「ケルト妖精民話集」「ケルト幻想民話集」「ケルト魔法民話集」小辻梅子訳・編

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ケルト物3冊。「ケルト妖精民話集」は、J.ジェイコブズの「Celtic Fairy Tales」「More Celtic Fairy Tales」から16編の妖精物語を選んで収録したもの。「ケルト幻想民話集」は、同じくJ.ジェイコブズの2冊からのフィン・マックールやクーフーリンなどの英雄伝説と、P.W.ジョイスのダーマットとグラーニアの物語。「ケルト魔法民話集」は、P.W.ジョイスによるルーグやフィン・マックールの物語3編と、J.F.キャンベルの「ケルト海竜物語」。

英雄物語や神話的な物語は知ってるものが多かったんですが、妖精物語は比較的初めてのが多くて新鮮でした。「白雪姫」と「シンデレラ」の別バージョンもありましたよ。ケルトの「白雪姫」は、「金の木と銀の木」。「金の木」が王女の名前で、「銀の木」はお后さまの名前です。この物語で怖いのは、白雪姫のように継母が美しい継娘に嫉妬するのではなく、お后さまが実の娘を嫉妬して殺そうとするというところ。しかも王様、実の娘の心臓と肝臓を食べたがるお后さまを止めようとはしないんですかーっ。母親には山羊の心臓と肝臓を食べさせておいて、娘の方は丁度求婚しに来ていた外国の王子に嫁がせて外国にやってしまえばそれでオッケーだなんて、なんて安易な男なんだっ。(驚)
そしてケルトの「シンデレラ」は「フェア、ブラウン、トレンブリング」。これは3人の娘の名前で、トレンブリングがシンデレラ。妖精のおばあさんにあたる鶏飼い女(スコットランドでは、鶏を世話する女には魔力があるとされていたらしいです)にどんなドレスがいいか聞かれたトレンブリングの答は、最初は「雪のように白いドレスに緑の靴」、次は「とびきり上等の黒繻子のドレスに赤い靴」、最後は「腰から下はバラの赤、腰から上は雪の白、肩には緑のケープ、頭には赤、白、緑の羽つき帽子、靴は爪先が赤、中程は白、裏とかかとは緑」。...な、なんかものすごい趣味なんですけど... しかも随分と自己主張のはっきりしたシンデレラですねー。でもそれだけしっかりしてるトレンブリングも、無事結婚したら油断したのか、お姉さんが原因でエラい目に遭うんですけどね。

私は3冊とも現代教養文庫版で読んだんですが、既に絶版。最初の2冊は文元社というところからハードカバーが出ていたので、画像のはそこのを使ってみました... が、ハードカバー、高い! もう少し調べてみると、同じジョーゼフ・ジェイコブズで「ケルト妖精物語」という本が2冊出てるんですよね。これはおそらく原本が一緒なのではないかと...。ゲール語からの完訳だそうなので、今から読もうと思われる方は、こっちを読まれた方がいいのかもしれません。表紙もこっちの方が綺麗ですしね。訳者さんは違いますが。(現代教養文庫)

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Commentaires(4)

始めまして♪
私も最近ケルト神話にはまっています。といってもほとんどケルト系は読んだことはないのですが・・・↑の文庫は絶版なんて残念です。いろいろ参考にさせていただきますね。神話って麻薬みたいですよね(笑)

のんさん、こんにちは。はじめまして。
わあ、ケルト神話がお好きですか。お仲間ですねっ♪
本当は他の神話も読みたいんですけど、今年になってからケルトに足止めをくわされてしまってます。
神話関係って、読めば読むほど深みにハマってしまって、ほんと麻薬ですね。(笑)

記事を拝見して、どこかで見た表紙だなと思ってたら、
ちょうど今、図書館から借りてきてました、「ケルト妖精物語」。
こぶとり爺さんの類話が「Ⅱ」に出てくるので(ノックグラフトンの伝説)。

宇治拾遺物語の第三話とまったく同じ話なんです。
似てる神話はよくあるけど、こんなに同じなのは、ちょっと珍しいかも。
どんなふうに伝播してるんでしょうねえ。謎めいてます。

シンデレラは、カマドのお姫様だと、中沢新一が書いていますが、
台所ってちょっと前までは「土間」でした。
今でも、料亭なんかでは、調理場は土間です。

なんで土間なのかというと、ここだけ、竪穴式住居の名残りなんじゃないかと妄想しています。
移動採集生活だと、カマドを中心にみんなが座を組んだ。
定住するようになり、「床」ができると、火と釜を扱う部分だけが、古い形のまま、切り離された。
カマドを守る女は、たぶん「神の嫁」として、特殊な地位を持っていたはず。
それが、シンデレラなんじゃないでしょうか。

鉄器(釜)をもたらす、山の民(神)と交わり、家族に新しい血を流し込む役目。
台所が切り離されたように、この「神の嫁」も、だんだん零落して、
それと女性の地位の変遷とはシンクロしているんじゃないかなあ。

日本の先住民って、「土蜘蛛」と呼ばれるんですが、
あれってカマドを中心に座を作って、座ってる様子のことでは、とも思ったり。
いわゆる「うんこすわり」。
土蜘蛛は「スネ長」とも呼ばれるので、あの座り方のような気がするのです。
韓国ドラマを見てると、都会のIT産業で働く娘が、
地方のオモニ(母)を久しぶりに訪ねる。
オモニは土間の台所でキムチをつけてて、
その姿が「スネ長」でした。ほんとの強い女。

ここからが本題(笑)
製鉄業者の山の神が、「神の嫁」をもらいに来る時、
矢を放って、それがささった家(テント)のカマド娘(シンデレラ)と交わるんでは、と思っているんです。
山の鬼とか竜とか猿とかが、イケニエの「村の娘」をさらっていく、というお話です。
説話では、そのあと、よい王子さまが、鬼(竜)をやっつけて、
めでたしめでたしになるパターン。
古い時代の「神の嫁」式の婚姻制度の終わりを意味するもの。

これに似た説話って、ケルトにも出てくるでしょうか?
鬼のイケニエにされた娘を、王子様が救う話。
王子様が「姫」に化けて、鬼をだますことが多いです。
ヤマタノオロチでは酒を飲ませます(酒呑童子! 先住民はアルコールに弱い。アイヌもインディアンも)。
宇治拾遺では、岡山の中山神社の猿が、イケニエを求める話があります。
出雲も吉備も、古代の製鉄がさかんな土地です。

長くなりましたが、ちょっと面白いかなと思って☆

overQさん、こんにちは!
わあ、丁度借りてらっしゃるとは、奇遇… でもないのかな。(笑)
「ノックグラフトンの伝説」は、私が読んだ本の中には出てこなかったです。残念。
でもそんなに同じとは不思議ですね。これだけ離れていたら、多少なりとも変化する方が自然なのに。
変化しないとしたら、移動に時間がかからなかったとか、口伝を経なかった、ぐらいしか考えられないのですが
何か他の理由があるのでしょうか。
色々変化して、結果的に戻ってしまったなんてことはありませんよねえ。ほんと不思議。

ああ、シンデレラのカマドの話、ありましたね。そういえばカイエ・ソバージュ3冊で止まっちゃってます… 読まなきゃ!
カマドは、階級差のある社会では劣った仕事とされてしまったけれど、神話的思考の時代には「特権」だったと
カイエ・ソバージュの1冊目を読んだ時のメモにありました。
あと、火を使うことによって、人類の生活は自然状態から「文化」へと大転換したとか
人間の住む家の中で、カマドは異界または他界との転換点となり、死者と生者の世界を媒介するとか。
この本に載ってるシンデレラも、ちゃんとカマドの部分を踏襲していました。
そして異界との転換は、王子さまと結婚した後にもありました。

鬼のイケニエにされた娘を王子様が救う話、この本にもあります!
「ケルト魔法民話集」の中の「ケルト海竜物語」が、それです。
竜が毎年来て若い女性を1人ずつ攫っていく話で、漁師の息子が王女さまを救うことになります。
ええと、竜にお酒を飲ませたりはしなかったんですけど、
竜が「水を一口飲んだら、おまえなんか打ち負かして八つ裂きにしてやるのだが」と言って
漁師の息子は「おいしい赤ワインを一口飲んだら、おまえを殺してやるのだが」と言うやり取りがありました。
で、3回目に(竜の頭が3つあって、1回に1つずつ切り落とす)王女にワインを貰って飲んだ漁師の息子が竜を殺しちゃう。
赤ワインというのが、なんだか意味深ですよね。水というのは、そのまんま水なのかしら?
でね、この竜が、殺されると水たまりと一塊の砂になっちゃうんですよ。
ここにはどんな象徴が隠されてるんでしょう。気になります。

他にはあまり覚えがないですね。浦島太郎系や羽衣伝説系は多いんですけどねー。
思い出そうはとしてるんですけど、なぜか頭の中が「狂えるオルランド」のイケニエの場面の挿絵でいっぱいに…^^;
あ、「ケルト海竜物語」は、あまり純粋な形で残ってる話ではないと思います。
民話の特性の3回ずつの反復があまりに多いんです。
3人兄弟が、それぞれ3回あるいはその倍数の試練を経て幸せになるんですが
3つずつ揃えるために、色んなとこから話を引っ張って来たっぽいです。

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