求というのはあまり(というか全然?)ないのだけど、「読まずにはいられない」方は人一倍強いので、たとえ半分だけだとしても、その苦しみはものすごく分かります。戦争で家族が分散し、命がけで亡命、フランス語で話しかけられてもまるで理解できない状態から、読み書きできるようになるまでのアゴタ・クリストフの苦労は、想像できるだけなのだけど...。以前、「悪童日記」のフランス語版を読み始めて、なんだかんだで冒頭の数章だけで止まったままなんですが、やっぱりこれは絶対に読み通さなくては、と決意も新たにしました。うん、やっぱり読まなくちゃ。読めるようにならなくちゃ。です。(白水社)


+既読のアゴタ・クリストフ作品の感想+
「悪童日記」アゴタ・クリストフ
「ふたりの証拠」「第三の証拠」アゴタ・クリストフ
「昨日」アゴタ・クリストフ
「文盲 アゴタ・クリストフ自伝」アゴタ・クリストフ
「どちらでもいい」アゴタ・クリストフ

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