「ゴースト・ドラム」「オーディンとのろわれた語り部」スーザン・プライス

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湖のほとりのカシの木に金の鎖で繋がれている博学の猫が語ったのは、遥か彼方の国の物語。若い魔女・チンギスは、ある日叫び声を聞きつけます。それは冷酷非常なギドン皇帝のただ1人の息子、サファ王子の声。皇帝は世継を得るために結婚し、后も無事に懐妊したものの、いざ世継が生まれるとなると自分の地位への不安を感じた皇帝は、サファを宮殿の一番高い塔のてっぺんの部屋に閉じ込めたまま忘れてしまったのです...という「ゴースト・ドラム」。
アイスランドの邪悪な魔法使い・クヴェルドルフは、最果ての国・テューレの女王が結婚相手を探していると聞き、我こそはと考えます。そしてアイスランドで一番語るのが上手いネコのトードという男に、女王の前で自分を称えてもらおうと考えるのですが、両親の死のきっかけとなったクヴェルドルフの行いを忘れていないネコのトードは、申し出をきっぱりと断ります... という「オーディンとのろわれた語り部」。

スーザン・プライス2冊。
「オーディンとのろわれた語り部」は、アイスランドの民話にヒントを得てスーザン・プライスが作り出した作品だそうです。これはこれで悪くなかったんですけど... 私にはちょっと短すぎたかも。字も大きくて読みにくかったんですよね。この2冊を比べてしまうと、断然「ゴースト・ドラム」が良かったです。なのに「ゴースト・ドラム」の画像がなくて残念。
「オーディンとのろわれた語り部」はアイスランドが舞台。でも「ゴースト・ドラム」はどこなんだろう... 1年の半分が冷たく暗い冬だという凍てついた国、ということしか書かれていません。それだけならアイスランドでも良さそうなものなんですが、北欧神話系ではないですね。むしろロシアの雰囲気。スラヴ系の神話かな? 博学の猫が語るという形式がとても雰囲気を出していて良かったし、魔女がチンギスを育てていく過程も面白かったし... 魔女は普通に子育てをするのではなくて、ゴースト・ドラムという太鼓を叩きながら歌うんです。丸1年間歌い終わった時には、最初毛布にくるまっていたはずの赤ん坊は、既に20歳の娘に! 魔法の修業も面白かったです。世界で最も大切な3つの魔法とは「言葉」「文字」「音楽」という話にも、すごく説得力があって。
一応児童書なんですけど、児童書とは到底思えない作品。壮絶に血が流され続ける暗い歴史、といったところは「エルフギフト」(感想)と共通していて、あとがきで金原瑞人さんが書かれている通り、いわゆる「教育的配慮」がまるでないんですね。でもこれが凄い迫力。短い作品ながらも強烈なインパクトがあって、ずっしりと重い手ごたえがありました。寸分の無駄もないって、こういう作品のことなのかも。この作品はシリーズ物で2作の続編があるようなので、ぜひ訳して欲しいなあ。(福武書店・徳間書店)


+既読のスーザン・プライス作品の感想+
「エルフギフト」上下 スーザン・プライス
「ゴースト・ドラム」「オーディンとのろわれた語り部」スーザン・プライス
「500年のトンネル」上下 スーザン・プライス

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