「ファンタジーの大学」

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みなみらんぼう、桂宥子、猪熊葉子、井村君江、鷲津名都江、森省二、上野瞭、小原信、横川寿美子、田中貴子、吉田新一、松田司郎という、児童文学やファンタジーに造詣の深い12人によるファンタジー論。タイトルに「大学」なんてついてますが、堅苦しいものではなくて、むしろ一般向けの特別講習みたいな感じですね。

色々面白い話があったんですけど、その中で「へええ」と思ったのは、横川寿美子さんの「アヴォンリーという名のファンタジーランド 赤毛のアンの世界」。全体の要旨は「赤毛のアン」の物語の中の「ほっとした気分になれる」要素とは何かという、私としてはそれほど興味を引かれないものだったんですが、アヴォンリーという場所の特異性が指摘されてたのが面白かったです。「赤毛のアン」といえば、そこから派生してプリンスエドワード島の写真集なんかも出てることからも分かるように、いつか行ってみたいと思う人がすごく多い場所。アンは色んな場所を見ては感激して、自分だけの呼び名をつけているし、とても美しい場所だというイメージがあります。でもアヴォンリーではあれだけ景色の描写が念入りにされているのに、物語の冒頭はそうでもないんですよね。マシュウがアンを迎えに行った駅とか、そこから馬車に乗って眺めた景色とか、そういうのは全然描かれていないんです。
どこからあの描写が始まるかといえば、それは「歓喜の白い路」のりんごの並木道から。横川寿美子さんいわく、赤毛のアンの世界では、ここが外界とアヴォンリーを結ぶトンネルとなっていて、アヴォンリーはファンタジーランドの性質をそっくり持った異界となっているのだそうです。ファンタジーランドなのは、アヴォンリーを中心にせいぜい5マイル程度。時にはその外の世界へと出かけることはあるけれど、外に出てしまうとやっぱりまた描写がなくなってしまうのだとか。...そうなんですか! 最初に駅に着いてから途中までの描写が全然ないのは気づいてたし、アヴォンリーに着いた時のアンの感激を際立たせるためかなあ、なんてぼんやり思ってたんですけど、なんとアヴォンリーがファンタジーランドだったとは。これは今まで考えもしませんでしたが、あり得る話ですね。面白いなあ。

そのほかの論も、トールキンやルイス・キャロル、マザーグースやマッチ売りの少女、ピーター・パン、星の王子さま、宮澤賢治など、誰もが知ってるような身近な作家や作品を取り上げていて、なかなか面白かったです。(DHC)

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プリンスエドワード島。
じつは、あそこは、先住民のミクマク族の聖地だったそうです。

「ミクマク族の聖地」というと、スティーブン・キングの「ペットセマタリー」!
死者をよみがえらせる機能を搭載した、聖なる場所です。
京都で言えば、一条戻橋。
…このことは、少し前、記事に書きました(と、無理やりトラックバックを送りつけておきますね…汗)

だから、アヴォンリーの橋とか、花のトンネルとかは、異界とこの世をつなぐルート。
まちがいないです。


私の考える「アンのその後」では、ダイアナがまず死にます(;・∀・)
そして、アンは彼女をよみがえらせるため、禁断のミクマクの呪文(ミクマクマヤコン)を使う。
よみがえったダイアナは、魔女となったアンの式神として使役されます。

ダイアナの死は、じつはマリラが仕組んだもの。
マリラは、セイラムの魔女裁判をからくも逃れた、元魔女。
孤児アンに、ミクマクの血が混じっていることを知って、引き取ったのです。

アンはやがて、マリラをもはるかにしのぐ魔女として覚醒。
プリンスエドワード島には、各地に散っていたミクマク族の末裔たちが集まり、
アンを女首長として、カナダ・合衆国軍を相手に、独立戦争を挑みます。
独立軍の先頭には、真っ赤な髪を振り乱す、アンの姿があった。。

…これが、本当の赤毛のアンのストーリーです。
まちがいないです(;・∀・)v

うわー、間違いありませんか。そうなんだ。
しかも、全ての道はやっぱり京都に通じているようで…(笑)

ミクマク族の聖地だったのなら、モンゴメリーもきっと知ってますよね。
となると、ここに描かれている異世界は、実は意図的なものだったということですよね。
へええ。
今、この本を読み返したら、以前とは全然違う情景が見えてきそうです。
ほんと少女時代のアンって、魔女っ子さんですものね~。

「ミクマクマヤコン」で死人を蘇らせるミクマク族に対抗して
呪文「マハリクマハリタ」を駆使するマハリク族の存在もあったという
噂を聞いたことがあるような気がするのは、気のせいでしょうか。
ダイアナは、実はミクマクとマハリクの闘争の犠牲になったのやも…
マハリク族の族長の名前はサリーだと聞いたことがあります。
…もしかしたら、地球上での話ではなくて
宇宙空間を舞台にした壮大な物語かもしれません★
(す、すみませんっ)

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