「あくび猫」南條竹則

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虎猫のチビが生まれたのは、いい年して未だ独身のあくび先生の家の物置。あくび先生が子供の頃に飼っていた猫によく似ていたことから、チビはそのままあくび先生の家に居つくことになります。美味しいものとお酒に目がなく、食事の誘いを断ったことがないというあくび先生。連れて行ってもらえない時は、「猫爾薀(ねこにおん)」という技を使ってあくび先生を追いかけるチビの目を通してみた美食の人々の物語。

どうやら「食と酒」がライフワーク化している印象の南條竹則さん、この作品は「満漢全席」系の、作者の姿がそのまま出ているようなグルメ小説。実際に、登場人物が重なっているようですね。そんな物語が「我輩は猫である」的に猫のチビの視点から描かれています。
「満漢全席」は、食という意味ではものすごく美味しそう、でも読み物としての面白さは...(えへへ) だったんですよね。今回は、料理も話もそこそこ、だったかな。あ、でも1つものすごく美味しそうな料理がありました。それは「仙人雲遊」というお料理。名前からしてそそるんですが(笑)、これは「大皿の上に、雪のように白い粒々と、水飴みたいな色をした形さだかならぬものとが茫漠たる形姿を描いている。その上にすきとおったゼリー状の膜がかかって、あたかも雲の上から不思議な世界を見下ろしているみたい」な料理。透明な膜は熱いタピオカ、白い粒々は烏賊、飴色のものは白キクラゲなのだそうです。これは食べてみたーい。
基本的に食べたり飲んだりの話ばかりで、ストーリーの展開としては特にないし、せっかくの「猫爾薀」もイマヒトツ生かされてないし、小説としては「酒仙」や「遊仙譜」の方が断然好き!なんですが、あくび先生や同僚の大学の先生たち、出版関係者なんかが集まっての、友人知人の近況や旅行のエピソード、英国詩からいろは歌の解釈までの幅広い話題は結構楽しめました。「満漢全席」が実録小説だったことを考えると、こちらもきっとかなり実話に近いんでしょうね。あくび先生の同僚のオメガ先生がメザシ書房から本を1冊出すたびに豚の丸焼きパーティがあるというのも、果たして元になる実話があるのかな...? (文藝春秋)


+既読の南條竹則作品の感想+
「セレス」南條竹則
「りえちゃんとマーおじさん」南條竹則
「鬼仙」南條竹則
「あくび猫」南條竹則
「魔法探偵」南條竹則
Livreに「酒仙」「満漢全席」「遊仙譜」「ドリトル先生の英国」の感想があります)

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