「メルニボネの皇子 永遠の戦士エルリック1」マイクル・ムアコック

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竜の島メルニボネの初代魔術皇帝から数えて428代目の直系に当たる白子の皇帝・エルリックは、薬と薬草の力によって生きながらえているという皇帝。従兄のイイルクーンがその座を狙っているものの、恋人のサイモリルとの平和な時間を楽しんでいました。しかしそんなある日、新王国と呼ばれる新興人類の国からメルニボネの夢見る都・イムルイルへの襲撃があり、迎え撃った戦いの場でイイルクーンがエルリックに公然と反旗を翻したのです。

本読みの憂鬱の森山樹さんにずーっとオススメされてた作品。他にも絶賛してる方は多いし、井辻朱美さんの訳で復刻されたし、気になってはいたんですが、なかなか読めず... ようやく読めました!

その膚は野ざらしのどくろの色、肩より長く垂れ落ちる髪は乳酪のように白い。細面の美しい顔からのぞくのは、つりあがった愁わしげな深紅の双眼、ゆるい黄色の袍の袖口からあらわれたほっそりした手もまた骨の色、それが巨大なただひとつのルビーから刻みだされた玉座の、両の肘かけに置かれている。

そんな描写から始まる、エルリック・サーガの第1巻。ここには「メルニボネの皇子」と「真珠の砦」の2つの長編が収録されています。
作者のマイクル・ムアコックはイギリス生まれながらもアメリカに移住したと聞いてたし、本に載ってる写真がカウボーイハット姿なので(笑)、この作品もいかにもアメリカ的なヒロイック・ファンタジー(ちょっと苦手)かと思っていたんです。が、主人公は予想外に内省的な人物でした... 暗い。(笑) エルリックは白子なので、見た目にも明らかに他のメルニボニ人とは異なってるんですけど、中身も違います。残酷なまでにあっさりと事を決定していくメルニボネの人々に対して、平和主義なのか事なかれ主義なのか、エルリックの行動や決定は、もう本当に歯がゆいほど。神々の中にただ1人迷い込んだ人間みたい。でもそんなエルリックでも、一度新興人類の王国に行ってしまうと、十分人間離れしてましたが。(笑)
エルリックは、身体的には薬がないと生きていかれないほど虚弱なんだけど、その反面、魔剣ストームブリンガーを使いこなせるほどの精神力の持ち主。でもそのストームブリンガーは、混沌の神に忠誠を誓って得たもの。剣で人々の魂を吸い取って、混沌の神に捧げ続けているんですね。これは、エルリック本人は善を成したいと考えていても、その裏には必ず悪魔が控えているようなもの。それでもストームブリンガーを手放せないエルリック。...何ていうかエルリックの中にはものすごく沢山の矛盾があるんですね。それがエルリック一番の魅力なのかもしれません。
でも、私としては混沌の神・アリオッホがものすごーく気になるんですよねえ。その姿は美青年、しかし目だけは老いた聡明さと邪悪さを持っているというアリオッホ。彼の話をもっと読みたいなあ。

続きも読もうと思ってますが、これはもう少し後で。1話ずつ完結してるようなので、ゆっくり追いかけられそうです。でも作品が長くて本が分厚くなるっていうのはいいんですけど、こんな風に2つの長編が1冊にまとめられちゃってるっていうのはどうなんでしょ。1つずつでも普通の厚みになったでしょうに。こういうのっていやー。しかもこれ、ハヤカワ文庫SFに入ってますけど、今のところはFTの方がずっと相応しい感じなんです。...それも手に取るまでに時間がかかった理由の1つなんですよね。(ハヤカワ文庫SF)


+シリーズ既刊の感想+
「メルニボネの皇子 永遠の戦士エルリック1」マイクル・ムアコック
「この世の彼方の海 永遠の戦士エルリック2」マイクル・ムアコック
「暁の女王マイシェラ 永遠の戦士エルリック3」マイクル・ムアコック
「ストームブリンガー 永遠の戦士エルリック4」マイクル・ムアコック

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Commentaires(4)

書き込むの久しぶりですー。

エルリック読まれたんですね。
楽しまれたようで何よりです。
是非ともコルム,ホークムーン,エレコーゼと繋がる《永遠の戦士》を楽しんでください。
そしたらSFレーベルに収録されている理由も分かるかも……。
といいながら,自分もFTのほうが相応しいと思っているんですけど。

以前の版では長編毎の収録だったんですよね。
自分もそちらのほうが好きでした。
今回の刊行は年代順にするという目的が合ったので,合本という苦肉の策をとったのかな,と。

話は変わりますがエディングスの新刊は2008年に邦訳開始のようです。
《ドリーマーズ(仮)》というシリーズ名で,エディングス流エピックファンタジィを凝縮したものとのこと。
期待が高まります。
その前にエレニア記とタムール記を再読しておかないといけません。

森山さん、こんにちは。お呼びだてしてしまってすみません~。
と言いつつ、来ていただけて嬉しいです。^^


エルリック、楽しかったです。暗くて虚弱てびっくりしましたが、
これこそが、アンチヒーローなヒーローだったんですね。(笑)

>是非ともコルム,ホークムーン,エレコーゼと繋がる《永遠の戦士》を楽しんでください。

うわー、そんなに繋がっていくんですか。
となるとハヤカワだけでなく創元推理文庫の方も? 全部で30冊ぐらい?
すごいですね。1巻だけでもすごく広がりを感じさせる世界観だったのに
ますます奥ゆきが広がっていきそうですね。楽しみ~。
これはじっくりと取り組みたいと思います。

エディングスの新刊、来年からですか!
教えて下さってありがとうございます。
ええと、これまでのシリーズとの直接的な繋がりはないんですよね?
でもやっぱり読むなら、エレニア記とタムール記が先だなあ。
ということは、この2人の作家さんだけでも何十冊という本が控えてることになるわけで…
頭がクラクラしそうです。(笑)

はじめまして。
ムアコックの感想がかいてあるということで飛んできました。ムアコックの世界観興味深いですよね~

1巻だけでも広いですが、複数のシリーズを飛んでいくと次元が上がって(?)奥行きの深さまで出てくるのが面白いと思います。

で、ムアコックの作品は、だいたい元の刊行順に読んでいくほうがわかりやすいかもです。
例えば、
エルリック7巻は、「ブラス城年代記」とエレコーゼ「剣の中の竜」を読んでからでないとクライマックスが何を描いているのかがわからないとおもいますし、
「ブラス城年代記」を読む前には、「ルーンの杖」シリーズとエレコーゼ1巻「黒曜石の中の不死鳥」を読んだ方がわかりやすいし、
エルリックの4巻までとコルムシリーズも読んだ方が面白いし、、、
など。
あと刊行順だとムアコックの世界観?の変遷がみられて面白いかもです。おおざっぱにいうと60年代(エルリック「夢見る都」とか)70年代(コルムシリーズとか)と80年代(「剣の中の竜」とか)と最近の(エルリック5巻以降とか) で違いがあるように思います。

あんまり考えちゃうとよけい頭がクラクラしそうなのですが(笑)

仕合わせさん、こんにちは。はじめまして。
ムアコック、お好きなんですね。色々教えて頂けて嬉しいです。
とりあえずエルリックを4巻ぐらいまで読んで、それから「ルーンの杖」シリーズや「コルム」シリーズにも手を出してみましょうか。
で、「エレコーゼ」シリーズ、「ブラス城年代記」に進んで、その後エルリックをさらに読み進める、と。
元々の刊行順も、検索して探してみますね。で、参考にしてみます!

複数のシリーズを読み進めるほどに奥行きの深まるというのは、ものすごーく好みなんですが
ムアコック作品はとにかく数が多いので、ちゃんと進んでいけるかどうか不安が…
でも、気がついたらすっかりハマりこんで、「もっともっと」と言ってるかもしれませんね。(笑)
じっくりと読み進めていきたいと思います。

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