「旅の終わりの音楽」上下 エリック・フォスネス・ハンセン

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1912年4月10日。世界最大の客船・タイタニックが出航し、楽師として雇われた7人も乗船。バンドマスターはジェイソン・カワード。何度も楽師として船に乗り込んだ経験を持つ30台半ばの男。一緒に乗り込んだのは、ジェイソンと長年組んでいるロシア人バイオリニスト・アレックス、ビオラ奏者のジム、チェロ奏者のジョルジュ、中流階級の教師のような雰囲気を持つピアニストのスポット。急遽ベース担当として呼ばれた老イタリア人・ペトロニウス、そしてウィーンから出てきたばかりの17歳のダヴィットという面々でした。

タイタニック号では、沈没する時まで、楽団員が演奏をし続けていたんだそうですね。この作品は、その楽団員たちを描いた物語。とは言っても、ここに描かれているのは、実際にタイタニック号に乗っていた楽師たちではなくて、ハンセンの創作した人物たちなんだそうです。タイタニック号の細部や航海の様子、その船長などといった部分は忠実に描き、そこに全くのフィクションを作り上げたのだとのこと。
その7人の楽団員たちは、生まれた国も育ちもバラバラ。この作品では、ジェイソン、アレックス、スポット、ペトロニウス、ダヴィットという5人について、1人ずつ描き出していくんですが、その共通点は、幸せだったはずの人生からいつの間にか転落し、彼らを取り囲む全てが崩壊していったということ。きっかけは人それぞれでも、5人とも見事なほど深淵へと堕ちていくんですね。タイタニック号のような豪華客船ではあっても、船の楽師というのは決して高い地位ではなく、むしろ楽師としては、吹き溜まりと言っていい状態。彼らの破滅の総仕上げがタイタニック号の沈没となり、それがまるで古き良き時代の終焉でもあるような...。
タイタニック号が舞台ではありますが、船の場面はそれほど多くないですし、重要でもないです。船が氷山にぶつかってから沈没するまでがあまりにあっさりしていて、逆に驚いたほど。私は映画「タイタニック」は観てないんですけど、予告編は見てるから雰囲気はなんとなく分かるし、「ポセイドン・アドベンチャー」はテレビで観た覚えが... とは言っても、それもあまり覚えてなくて、背の高い神父が頑張ってた場面が浮かんでくる程度なんですけど(笑)、ポール・ギャリコの原作は読んでるんですよね。(感想) でも、そういった作品とはまるで違っていました。普通なら、氷山にぶつかってからが本番といった感じですが、こちらでは全然。

全編通して回想シーンがとても多いんですけど、その中でもジェイソンのお父さんが語る、宇宙に存在する壮大な音楽について、バイオリンの弦を使ったケプラーの法則の実験の場面がとても素敵でした。そして人物的に惹かれたのは、ピアニストのスポット。ただ、ここで語られているのは、7人の楽師のうち5人だけなんですよね。あとの2人、ジョルジュとジムについて語られなかったのはなぜなんだろう? 7人中7人が破滅へまっしぐらとなると、それはちょっと出来すぎだから? でもこの2人の人生も気になります。特に本好きのフランス人のジョルジュ。だって、彼がギリシャ神話をモンマルトルに例えて説明するの、結構面白かったですもん。(笑)(新潮文庫)

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