「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック

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戯曲「ロボット」によって一躍国際的名声を得たカレル・チャペックは、1924年にロンドンで開かれた国際ペンクラブ大会に招待され、その時ロンドン郊外のウェンブリーで開催中だった大英博覧会の取材も兼ねて、2ヶ月間かけてイギリス国内、スコットランドやアイルランドまでまわったのだそう。そしてスペイン旅行は、1929年の時。それぞれの旅行で見た多種多様な風物を、チャペック自身の絵入りで紹介した本です。

チャペックがこの旅行記を書いてから、1世紀弱が経とうとしてるんですけど、全然古さを感じさせないのがすごいです。特にイギリス。もしかしたら、当時から全然変わってないんじゃないかしら、なんて思ってしまうほど。
「あらゆる民族的慣習に特別な共感を持」ち、「あらゆる民族的特性を、この世界を極度に豊かにするものと考え」ているチャペックは、自国の習慣をしっかり維持しているイギリス人に、とても好感を持っていたみたい。イギリスの最大の長所は、その島国性にあるとして、イギリスの長所も短所も公平に書いています。この辺りを読んでると、同じ島国だけに、もしチャペックが日本を訪れていたらどうだったんだろう、なんて考えちゃいます。「腰をすえたところにはどこにでも、ブリテン島が生じる」とまで言われるイギリス人ほど、いい意味でも悪い意味でも頑固ではない日本人。きっと自国の伝統をあまり大切にしていない部分が目についてしまうでしょうけど、イギリス人の特性として書かれていることで日本人にも当てはまる部分は、結構あるんですよね。思わず、わが身を振り返りたくなってしまいます。
そして印象に残ったのは、まえがき。イギリスで沢山の観光名所や歴史的な記念碑を見て回っても、チャペックにとってのイギリスは、列車の中から一瞬見えた一軒の赤い小さな家の情景だったんですって。その家の片側では、老紳士が生垣を刈り込んで、反対側では、少女が自転車で走っていて...。同じように、チャペックにとってのドイツは、バイエルン州で見かけた、人気のない古い居酒屋の情景、フランスは、パリの外れの居酒屋で青いスモックを着た農夫がワインを飲んでる情景 ...ああ、なんだかとっても分かる気がします。

「スペイン旅行記」は光と影の国、情熱の国スペインの魅力がたっぷり詰まった1冊。スペインらしい闘牛とかフラメンコ、そしてスペイン絵画の巨匠についてもたっぷりと書かれているんですが、私が一番惹かれたのは、セビーリャの女性の美しさを褒め称えた章。ここで描かれてるセビーリャ女性たちの魅力的なことったら! 読んでいるとものすごく羨ましくなってしまうし、ものすごーくセビーリャに行ってみたくなります。王冠か光背のように髪を飾る螺鈿細工の竪櫛、その上からかぶる黒や白のレース製のマンティーリャ、重い房飾りのついた大きな薔薇の刺繍のあるショール、欲ーしーいー。(それがあったからって、セビーリャ女性になれるわけではないのだけど)

これともう1冊チェコスロヴァキアの本があって、こちらも合わせて読もうと思ったんですが、私、チェコスロヴァキアの地名を全然知らないんですよね。あまりに聞いたことのない地名ばかりなので、読んでてもアタマの上を素通りしてしまう... ので、もうしばらく置いておいて、ちょっと熟成させてみようと思います。(ちくま文庫)


+既読のカレル・チャペック作品の感想+
「ダーシェンカ」「チャペックの犬と猫のお話」「園芸家12ヶ月」カレル・チャペック
「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック
「ロボット」チャペック
「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック
「北欧の旅」カレル・チャペック

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