「読書の腕前」岡崎武志

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日々のちょろいも 2ndのちょろいもさんに教えて頂いた本なんですが、これがこれが凄かった...! 全編通して面白いんだけど、凄いのは第1章。これは、「本を読む」とはどういうことかという話ですね。もう何ていうか、日頃私が感じていたことをズバッと文章にしてくれたような感じ。色んな作家さんの本からの引用を含め、メモを取りまくっちゃいました。
ご本人の文章から1つ引用すると

本を読む時間がない、と言う人は多いが、ウソだね。その気になれば、ちょっとした時間のすき間を利用して、いくらでも読めるものなのである。たとえ、それが二分、三分といった細切れ時間であっても、合計すれば一日二十、三十分にはなるはずだ。一ページ一分かかるとしたって、毎日三十ページ近くは読める。土日に少し時間を稼げば、新書程度の分量なら一週間に一冊は読了できる。要は、ほんとうに本が読みたいかどうか、なのだ。(P.34)

「本を読んでる時間がなくて~」という人は、要するに読書の優先順位がそれほど高くないってことなんですよね。
そう理解してます、いつも。別にそれがいいとか悪いとかではなくて。

そしてもう1つ。

本一冊を読んで、いきなり自己を変革しようというのはあまりに安易だ。そして、なにか「ためになる」ことがないと、本に手を出さない姿勢もいびつだ。それもこれも「本を読む」ことのほんとうの楽しさを知らないから、いつまでたっても即効性を謳う本ばかりに手を出してしまうのである。本は栄養ドリンクではない。(P.28)
他の作家さんの文章も1つだけ引用させて下さい。
文学、芸術に関する限り、私たちは楽しさよりも先ず、何かしら<ためになること>を追うようだ。楽しむための文学を、たとえば中間小説、大衆小説などと呼んで区別するところにも、自らの手で楽しむことを卑小化する傾向が見られはしまいか。感覚の楽しみが精神の豊かさにつながっていないから、楽しさを究極の評価とし得ないのだ
楽しむことのできぬ精神はひよわだ。楽しむことを許さない文化は未熟だ。詩や文学を楽しめぬところに、今の私たちの現実生活の楽しみかたの底の浅さも表れていると思う。(P.28)

これは谷川俊太郎さんの『「ん」まであるく』(草思社)から。
そうだよね、やっぱり基本は「楽しむ」だよねっ。
以前読んだカルヴィーノの「なぜ古典を読むのか」にも、「古典は義務とか尊敬とかのために読むものではなくて、好きで読むものだ」 という言葉がありましたよ。やっぱり「楽しむ」こそが、読書の基本。それだけが全てと言いたいぐらいの、基本中の基本。

ということで、読みたくなるような本もいっぱい登場したんですけど、その中でありゃりゃーとなっちゃったのは、ギッシングの「ヘンリ・ライクロフトの私記」と谷沢永一の「紙つぶて」でした。
 

「ヘンリ・ライクロフトの私記」については、「およそ読書人と呼ばれる人の本棚に、これがないことはありえない」。
そして、「紙つぶて」が本棚に並んでない人が、「いやあ、本っていうとさあ」なんて抜かしても、無視するに限る、だそうで...
すみません、どちらも未読です。でもそんな私でも、本を楽しむことにかけては誰にも負けませんわ!

「ヘンリ・ライクロフトの私記」は面白そうなので、早速探してみようかと~。あ、「紙つぶて」も読んでみたいんだけど、こちらは「稀代の絶品書評コラム全455篇」とのことなので、もう少し日本文学を読んでからの方がいいかも。押さえるべき作品を全然押さえてない私ですから、猫に何とやらの状態になってしまいそうです。(光文社新書)

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Commentaires(19)

こんにちは。
「読書の腕前」、わたしもうんうんうんうんと首が痛くなるくらいうなづきながら読みました。
そうですよね、読書の基本は「楽しむこと」ですよね。
「紙つぶて」も「ヘンリ・ライクロフトの私記」ももちろん読んだことのないわたしですが、本のこと語っちゃうぞー!(笑)

こんにちは。ご無沙汰していますー。
ちょうど私もこの本を読んだばかりなんですよ。
四季さんの言葉の一つ一つにうんうんうなずきながら読ませていただきましたー。
せいこさんも指摘されてますが、読書の基本は「楽しむ」ですよねっ。

しっかし読みたい本が、またまたどっさり増えてしまいましたわ。
本の世界って奥深いですねえ。
まだまだ入り口にさえ立ってないようが気がします。

四季さんのコメントを拝見し、「ヘンリ・ライクロフトの私記」、「紙つぶて」ともに読んでみたくなりました。知らない本がたくさんありすぎてめまいがしそうですね。

こんにちは♪
これ、すごくいいですよね~~~。本に対する熱い愛を感じます(笑)。
いちいち文章を書き写して紹介したくなっちゃう本ですよね。

でもって、もちろんわたしも「ヘンリ・ライクロフトの私記」&「紙つぶて」は未読でございます…。orz

しかし、四季さんまでもが「押さえるべき作品を押さえてない」って!!!!
ああ、なんか安心してブログを続けていける気がします(爆)。

>せいこさん
わあ、こんにちは、いらっしゃいませ~。^^
ほんと首がもげそうになるぐらい、うなづきたくなる本ですね。
「言葉にはしてなかったけど、頭の中にはずっとあったこと」がズバッと書かれてて
もやもやが一気に霧消しましたよ。
やっぱり「楽しむ」が一番ですよねっ。これからも楽しんで、そして語っていきましょう~。


>七生子さん
七生子さんだ~、こちらこそご無沙汰してます。いらっしゃいませ~。
おおー、七生子さんも読まれたところでしたか♪
うんうん、「楽しむ」こそが重要ですよね。
今までも読むからには楽しもうと思ってたし、十分楽しんできたつもりなんですけど
ここまでスッパリと書かれてると、ものすごく嬉しくなっちゃいます。

でもほんと、こういう本は読みたい本がどんどん増えて危険ですね。
読んでも読んでも追いつけない… 本の世界の奥深さを実感させられます。

>uotaさん
本の読み方も人それぞれだとは思いますが、
ここまで頭の中にあることを的確に表現してくれてる本は、初めてでしたよ!
ぜひ手に取ってみてくださいませ。
あとの2冊、uotaさんも読んでらっしゃらないとは、とってもとっても心強いです。(笑)


>ちょろいもさん
ほんと、本に対する愛情が溢れてますね!
いやね、一時期、本を読むことに関して少し考え込んでしまってたことがあったんです。
でもその時は、言いたいことは色々あるはずのに、うまく言葉にできなくて、もやもやしてて。
結局その後、私は私だと開き直ったんですが(笑)
この本を読んでみて、やっぱりこれで良かったのよね!って嬉しくなりました。
ポイントは、本に対する愛情かも。本を愛すれば愛するほど、本にも愛される気がします。
素敵な本を教えて下さって、本当にありがとうございました~!!!

世間一般的に押さえるべき作品は、ほんと全然なんですよー。
それ以外のは、結構読んでると思うんですけどねえ。(笑)

紹介された本は未読なんですが、引用されている箇所を読んで、おもいっきりうなずいちゃいました(笑)。自分が面白いから本を読むし、その面白さを共感したい(味わせてあげたい)から友人にもオススメできるんですよね♪

だから「古典の名作はどうも肌に合わないから苦手なんだけど、読んでおかないと拙いよねぇ…」と苦々しく思っていたのですが、これからは読まなくても良い理由に使っちゃいます!!

四季さん、こんにちは!
僕もこの本とても楽しく本読みました。
『紙つぶて』前から気になっています。
あとはエリック・ホッファーがとても気になっています。
と同時に色々考えてしまう読書でもありました。自分が前から考えていたこととリンクしてしまって混乱してしまいました^^

>あっこさん
読書は所詮読書であって、それ以上でもそれ以下でもないですよね。
一部に読書信仰みたいなのが根強く残ってるから、話がややこしくなるような気がします。(笑)
古典もね、読みたくなったら、その時に読めばいいと思うんですよ。
今読んでる作品に関連があるとか、なんか気になるとか、理由は何でもいいんですけど。
義務感で読んでも、ねえ。いや、達成感はあるとは思いますが。(笑)

この本、今度お持ちしましょうか~?(笑)


>kyokyomさん
あー、混乱してしまわれましたか。
でも読みながら、以前kyokyomさんに聞かれたことを思い出してました、私。
本を読むということに、その後答は出たのでしょうか?

答は本を読む人の数だけあると思います。もちろん私だけの答も、kyokyomさんだけの答も。
もちろん、この本の中にあるのは岡崎武志さんご自身の答であって、正確には私自身の答ではないです。
でもね、やっぱり「楽しむ」ということが基本だと思うんですよ。
それが始まりであり、目的でもあり、結果でもあり。
「楽しむ」に違和感を感じる人は、この言葉をもっと平面的なものとして受けとめてるのかも、と思ったりします。
色々と読み進めるほどに理解が深まって、読書の腕前が上がっていくように、
「楽しむ」もそんな表層的なものじゃなくて、読めば読むほど奥が深くなっていくものだと思うのですが。

エリック・ホッファーも面白そうですね。
寿命と言われていた年を過ぎた時、彼は何を思ったんだろう…。

四季さん、こんにちは^^
答え・・・考えてみました。

>でもね、やっぱり「楽しむ」ということが基本だと思うんですよ。
それが始まりであり、目的でもあり、結果でもあり。

このお言葉にビリビリ感電してしまって考えたら答えのような答えでないような、そんな結果になってしまいました。
詳しいことはブログに書きましたが、僕も楽しむ、ということはとても豊かなものを内包しているのだなあ、とは感じていたのですがしかし楽しいということ自体がまだまだ解っていないみたいです。
とりあえず問いを持ちつづけるということを忘れない方がいいのかなと感じました。

あと『読書の腕前』で気になったのは、四季さんが最初に引用されている個所なのです。
本を読もうとする意思がある人ならばその程度のことはすぐに解るはずだと思うのですが、岡崎さんがそれでもあえて書いたのは、こま切れの時間を利用してでも本は読む価値がある、という考え方をしているように僕自身は捉えました。
でもなぜそこまでして読むべきか、ということを考えていないことに「?」でした。
読書は映画やマンガを見たり楽器を演奏したりすることとは違う何か特別のことなのだろうか、ということが新たな疑問になっています。
なんか余計なこと考えていないで一冊でも多く読んだ方がいい気もしてきました^^

kyokyomさん、こんにちはー。
おお、私ごときの言葉が、kyokyomさんをビリビリさせてしまえるとはっ。
なぁんてちょっと嬉しかったりしたんですけど(笑)

ええと、最初に引用した部分は、多分そういう意味ではないです。
少なくとも、私が引用したのはそういう意味ではなかったですし
おそらく岡崎さんも、そういう意味で書かれたのではないと思います。

私がこれを引用したのは、岡崎さんに同類の匂いを感じて嬉しくなったから。
本好きの人の中でも相当の本の虫、本が好きで好きでたまらない、そういう匂い。
決して、世間一般的に読書が特別ということではないんですよー。
読書が、映画や漫画や楽器の演奏から一歩抜きん出てると考えてるわけではなくて
自分自身にとって、特別な存在なの。
私自身にとって。そしておそらく岡崎さんにとっても。
私の今の職場は図書館なんですけど、本に囲まれてるからといって
勤務中に本が読めるわけじゃないじゃないですか。
それでも本に囲まれて、本を手にしてるだけでも幸せなんです。
行為としての「読書」じゃなくて、形態としての「本」だけでいいのか?
なんて思われてしまいそうなんですけど、でもとにかく幸せ。変でしょう?
でもそのぐらい本が好き。読書が好き。溺愛です。(笑)

例えばね、生活環境が変って、ものすごく忙しくなるとするじゃないですか。
そうなると「本ばかり読んでられなくなるね」と言う人も必ずいるんですが、そうじゃないんですよ。
もちろん読書量は減るかもしれないし、それはある程度仕方のないことなんだけど。
あと、本を読んでると「偉いね」って言う人もいますよね。
「風邪ひいて寝込んでる時まで本を読んでて、偉いね」とかね。でもそれも全然違う。
ちゃんと寝なくちゃいけないのに本を読んでるなんて、本当は全然偉くない。
むしろ怒られるべきことなのに、読まずにはいられないんです。
いや、実際には皮肉を言われてるだけかもしれないですけど。(笑)

本を読む人でも、みんながみんなそこまで本が好きだというわけではないでしょう?
本は好きでも、もっと他にも好きな何かがあるかもしれない。映画でも楽器でも何でも。
でもね、私にとっては、読書が至上の存在なんです。
本を読むなということは、私にとって息をするなというようなもの。
今が自由に本が読める時代で本当に良かった、って真剣に思います。

「なぜそこまでして読むべきか」ではなくて
「そこまでしてでも読みたい自分」のことなんですよ、あれは。私にとって。

四季さんがどれほど本を読むことを大切にしていらっしゃるかがあらためて理解できました。
四季さんは「自分にとって」と仰りますが、四季さんのような方がいらして下さるから、本を読めることって素晴らしいことなんだなって再認識できます。
四季さんのブログに出会わなかったら僕は叙事詩なんて一生読んでみたいとは思わなかったです。

四季さんのお返事で真っ直ぐで混じり気の無い本への愛情へ触れさせて頂いた気がします。
嬉しかったです^^

いや、すみません、私ったら何を長々と語っているのか…
しかも本題からズレてますよね。(笑)
kyokyomさんのブログの記事も拝見したし、コメントを残したかったんですけど、
こちらで語りすぎてしまってて、結局残せませんでした。ごめんなさいー。

私の日頃の本の読み方に、色々と思う方はいらっしゃるでしょうし
今回もこんなこと書いて、本を読むしか能のない薄っぺらな人間と思う人もいるかもしれないですが
これが私ですしね。仕方ないですよね。(笑)

四季さん☆こんばんは
わたしが子供の頃は「本ばっかり読んでないで、勉強しなさい!」と言われてました。(-.-#)
文字通り寝食を惜しんでまで本を読んでいた時期もありました。
今はそれほどじゃないけど、やっぱり読書は快感です。
「エリック・ホッファー自伝」を是非読もうと思ってます。

Rokoさん、こんにちは~。
ああー、私も何度言われたことか。>「本ばっかり読んでないで」
でも、読まずにはいられないんですよねっ。どんなに怒られようが止められないというか。(笑)

「エリック・ホッファー自伝」、読んでみたいですね。
でもその前に「ヘンリ・ライクロフトの私記」を買ってきたので、まずはこっちからいきます。^^

四季さん、トラバありがとうございました。
この記事は読んでいて、ちゃんと記憶に残っていたのに、この岡崎さんとあの岡崎さんが自分の中でリンクしてませんでした。笑
しかし、この本、読むとなんだか宿題(と、あえて言ってしまいますが。笑)が増えそうな本でもありますねえ。

本って、読めば読むほど、芋づる式に興味があるところが増えてきて、読みたいと思う本も増えていきますよねえ。
でも、それもまた豊作だ~!と嬉しいし、ブログのおかげでいろいろ教えて貰ったり、記録or記憶が出来て良かったなぁ、と思います。

つなさん、こんにちは~。
そうなのです、あの岡崎さんはこの岡崎さん!(笑)
確かに宿題がどんどん増えていく本ではあるんですが
上でRokoさんが読むと書かれていた「エリック・ホッファー自伝」は、去年のRokoさんの年間ベストに入ってたし
私が読んだ「ヘンリ・ライクロフトの私記」も、ベストに入れようかどうしようか迷った本だし、結構いい宿題と言えそうですよん。

ほんと、興味が広がって読んだ本からまた新たな興味が広がって…
いつまで経っても読みたい本を読みつくすことはできなさそうですね。(笑)

四季さん、こんにちは。
おもしろかったです~。四季さんの言われたとおり、特に第一部は、文章のいちいちにうなずいてばかりでした。
そして、一年間に積読本が3000冊たまる、などのお話に、あぜん。著者だけではなく、凄腕読書人さんたちの「腕前」にもうびっくりでした。本の虫エリザベスがかわいくみえてしまうくらいです~。
谷川俊太郎さんの『「ん」まであるく」の引用はわたしも心に残っています。これ、ぜひぜひ読みたいです。
そして、なんてすてきで贅沢な楽しみ方を知っているんだ、わたしは!とちょとうれしくなってしまいました^^(でもまだまだひよっこだ~)

ぱせりさん、こんにちは~。読まれたんですね!
ねね、ほんと第一部は、首がもげそうなぐらい頷いてしまいますよね。
でもでも、谷川俊太郎さんの本、読もう読もうと思いつつ、まだ読んでなかったのでした…
今度こそ読まなくちゃ! 思い出させて下さってありがとうございます。

ネットをしてると、ほんと色んなスタンスで本を読む人がいて、色んなことを考えてらして
ただ本が好きで読んでるだけの私なんて、なんだか肩身が狭くなってしまうような感じなんですけど
ただ好きで読む、それでいいんですよね。
本に対するスタンスが間違ってなかったと分かって嬉しいです。

でも年間3000冊も積読本が溜まるのは、イヤです…(笑)

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