「ブルーミング」スーザン・アレン・トウス

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1950年代、アイオワのエイムズは、離婚した夫婦は1組だけ、殺人事件が起きたのは1回きり、アルバイトといえばベビーシッターかトウモロコシの雄穂摘みぐらいしかないような、静かな時代の静かな町。そんな小さな町での、「何も起こらなかった」けれど様々な思い出が濃密に詰まっている少女時代を描く、スーザン・アレン・トウスの回想録。

ああー、古き良きアメリカ! 作者自身冒頭で、当時は通販カタログの表紙の写真のような、背が高くてハンサムな夫と頬の赤い2人の子供、アイリッシュセッターに囲まれてピクニックをしている美人でお洒落な女性が理想の姿だったと書いてるんですけど、でもほんと、読んでいたら一昔前のアメリカのコマーシャルに出て来そうな、そんな幸せそうな情景を思い浮かべてしまいました。作者のスーザン・アレン・トウス自身は、早くに父親を亡くして母子家庭だったんですけどね。本に収められていた家族写真が、まさにそのイメージだったし~。髪の毛がくるくるとカールして可愛らしい姉妹と、(それほどハンサムではないけれど)優しそうな笑顔のお父さん、そして美人でお洒落なお母さん。(いかにも働く女性という知的な雰囲気)
現在の1人娘とのやり取りの合間に、思い浮かぶままに思い出を連ねていったというような回想録で、あまり整理されているとは言えないかもしれないんですけど、そのさりげなさが読んでいてとても心地よかったし、1人の少女の等身大の姿が伝わってくるところが、とても素敵でした。少女たちの親友作りと水面下でのライバル関係、男の子たちの目を意識しながらのプールやパジャマ・パーティ。パーティのためのドレスを自分で作るのは当たり前で、自分を最大限に魅力的に演出するために知恵を絞り、男の子とは時間をかけて恋を育んだ時代。作者自身が「男女交際の速度が高速道路並みにスピードアップされ、わたし自身、すぐにベッドに誘おうと試みない男性がいると、ゲイかもしれないわと思う今の時代には、とても信じられないかもしれないけれど」と書いているように、今のアメリカには、こんな恋愛はもうないんでしょうね。でもこんな風にゆっくりと手探りで進んで、一線を越えるかどうかで悩んじゃうような恋愛の方が、精神的には遥かに豊かに感じられちゃうな。
なんだか少女たちのざわめきやくすくす笑いが聞こえてきそうな回想録で、良かったです!(新潮クレストブックス)

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