「穴掘り公爵」ミック・ジャクソン

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年老いて、自分の身体が頑固な痛みの詰まった袋に過ぎないと痛感するようになった公爵は、ある時思い立って、広大な敷地内に巨大なトンネルを8本も掘らせることに。そのトンネルは、馬車も通れるという大きいもの。施工には5年もかかります。しかしそのトンネルが何のために作られたのか、公爵が人に明かすことはなかったのです。

作者のミック・ジャクソンの本名はマイケル・ジャクソン。それだとあんまりだっていうんでミック・ジャクソンに変えたら、今度はミック・ジャガーみたいになってしまったんだとか。(笑) 有名人と同姓同名って困りますよね。字が違ってても、例えば呼び出しの時とかに困る、特に空港みたいなところで呼び出されたくないって、以前「シバタキョウヘイ」さんが言ってました。同姓同名の人は時々見かけますが、私が知ってる人はほとんどその有名人と同世代。親がファンで名前を貰っちゃった!ってことではないんですよね。最近は「ヤマグチトモコ」さんがいたなあ... しかもこの山口さんは、全く同じ字でした。まあ、この場合はそれほど珍しい名前じゃないですけどね。親御さんは「智子」って名前をつけただけだし。って、関係ないこと書いてますけど、このミック・ジャクソン、ロックバンドをやってたこともあるようですが、本業は映画監督とか脚本の方なのだそうです。なるほど、この小説も確かにどこか映画っぽい匂いがする構成かもしれません。
最初は人生に疲れた普通の老人に見える公爵が、いかにもイギリス的なユーモアを交えながら描かれていきます。周囲の人々にも奇矯な人物と認識されているようですが、愛すべき老人。時折昔のエピソードが折挟まれるんですけど、それがあまりに断片的で、微笑ましいというよりも危うい印象。老公爵は徐々に狂気に蝕まれ始めていて、気がつけば取り返しのつかないところまでいってしまってました。...ええと、やりたかったことは分かるんだけど、終始淡々と描かれてるので、どうも単調で... 最後は結構強烈なはずなのに、ここもそれまでの淡々とした筆運びに負けてしまったような気がします。そしてこの穴掘り公爵、第5代ポートランド公ウィリアム・ジョン・キャヴェンディッシュ=ベンティック=スコットというモデルがいるらしいんですね。実際にトンネルを掘ったこともあったのだとか。実際にはミック・ジャクソンが作り上げた部分も多いんでしょうけど... この穴掘り公爵、結局そのモデルの影から逃げ切れなかったのかもしれませんね。(新潮クレストブックス)

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