「ミケルの庭」「この庭に 黒いミンクの話」梨木香歩

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北方の国に来ている「私」は、ここ数日間、家の中にあったアルコールとオイル・サーディンだけで生きのびている状態。そんなある日、窓のカーテンの隙間から外を見た「私」は、門柱のところに立ってじっと庭を見つめている女の子に気づきます。ふらふらと外に出る「私」。そんな「私」に、女の子は「この庭に、ミンクがいる気がしてしようがないの」と言うのですが... という「この庭に」と、その前日譚とも言える「ミケルの庭」。

大好きだったはずなのに、ちょっぴり気持ちが離れ気味? 去年の暮れに新刊が出てたのに、読むのが今頃になってしまいました。「この庭に」は、文庫版「りかさん」に収録されている「ミケルの庭」の続編とのことなので、せっかくだし、「ミケルの庭」も再読です。「ミケルの庭」のミケルとは、「からくりからくさ」に登場するマーガレットの産んだ赤ちゃん。ほとんど育児ノイローゼになりかけていたマーガレットが、ミケルが1歳になって乳離れしたのを機に、同居している3人にミケルを任せて中国に短期留学に行っている間の物語。
続編とはされていても、「この庭に」は「ミケルの庭」の数年後の物語だし、共通する登場人物がミケルだというだけで、物語としては特に繋がってないんですね。「この庭に」は、物語としての展開も特になくて、ほとんどアル中状態の「私」が見る妄想のような情景が移り変わっていくだけ。現実世界と異世界の境目がすっかり薄れてしまって、どこにあるのか分からなくなってしまったような感じです。それにしても精神的にかなり荒んで、殻に閉じこもってしまっているミケルの姿が痛々しい...。これはもしかして、胎内にいた時のマーガレットの不安定さを受け継いでしまったのかしら。なんて思うと、なんだか怖くなってくるし、これから本当に真っ当な人生が送れるのか、本当に心配になってしまいます。
挿絵が多いせいか、本は児童書のところに置かれてるんですけど、これは実は結構激しい作品ですね。須藤由希子さんのモノトーンの挿絵の中に、血の赤が鮮烈でどっきり。(理論社)


+既読の梨木香歩作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「ぐるりのこと」の感想)
「沼地のある森を抜けて」梨木香歩
「水辺にて」梨木香歩
「ミケルの庭」「この庭に 黒いミンクの話」梨木香歩
Livreに、これ以前の全作品の感想があります。

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梨木 香歩, 須藤 由希子 「この庭に―黒いミンクの話 」 理論社 北国の窪地にある家に、引き篭もったある人物の視点で語られる物語。 物語... » Lire la suite

Commentaires(2)

四季さん、こんばんはー。
ちょっぴりご無沙汰してます。
南條さんも続々と読み進めていらっしゃるのですね!
私、出遅れてますー。笑

さて、「この庭に」ですが、確かに血の赤が鮮烈でしたねえ。
ミケルはやっぱり生き辛いんだろうなぁ、と痛ましくも感じたのですが、サーディンのイメージが好きでした。

*トラバいたしました。

つなさん、こんにちはー。おかえりなさい!
ご旅行はいかがでしたか~?
そうなんです、南條さんも着々と読み進めてます。
あと5冊ぐらい未読の作品があるんですけど(小説だけで、ですが)
つなさんオススメの「猫城」と「寿宴」は最後にしようかと~。
「寿宴」の前に、「満漢全席」を再読をしておいた方がいいですかね?(笑)

あ、あのサーディン、可愛かったですね。頭とバラバラでも元気に泳いでいて。(笑)
ミケルはほんと心配ですが…

TBありがとうございます。こちらからもさせて頂きますね。^^

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