「仕事と日」ヘーシオドス

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「仕事と日」は、農夫であり詩人でもある兄・ヘーシオドスから、無頼な弟・ペルセースへの訓戒を歌う教訓叙事詩。ヘーシオドスはパンドラの箱の物語や、五時代の説話を引き合いに出しながら、労働の尊さについて語り、人間としてあるべき姿や望ましい行動について語り、農業をするために大切な農事暦まで教えて聞かせます。「ホメーロスとヘーシオドスの歌競べ」も収録。

「仕事と日」は、叙事詩らしくムーサたちへの語りかけから始まるし、ギリシャ神話の神々のエピソードをふんだんに使ってるんですが、実は全編通して、できの良いお兄ちゃんからやんちゃな弟へのお説教。この兄弟は、実際に父親の遺産の土地を巡って争ったり、地元の領主に賄賂を渡して自分の分け前以上を得た弟が、あっという間にその遺産を蕩尽してしまってヘシオドスに泣きついたとか、そんなエピソードがあったようです。ギリシャ時代の叙事詩といえば、ホメロスの「イリアス」や「オデュッセイア」のような英雄譚がまず頭に浮かぶし、同じヘシオドスにだって、「神統記」のように壮大な神話世界の成立を歌う作品があるのに、こんな個人レベルの作品もあったんですねー。兄はともかく、ペルセースは2700年も後まで、情けない弟として名前が残っちゃったんだからスゴイ。しかも、まだまだ残るはず。(笑)
ちなみに五時代の説話とは、ゼウスの前のクロノスの時代に作り出された黄金の種族、銀の種族、ゼウスの時代になって作り出された青銅の種族、英雄たちの高貴な種族(半神で、オイディプス王やトロイア戦争の時代のギリシャ人はこれにあたるらしいです)、そして現在の鉄の種族、と人間の歴史の変遷を5つの時代に分けてみせるもの。オウィディウスの「変身物語」(感想)でも似たような話はあったんですが、金、銀、銅、鉄の4つで、英雄の時代はなかったです。オウィディウスは古代ローマ時代の人なので、古代ギリシャ人のヘシオドスよりも時代的にはかなり後。当然この「仕事と日」も読んでるでしょう。金、銀、青銅、鉄という金属に対して、「英雄」だけバランスが悪いと感じたのかな? ていうか、私ならバランスが悪いと思っちゃうんですけど。まあ、ギリシャ人のヘシオドスには仕方なかったのかもしれないですけど。(笑)

「ホメーロスとヘーシオドスの歌競べ」は、作者不詳の作品。共に詩聖と称せられたホメロスとヘシオドスが、エウボイア島のカルキスで対決する様子を描いた叙事詩。本当にこの2人が歌競べしたとはあまり考えられないらしいんですけど、ギリシャ人の聴衆がホメロスを褒め称えるのに対して、王が「勝利者たるべきは戦争や殺戮を縷々として述べる者ではなく、農業と平和の勧めを説く者でなくてはならぬといって、ヘーシオドスに勝利の冠を与えた」とあるのが興味深いところです。実は政治的な意図がある作品なのかしら?(岩波文庫)


+既読のヘシオドス作品の感想+
「神統記」ヘシオドス
「仕事と日」ヘーシオドス

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