「ふたつめの月」近藤史恵

Catégories: /

 [amazon]
1年前から契約社員として働いていた服飾雑貨の輸入会社で、念願の正社員に昇格した久里子。しかし2ヶ月も経たないうちに、業務縮小のためリストラされてしまい...。ついこの間、大喜びで報告した手前、クビになったとはなかなか言い出すことができない久里子は、リストラされる前と同じ時間に家を出る日々を送ることに。

「賢者はベンチで思索する」の続編。3編の連作短編集です。てっきりあれで終わりだと思い込んでいただけに、びっくりの続編。あんな終わり方だったのに大丈夫なのかしら、なんて心配したんですけど(と言うほどハッキリ結末を覚えてるわけじゃないんだけど・汗)、いざ読んでみたら、ぜんぜん違和感なく読めました♪(記憶も少し薄れてますが・汗)
今回は3編とも久里子の居場所探しの物語だったような気がします。社会的な居場所と、プライベートな居場所。せっかく正社員になったと思えばリストラされてしまうし、昼間ひたすら暇つぶしをする久里子。ようやく見つかった仕事は、服飾とはまるで関係ない職場だし(服飾の専門学校卒なので)、これでいいのかと悩みは尽きません。そしてもう1つのプライベートな自分の居場所は、前回いい雰囲気になりかけてた彼ですね。でもなんと彼、修業のためにイタリアに行ってしまっていたんです...! ここで彼を兄のように慕う美少女なんかも登場して、その辺りはちょっとベタ。でも感情の揺れの1つ1つが丁寧に描きこまれていて、とてもいい感じでした。
いくら直属の上司に言い渡されたとはいっても、そんなにあっさりと納得しちゃうものなの? なんて納得できない部分もあるんですが... 私だったら、最初に昇格の話を持ってきてくれた部長に相談するけどなー。でもその後の久里子の行動が本当に久里子らしくて、それはそれで良かったかな、なんて思ってしまったりするのも近藤マジックなのでしょうか。(笑)
そして赤坂老人の言葉には、相変わらず含蓄がありました。今回特に印象に残ったのは、怒りや憎しみといった心の働きと冷静な判断を下す頭の働きは別物で、どちらを優先させてもいけないという部分。あとは「今、日本では人を殺す人よりも、自分を殺す人の方がずっとずっと多いんだ」かな。色々問題はあるようですけど、やっぱり素敵な人でした♪(文藝春秋)


+シリーズ既刊の感想+
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「にわか大根」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(1)

Trackbacks(1)

「ふたつめの月」近藤史恵 へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

ふたつめの月 近藤 史恵 アレ?この主人公と老人、なんかどっかで知ってるような……。 そう思いながらも、分からないまま読み進んでしまった。 ... » Lire la suite

Commentaires(4)

四季さん、こんばんわ。
キリコちゃんシリーズ以外の近藤さんの作品を読んでみたいと思っていました。
謎解き以外の部分も素敵ですよね。
まずは「賢者はベンチで思索する」ですね。
ところで、モップのナントカという、新しい本が出ているみたいなんですが、
キリコちゃんシリーズも、続くんでしょうか?

ia.さん、こんにちは~。
キリコちゃん、お好きなんですね!
うんうん、ほんと謎解き以外の部分も、いいんですよね~。
近藤さん、大好きです。実はほとんど全部読んでます。
読んでない唯一の本が、キリコちゃんのシリーズの新刊なんですよ。
確か「モップの魔女は呪文を知ってる」だったかな…?
シリーズ、どうなんでしょうね。まだ続きそうな気もしますが。

近藤さんはシリーズ物が多いんですよね。
「ねむりねずみ」に始まる梨園シリーズがすごく素敵なので、大プッシュです。
「カナリヤは眠れない」に始まる整体師の合田先生のシリーズもいいですし。
もちろん「賢者はベンチで思索する」も、ぜひどうぞ~♪

こんばんわ。TBさせていただきました。
読んでいる途中で、「続編かも・・・」と思い始めました。
やっぱりそうだったんですね・・・
誘拐ってなんだろうって思いましたもん・・・。
でも面白かったので良いです^^
「賢者はベンチで模索する」も読んでみようと思います。

久美子は私と同い年だからか、結構共感できました。
私もうじうじと考えちゃうタイプなので。
でも、最後は前向きになりましたよね。
私はまだそこまで言ってないかも・・・。

苗坊さん、こんにちは~。
そっか、続編と知らずに読んでしまわれたのですね。
これだけでも、十分楽しめるとは思うのですが、
誘拐のほかにも、ちょっと唐突に感じられた部分があったかもしれないですねー。
ぜひ記憶が鮮やかなうちに、「賢者」の方も読んでみて下さいませ。
あの2人の出会いの場面なんかもありますので♪

わー、久里子と同じ年ですか。若いなー。(羨)
苗坊さんのブログを見てても、全然「うじうじ」なんて感じはしませんが!
前向きになれると、気持ちがかなり楽になりそうですねー。

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.