「香水 ある人殺しの物語」パトリック・ジュースキント

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18世紀のフランスにいた天才肌のおぞましい男、それはジャン=バティスト・グルヌイユ。当時のパリは現代では想像のつかないほどの不潔さで、強烈な悪臭に満ちており、人間も家も街も全てに悪臭が漂っていました。そんなパリでも並外れて濃厚な悪臭の立ち込める一画に生まれたグルヌイユは、生まれて間もなく孤児となり、施設で育てられた後、10歳の時に皮なめし職人の所に弟子入り。そして数年後、香水調合師のジュゼッペ・バルディーニに弟子入りを志願します。グルヌイユは、ただ1人体臭がなく、しかも恐ろしいほどの鋭い嗅覚を持つ男だったのです。

たらいまわし企画第24回「五感で感じる文学」の時に、うるしのうつわ うたかたの日々の泡のkotaさんが「五感と聞くと、パトリック・ジュースキント『香水』を真っ先に思い浮かべます。」と書かれていて(記事)、しかも「ものすごくおすすめ」と言って頂いて、それ以来読もうと思っていた作品。なのに映画公開ということで色々なところで取り上げられて、読む気が削がれたまま1年経ってしまいました。気がついたら文庫版が入手できない状態になりつつあって、慌てて買いにいきましたよ! 今はamazonでは買えるのに、BK1では買えない状態になってますね。文庫本の画像がなくて、amazonの単行本から引っ張ってきてるんですが、BK1では単行本の画像がNo Imageになってるのに、文庫にこの画像がついてます。あらあら。

ジャン=バティスト・グルヌイユは、言葉よりも先に匂いを覚え、6歳の時には嗅覚を通して周囲の世界を完全に了解していたという少年。自分が嗅いだ匂いで物を覚え、区別し、何十万もの匂いを記憶の中に収めているんです。逆に匂いと関係のない、抽象的な概念を表すような言葉は苦手。そんなグルヌイユが主人公なので、物語の中にはありとあらゆる匂いが登場します。花や香料といった良い香りもあるんですけど、むしろおぞましい臭いの方が多いでしょうね。想像力のある読者ほど、これは読むのがツラいかも。でもね、ものすごくシュールでグロテスクなんですけど、作品そのものからは芳香が立ち上ってくるように感じられるのが不思議なんです。
皆が心惹かれる美女の美しさの素は、その魅惑的な香り。グルヌイユの存在感のなさは、その無臭のせい。それに気づいたグルヌイユは匂いによって人々を支配しようとします。こういうのって面白いですね。良くも悪くも匂いの薄い日本では、あまり存在しない概念かも。でも香りって、ものすごく密接に記憶に結びついていたりしますよね。ふと流れていた香りで、一瞬にして過去の一場面を思い出すこともあるし... しかも忘れていた想いも一緒に。五感のうちでも嗅覚って否応なく入り込んでくるものだし、分かるような気がします。(文春文庫)

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四季さん、お久しぶりです!
これ、映画は観たのですが、原作は読んでないのでした。
映画でも匂いは十二分に表現されていたのですが、
きっと、原作の方が、もっとすごいのだろうと想像し、二の足をふんでいいます。
その昔、自主制作映画をつくろうとしてた時に、「匂いのする映画をつくろう」というのがスローガンでした。
なので、余計に敏感に反応します。
以前、四季さんがたら本で担当された「五感で感じる文学」にも相当しますよね。
読んでみたいです。

わあい、picoさん、こんにちは~。
お忙しかったのにも一段落ついたのですね。良かったです。^^

なんと、映画でも匂いが十二分に表現されていましたか! それはすごい。映画の評判もいいですよね。
原作を知ってる作品だと自分の脳内イメージの方が楽しいことが多いので、映画に二の足を踏んでしまったりするんですが
これはどんな風に匂いを表現してるのか気になります。DVDが出たら観てみようかな。
picoさんんの匂いのする映画、観てみたかったです~。
「五感」のお題もそうですが、そういう風に感覚に訴えてくるものって大好きなんですよね。^^

こんにちは。
紹介した本を誰かが読むのはうれしいものです。ありがとうございます。
映画は観に行きたいと思いつつ、観ずじまいでした。

わあ、kotaさん! こんにちは、いらっしゃいませ。
「香水」、面白かったです。ご紹介ありがとうございました。
あ、でも映画は観てらっしゃらないのですね。
kotaさんの感想をお聞きしてみたかったので、それは残念。
観られた時は、ぜひ教えて下さいね。^^

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