「雪沼とその周辺」堀江敏幸

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雪沼の小さなボーリング場、リトルベアーボウル最後の日。午前11時からの営業だというのに、夜9時を回っても誰1人として客がなかったその日、見切りをつけて壁の照明を落とした時に入ってきたのは、トイレを借りたいという若い男女でした... という「スタンス・ドット」他、山間の静かな町である雪沼とその周辺に住む人々を描いた全7編の連作短編集。

堀江敏幸さんの作品を読むのは今回が初めて。今までたらいまわしの時などにお名前を見かけていてずっと気になっていたんですが、ようやく読めました。
いやあ、良かった。解説で池澤夏樹さんも書いてらっしゃるんですけど、読んでいる間、まさに自分も雪沼にいるような気がしてくるような作品群でした。雪沼という場所の空気をそのまま感じることのできるような... 雪が降る時の匂いまで感じられそう。そしてこの雪沼で暮らしている人々。他人から見たら、平凡極まりない人生かもしれないんですけど、それぞれにとってはただ1つのかけがえのない人生を、彼らなりにきちんと向き合って生きてるんですよね。その中でとても強く感じたのは、「死」の存在。それぞれの物語の中では過去の話も多く語られていて、身近な人間の死の思い出も多いんです。それに中心で語られている人物もそれぞれに人生の終盤に差し掛かっていて、そう遠くない将来の「死」を感じさせます。でも落ち着いた筆致で描かれているので、過去の「死」は遠景として眺めることができるし、登場人物たちもそれぞれに自分の遠くない「死」そのことを静かに受け入れている、もしくはその時になればごく当たり前のこととして静かに受け止めそうな感じ。だからこんな静かな力強さが生まれるのかなあ...。読後、しみじみとした余韻が残りました。堀江敏幸さんの作品、他のも読んでみたいです。(新潮文庫)


+既読の堀江敏幸作品の感想+
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「いつか王子駅で」堀江敏幸

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Commentaires(2)

はじめましてこんばんわ。
私も堀江さんのこの作品大好きです。決して派手ではないし、地味な作品かもしれないけどとても美しい文章でレベル高いなあと思いました。心に沁みますね。

peco0102さん、はじめまして、こんにちは!
コメントありがとうございます。この作品はほんといいですね。
最近海外作品を読むことが多かったんですけど、こういう作品を読むと日本もいいなあって思いますね。

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