「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生

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紀元68年の皇帝ネロの自死から、紀元97年の五賢帝の最初の1人・トライアヌスの登場までの29年間は、ガルバ、オトー、ヴィテリウス、ヴェスパシアヌス、ティトゥス、ドミティアヌス、ネルヴァという7人次々にが即位することになったという、ローマ帝国史上における「危機と克服」の時代。タキトゥスの「歴史」他の資料を元に、塩野七生さんが自分の考えも交えながら描き出していくローマ史です。

最近、リンゼイ・デイヴィスのファルコシリーズ(感想)にハマってるんですが、そのシリーズを読みながら、この時代についてもっと知りたいなあと思ってたんです。この「ローマ人の物語」は通読するにはかなり長いけど、ローマ帝国500年の歴史を年代順に追ってるので、読みたいところを集中的に読むのに便利ですね! しかもヴェスパシアヌス帝という、どちらかというと地味な時代のことを知りたいなら尚更。(笑)
いやあ、面白かったです。主要な登場人物の名前が既に頭に入ってるっていうのも大きいかもしれませんが、もしそうでなかったとしても、これならきっと面白く読めたはず。学者の書く歴史とは違う、作家として描き出す歴史は、読み物としてすごく面白いし、しかもすごく分かりやすかった。暴君として悪名高いカリグラやネロ、そして五賢帝の時代に挟まれて、どうしても地味に思われがちなこの時代なんですけど、いやあ、全然地味じゃないです。スペイン北東部の属州総督としては公正な統治をしていたたガルバ、ルジタニア属州の総督として善政が評判だったオトー、特に何もしてはいなかったけれど、マイナス材料もなかったヴィテリウスの3人が、なぜ皇帝としては失敗だったのか、3人の相次ぐ死で乱れ切っていたローマ帝国を、なぜ「田舎者丸出し」だったヴェスパシアヌスが立て直すことができたのか、よーく分かりました。それぞれの人間性が丁寧に描かれていくことによって、すごく説得力が出てきますね。

ファルコシリーズでは、ヴェスパシアヌスとティトゥス、ドミティアヌスが登場してて、3人ともファルコに散々な言われようをしてたりするんですけど、あれはまあ愛情の裏返しということで...。(笑) やっぱりこの3人の堅実ぶりはいいですね。カエサルのようなカリスマ性はなくても、華々しい偉業がなくても、日々の地道な努力で帝国を安定させ、繁栄させることは十分可能だということなんでしょう。最後のドミティアヌスは15年の治世の後に暗殺されてしまうんですけど、その彼にしたって、悪い皇帝だったとは思えないです。何よりも健全な財政を次世代に引き継いだというのが大きいし... この3人がいたからこそ、五賢帝が五賢帝でいられたとも言えそう。
古代ローマには以前から微妙な苦手意識があったんですが、どうやら払拭できそうな予感です。(新潮文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず」1・2 塩野七生
「ローマ人の物語 ハンニバル戦記」3~5 塩野七生
「ローマ人の物語 勝者の混迷」6・7 塩野七生
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」8~10 塩野七生(再読)
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以降」11~13 塩野七生
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生
「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」17~20 塩野七生
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
「ローマ人の物語 賢帝の世紀」24~26 塩野七生
「ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず」塩野七生

+既読の塩野七生作品の感想+
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生

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Commentaires(4)

他の本の関連で読まれましたか。そういう読みかたができるととても興味深いですね。
ローマ人の物語は、確かに時代ごとに切り読み?ができるので便利だと思います。この時代は全然興味なかったのですが、こうやって感想読んでみるとおもしろそうだなぁ。
ポピュラーなところでカエサル(3冊)とハンニバルとスキピオ(3冊)だけ読みました!

本を読んでいるうちに、関連する他のことに興味が出てきて
今度はそっちに手を伸ばして… というのは、読書の醍醐味の1つですよね。
…下手すると、なかなか本筋に戻って来れなくなることもあって困るんですけど。(笑)
あ、カエサルね、丁度「ガリア戦記」を読もうと思ってたところなんですよー。
「ローマ人の物語」がこんなに面白いなら、先にカエサルの部分も読んでおこうかな、なんて思い始めてます。

こんにちは。
「ローマ人の物語」カエサルの部分は超面白いです!
ハンニバルもなかなか。
ところで最近ファルコシリーズが気になっております。
面白そうですね。

木曽さん、こんにちは。
おお、「超面白い」だなんて言われてしまうと、もう読むしかないって感じですね。(笑)
この3冊を読んでても、塩野七生さんがカエサルのこと相当好きそうな感じが伝わってきました。
かなり力が入ってそうですね。(笑)

ファルコシリーズ、面白いですよー。ぜひぜひ!

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