「悪魔の手紙」C.S.ルイス

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悪魔の最も重要な仕事の1つは、人間を誘惑し堕落させること。これは、かつて多大な功績を挙げて今は引退している大悪魔のスクルーテイプが、新人の悪魔である甥のワームウッドに対して書き綴った31通の書簡集。なかなか上手く人間を誘惑しきれないでいるワームウッドに対して、スクルーテイプはいかに人間を惑わせてキリスト教に背を向けさせ、堕落に至らしめるか、様々な状況に応じた助言をしていきます。

人間とはいかに弱い存在か、いかに周囲の環境に染まりやすい存在かということを、ターゲットである人間自身には悟らせないように、目の前にある現実に集中させておこうとする悪魔たち。たとえば、かつてスクルーテイプが大英博物館の図書館に通っていた無心論者の男を担当していた時は、ある日突然敵(神)のことを考え始めた男に対して、すかさず外に昼食に出させて、ロンドンの町という現実を目の当たりさせたのだとか。悪魔の何世紀にも渡る根回しによって、人間は見慣れているものが目の前にある間は、見慣れないものを信じることがほとんどできなくなっているのだそうです。へえー。
時々どきりとさせられる箇所があって、知らず知らずのうちに、悪魔の思惑通りに行動していることもあるかもしれないなあって思わせられてしまいます。ルイスの人間洞察って鋭いなあ。結局のところ、全編通して悪魔の視点から書かれているんですが、同時に悪魔の言葉を通してキリスト教について語る作品でもあるんですね。そして、ここにはワームウッドからの報告の手紙は一切登場していなくて、読めるのはスクルーテイプからの返信だけ。ワームウッドがどんな泣き言や文句を言ってきたのか、想像するのもちょっと楽しかったりして。
この作品は、「指輪物語」のトールキンに捧げられているんですが... これを読んだトールキンはどんなことを感じたんだろう? というのがとっても気になるところ。トールキン側の資料に何か残ってないかしら?(平凡社ライブラリー)


+既読のC.S.ルイス作品の感想+
「マラカンドラ」「ペレランドラ」C.S.ルイス
「サルカンドラ」C.S.ルイス
「顔を持つまで 王女プシケーと姉オリュアルの愛の神話」C.S.ルイス
「悪魔の手紙」C.S.ルイス
「喜びのおとずれ C.S.ルイス自叙伝」C.S.ルイス
「カスピアン王子のつのぶえ」他 C.S.ルイス

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Commentaires(2)

四季さん、こんちは~
四季さんのレビューを読んで、私もこの本を持っていることを思い出しました。おもしろそうですね。読んでみよっと・・・まずどこにしまったか探し出さないと(笑)

のんさん、こんにちは!
おお、のんさんも持ってらっしゃいましたか。後半若干だれる気もしたんですが、面白かったですよ。
あとC.S.ルイスなら、先日読んだ「愛はあまりにも若く」がものすごく面白かったです~♪

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