「ダフニスとクロエー」ロンゴス

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エーゲ海に浮かぶレスボス島。ある資産家の荘園で山羊の世話をしているラモーンという男は、荘園の山羊が捨てられた赤ん坊に乳を飲ませているのを見つけます。捨て子には珍しいほど立派な産着に包まっているのを見て、ラモーンは赤ん坊を家に連れて帰り、ダフニスという名をつけて、自分たち夫婦の子として育てることに。一方、それから2年ほどたったある日、荘園と地続きの田野で家畜を追っていたドリュアースという男が、岩穴で赤ん坊を見つけます。こちらの赤ん坊も立派な品を身につけており、リュアースの羊が乳を飲ませて世話をしていました。ドリュアースも赤子を家に連れて帰ってクロエーと名付け、自分たち夫婦の子として育てることに。2人の赤子はすくすくと育ち、ダフニスは山羊飼いに、クロエーは羊飼いになります。

古代ローマ時代のロンゴスの作品。レスボス島で狩をしていたロンゴスが、ニンフの森で世にも美しい絵を目にして、そこに描かれた情景に相応しい物語を書き上げたという形式です。この作品が書かれた2世紀末~3世紀初め頃は通俗的な大衆読物が盛んに書かれていて、冒険あり恋愛あり怪奇ありという盛り沢山の作品が人気だったのだそう。それも読者の異国趣味を満足させるために、主人公たちは西に東に大活躍。でもこの「ダフニスとクロエー」の舞台はレスボス島だけ、それもごく限られた牧場地帯の中の出来事を描いた作品ということで、珍しい存在なのだそうです。
でもこの物語の中心となるのは、まだまだ幼いダフニスとクロエー。恋とは何なのかということすら分からないような2人の話なので、広い世界なんて全然必要ないですね。のどかな島の情景、季節の移り変わり共に2人の恋が育っていく様子が叙情的に描かれていて、とても美しいです。もちろん2人の恋の前には、いくつも障害があるんですけど、それも純情な恋の雰囲気を壊すものではなくて、2人の気持ちの結びつきを強める程度のもの。牧歌的な魅力に溢れた美しい小品となっています

岩波文庫にはボナールの絵が使われていますが、シャガールが好きな方には右のような本もあります。シャガール晩年の傑作リトグラフを全42点、挿絵として使っているという贅沢な本なのだそうです。私自身はシャガールは苦手なので多分見ないと思いますが、お好きな方にはいいかも。あと、「ダフニスとクロエー」といえば、ミレーの絵もあればラヴェルのバレエ曲もありますし、三島由紀夫の「潮騒」もこの作品を底本にしてるんだそうです。そんな風に色々な影響を与えてるのも頷ける作品でした。何ていうか、基本に戻った純粋さが力強いです。(岩波文庫)

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