「ケストナーの『ほらふき男爵』」E・ケストナー

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ナチスによって著書が焚書の対象となり、執筆・出版を禁止されたエーリヒ・ケストナーが、その執筆禁止を逆手にとって、既存の物語の再話なら執筆には当たらないだろうと、「ほらふき男爵」をはじめとする広く知られたお話を子供のために再話したもの。ドイツ国内では出版できなかったため、スイスで出版され、スイス経由でドイツの書店に登場したのだそうです。ここに収録されているのは、「ほらふき男爵」「ドン・キホーテ」「シルダの町の人びと」「オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」の6編。

ここに収められた6編のうち、私が元々の作品を読んでいるのは「ほらふき男爵」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」の3編だけなんですが(「ドン・キホーテ」は、児童用の簡易版なら読んでるんですけど、大元のは未読)、どれも元々の話のそのままの筋なのに、ケストナーらしさがよく効いていて、お話の面白さが元のお話以上に際立っているような気がしました。テンポもいいし、ケストナー独特の語り口が楽しい~。特に「ガリバー旅行記」と「ドン・キホーテ」は元々大人向けとして書かれた本ですしね。子供が読むには、このケストナー版の方が絶対面白いでしょうね。(「ガリバー旅行記」の大人版を読んだ時は、この作者絶対病気だわ、と思った覚えが...)
ゲシュタポに2度も逮捕されながらも、周囲の作家が一斉に亡命していく中、ドイツ国内に留まって自国の崩壊を見つめてきたケストナー。でも、常に社会風刺には富んでるんですが、悲惨さや哀しさは作品に現れることがなくて、作品はあくまでも伸びやか。窮屈なところが全然ないのがすごいです。で、そこにケストナーの作品でお馴染みのレムケの挿絵がぴったり。そしてレムケの死後は、後輩のトリヤーが後を引き継いでいます。(ちくま文庫)


右手の人差し指の爪がバキッと割れてしまって、キーボードを打つのがツラい...
いえ、かなりマシになったんですけどね。イタタ。


+既読のエーリヒ・ケストナー作品の感想+
「点子ちゃんとアントン」エーリヒ・ケストナー
「ケストナーの『ほらふき男爵』」E・ケストナー
Livreに「雪の中の三人男・ガス屋クニッテル」「消え失せた密画」「一杯の珈琲から」の感想があります)

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 これはたしか、Ciel Bleu で紹介されていたのを見て「お、こんなの文庫に落ちてるんだ」と気がついて購入したんじゃなかったかな……。  新年初読み小説は、... » Lire la suite

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私も子供の時、「ほらふき男爵」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」を童話全集で読みました。
中でも、「ほらふき男爵」の載っていた本は好きで、今もあります。
(ボロボロですけど)
同じ作者の方だったんですね!
本当に卑屈なところがなく、自由な笑いがありますよね。
「ドン・キホーテ」も一度読みたいと思っていたので、これを機に読んでみようかなと思います。

あ、ごめんなさい、元々は同じ作者の作品ではないんですよ~。
たとえば「ガリバー旅行記」はスウィフト、「ドン・キホーテ」はセルバンテス、「長靴をはいた猫」はペロー童話だし
「ほらふき男爵」はビュルガーだったかな…?
そういった、その時既に有名になってた話を、ケストナーが子供用に書き直したというものなんです。
「ドン・キホーテ」は元はかなり長い話なので(岩波文庫で全6巻)、これを入門編にするのもよさそうですよ~。
他の話も、私は元の話をかなり前に読んだっきりで、ちゃんと比べることができなかったんですけど
今も本をお持ちだったら、どんな風に違うのかもっとはっきり感じられて楽しそうです♪

同じ作者というのは私の早とちりでしたね(^^;
確認したら「ビュルガー作」となっていました。
読み比べてみるのは面白そうですね。

たぶん小学校の入学祝いに買ってもらった本で、
捨てそびれただけなんですけど、
今となっては貴重かな?と思っています。
ボロボロなんで値打はないですけど(笑)

捨てそびれただけだなんて言わずに、大切にしてあげてください~。
私も子どもの頃の本はまだ結構持ってて、祖母の家に置いてあるんですよ。
見るとついつい読みたくなっちゃうし、今となってはどれも捨てられない本ばかりです。
まあ、同じく実際の値打ちはほとんどないんでしょうけどね~。(笑)
そういうのばかりが価値というわけでもないですものね。^^

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