「ルバイヤート 中世ペルシアで生まれた四行詩集」オマル・ハイヤーム

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左は岩波文庫、右はマール社というところから出ている本。
岩波文庫版は原典から直接訳したもの。こちらは小川亮作さんによる口語訳なんですが、初版が1949年(昭和24年)の口語なので、読みやすいながらも今の口語よりもずっと端整な感じ。そしてマール社版は19世紀の詩人・エドワード・フィッツジェラルドが英訳したものを、竹友藻風さんが日本語に翻訳。格調高い七語調です。フィッツジェラルドによる英訳も同じページに載っていて、これって実は日本語よりも分かりやすいんじゃ...(笑)
その右の本は、風待屋 のsa-ki さんに教えていただいたものです。表紙も紺地に金銀が使ってあってとても美しいんですけど、中身も素敵!全てのページが挿絵入り。エキゾティックでほんのりエロティックな、ビアズレーのようなペン画で、ところどころ印象的な赤が使ってあって、それがまた素敵。この美しさだけで、この本を買う価値は十分あります。^^

そして中身はそのものズバリ、酒への賛歌。いくつか引用してみると...

恋する者と酒のみは地獄へ行くと言う、
根も葉もない囈言(たわごと)にしかすぎぬ。
恋する者や酒のみが地獄に落ちたら、
天国は人影もなくさびれよう!(岩波文庫版87)

天女のいるコーサル河のほとりには、
蜜、香乳、酒があふれているそうな。
だが、おれは今ある酒の一杯を手に選ぶ、
現物はよろずの約にまさるから(岩波文庫版89)

一壷の紅の酒、一巻の歌さえあれば、
それにただ命をつなぐ糧さえあれば、
君とともにたとえ荒屋(あばらや)に住まおうとも、
心は王侯(スルタン)の栄華にまさるたのしさ!(岩波文庫版98)

たった4行の簡潔な詩の繰り返しなんですけど、驚くほど豊かなイメージが伝わってきませんか~? イスラム教の社会では、コーランによって酒は禁じられているはずなんですが... 死後のことを気にして戒律を守るよりも、今現在を大切にして奔放に酒を愛するという前向きな姿は逆に清々しいほどです。(笑)
そしてちなみに最後の「一壷の紅の酒~」の4行は、マール社版だとこんな感じ。

ここにして木の下に、いささかの糧
壷の酒、歌のひと巻ーーまたいまし、
あれ野にて側(かたわら)にうたひてあらば、
あなあはれ、荒野こそ樂土ならまし(マール社版12)

かなり違いますよね。もちろん日本語への訳し方にもよると思うんですが、フィッツジェラルドが英訳する時に結構変えてるんじゃ... なんて思った箇所も結構多かったです。マール社版には、たまにキリスト教的な匂いがあって、それはきっとフィッツジェラルドによるものだと思うし、例えば「薔薇(そうび)」という言葉もやけに多用されてるんですけど、岩波文庫版に薔薇はそれほど登場しなかったですもん。花ならむしろチューリップ。(笑)
載っている詩の数も岩波文庫は114編、マール社は110編と違うし、掲載されている順番も全然違うんです。どうやら「ルバイヤート」には贋作も多いらしくて、それぞれの本で選んでる詩も結構違うみたいなんですよね。これと思う詩をもう一方の本から探し出して比べてみるのは結構大変でした。でもそれぞれに素敵な本なので、楽しかったです。(岩波文庫・マール社)

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Commentaires(6)

四季っち、こんばんは~。(いや、おはよう、かな?)
読み比べなさったんですね。
私はマール社だけで酔っ払いそうだったんで、
岩波文庫まで手を出せませんでした。
にしても、ずいぶん訳が違うもんですねぇ。
ぱっと見じゃ、同じ詩だとは気づきにくそう。
確かに岩波文庫版のほうが、すっきりしてて分かりやすいですね。
一方マール社のほうは、訳も面白いけど、
やっぱりあの絵と装丁につきます。
どちらにも共通するのは、お酒臭そうってことかな(笑)

sa-kiっち、おはようございます~。
(そうです、おはよう、です^^)
ほんと、読んでるだけで酔っ払いそうな本でしたね。
これは、本当はお酒片手に読むのが正しいのかも。
でも私は、あんまり強くないので…(^^ゞ
訳、かなり違うでしょう? 同じ詩を探すのはほんと大変でしたよ。
でも、どちらの本にもそれぞれの良さがあって楽しかったです。
マール社の方のあの絵と装幀は、ほんと素晴らしいですね!
手元に置いておきたい宝物本の中に早速仲間入りです。
素敵な本を教えて下さってありがとうございました。^^

四季さん、こんばんは。
南條さんの『酒仙』の佳境にも、「ルバイヤート」が出てきました~。
それ繋がりでトラバさせてくださいな♪

右の本はほんと、うっとりする美しさですねえ。
いやー、「ルバイヤート」読みたいなぁ、と思いつつ、私には歯が立たないのでは、と諦めていたのですよね。
四季さんは、古典から現代ものまで、いろいろと楽しまれていて、その咀嚼能力の高さがうらやましいです。笑
でも、右の本は眺めているだけでも、楽しそうですね。
挑戦してみようかしら?笑

つなさん、こんにちは~。
あーっ、そうだ、「酒仙」にも出てきましたねっ。
つなさんの書き込みを見るまで、すっかり忘れてました…
…今、確かめました。そういえばフィッツジェラルドまで。(笑)

わあ、咀嚼能力が高いだなんて、ありがとうございます。
えいやっと手に取ってしまえば、案外なんとかなるものですよん。^^
それに右の本は、ほんと眺めてるだけで素敵です~。
本文を読むのは、岩波文庫版の方が分かりやすいと思いますけどね。
せっかくの南條さん繋がりですし! ぜひ挑戦してみて下さいませ♪

今日は。ご無沙汰しております。

ルバイヤート。最近読んでみようかなと偶然思っていたのですが。
きゃー、マール社の方、凄く素敵!
全頁挿絵入りなのですね。
是非とも買わなくちゃ、と心を決めたのでした。

それにしても、そんなに本によって訳が違うのですね。興味深いです。

涼さん、こんにちは~。
おおっ、ルバイヤート読もうと思ってらっしゃいましたか。
涼さんには、ほんと右の本が絶賛オススメです!
綺麗ですよ~。きっとこういうのお好きだと思います。ぜひぜひ手に取ってみて下さいね♪

翻訳、本当に全然違っていてびっくりでした。
日本で読む本って重訳はほとんどなくて、原典から直接翻訳するのが基本でしょう?
でも海外はそうじゃないですよね。日本ってやっぱりいいなあ、凄いなあと改めて思いましたよ。

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