「メタモルフォーシス」アントーニーヌス・リーベラーリス

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アントーニーヌス・リーベラーリスは、「リーベラーリス」という名前から解放奴隷だったのではないかとも言われている、紀元2~3世紀頃のローマ時代の物語作家。そのリーベラーリスが古典ギリシャ語で書いたという、41のごく短い変身物語。

オウィディウスの「変身物語」(感想)みたいなものなんですが、こっちは1編ずつがとても短いです。大抵2~3ページ程度で、短いものでは10数行というものも。オウィディウスが色んな変身物語を繋ぎ合わせて、人々の心の動きなども交えて15巻の一大叙事詩としているのに比べて、アントーニーヌス・リーベラーリスは繋ぎ合わせることにも人間の感情にも無関心だったようですね。どの物語もとても簡潔に描かれてました。
でもいくら淡々と書かれてるからといって、これって相当の教養がないと書けないのでは... 元奴隷がこんな作品を書くって一体!? と思ったら、解説によると、ローマ時代の奴隷は大抵戦争捕虜で、教養溢れる知識人も結構含まれていたんだそうです。そういった人たちは、奴隷とは言っても貴族の秘書となったり、そういった貴族の子弟のギリシャ古典教育のために家庭教師になったのだそう... なるほど。

変身にはいくつかパターンがあって、罪を犯して神々の怒りを買うか、逆に神々の憐れみを受けて変身させられるというのが中心なんですが、やっぱり罰としての変身が多いですね。そして読んでいて驚いたのは、鳥に変身する物語の多さ。少なくとも半分、多分半分以上は鳥に変身する話なんです。初期ギリシャ宗教では、死者の魂は鳥の形を取って天に飛翔するとされていて、全ての人間はかつて鳥であったという主張もあったのだそうですが... 鳥のように自由に空を飛びたいという思いも、そこには反映されていたのかなあ。(講談社学芸文庫)

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