「サラシナ」芝田勝茂

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虫がついた葉を切ろうとして、丹精こめて育てていたひょうたんのつるそのものを切ってしまい、落ち込むサキ。しかしそんなある晩、サキの夢の中にそのひょうたんが出てきます。夢の中のひょうたんはつるを切られてなどおらず、つっかい棒をつたって元気に壁を登っていました。それからというもの、ひょうたんは毎日のように夢に登場し、どんどん伸びて花が咲き、実がなります。サキは夢の中のひょうたんをもいで加工、夢の中の部屋に飾ることに。そしてもう夢も終わりだろうと思ったその時、ひょうたんを持っていたサキは空に浮かんだのです。そのまま窓の外に出て、空を飛んでいたサキが降り立ったのは、古い時代の武蔵の国。そこでサキは不破麻呂という若者に出会うことに。

芝田勝茂さんの作品を読むのは初めて。風待屋 の sa-ki さんに教えて頂いたんですが、いやあ、可愛らしいお話でした! 中心となっているのは菅原孝標の女の「更科日記」(だから「サラシナ」)の中の「竹芝伝説」で、史実と虚構を織り交ぜて書かれたタイムスリップ物。タイムスリップ先は聖武天皇の時代。先日読んだ高橋克彦さんの「風の陣」(感想)よりも、ちょっぴり時代を遡った頃。
ピンクのネグリジェ姿で空から降りてきたサキは、見慣れた多摩川があんまり綺麗で、しかも人影が全然ないんで、服を脱いで川で泳いだりするんですよね。それを見ていた不破麻呂が天女伝説と結びつけてしまうところが、まず可愛い~。天女とは言っても、案外本当にそんなところかもしれないですものね。宇宙服を脱いだ宇宙人とか。(笑) でもって、不破麻呂に出会った後の古代の多摩川での描写が素敵なんです。「多摩川に 晒す手作り さらさらに 何ぞこの娘の ここだ愛しき」と歌いながらの川で布を晒す娘たちや、酒壷の中でゆらゆらとゆれてる直柄のひさごとか... 不破麻呂のひさごの歌と踊りが見てみたくて堪らなーい。
で、一旦現代に戻るサキなんですが、またこの時代に来ることになります。でも今度は天女としてではなくて、天皇の第4子の竹姫こと更科内親王として。なんでここで竹姫になっちゃうのかという必然性については、ちょっと疑問なんですが... 更級日記だから天皇の姫にする必要があるのは分かるんだけど、サキがそうなる必要は特にないですしね。でも竹姫の祖母の皇太后が語る恋物語に竹姫自身の話、そしてサキと不破麻呂の話が重なって、この時代をすごく身近に瑞々しく感じることができたので、まあいっかという感じでした。サキよりもむしろ竹姫の方が身近に迫ってきましたし。ああ、この話の後、どうなったのか気になるなあ。サキの2度目の登場の仕方からいえば、この後彼はちゃんと幸せに暮らしたんじゃないかとも思うんだけど... それはまた別の話なんですね。きっと。(あかね書房)

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Commentaires(4)

あ、「サラシナ」読まれたんですね!
可愛らしいですよね~。
雰囲気そのものも大好きなんですが、
タイムスリップもので、歴史と関連があることも、
ポイント高かったです。
それに、不思議なひょうたんと
頼りがいのある不破麻呂に心奪われちゃった♪

確かに竹姫になってしまった理由があれだけだと、
説得力に欠けますね。
サキが竹姫の血筋とか生まれ変わりとか、
二人の間に強い縁があってもよかったかも。
他にも設定に甘いところはあったけど、
児童書だと思うとあまり気になりませんでした。

そうそう、あの後どうなったのか、
すっごく気になりますよね~。
私は四季っちとちょっと違う展開を想像しました。

読みました~。
昨日の朝感想をアップして、その足でご報告に伺うつもりだったのに
結局行けなくてごめんなさい~。見つけて下さってありがとうございます。
ほんと可愛いお話だったし、なにしろ不破麻呂が良かったですよね。好き好き♪
歴史的にも、先日読んだ本にも真備が出てきたりで結構繋がってたので、また違う表情を楽しめました。

うん、竹姫とはもっと縁が欲しかったですね。
ほかのところは私も気にならなかったんだけど、これだけは気になっちゃった。
と言いつつ、これだって読んでるうちによくなってきちゃったんですけど。(笑)

おお、sa-kiっちはまた違う展開を想像されましたか。
ほんと、どうなったんだろう。竹姫のことも気になります~。

いつもながら、四季さん感想を 読んだら、つい、その本を 読みたくなります。
今度 借りてみたいと思います。

大人の本ばかりでちょっとスレてきたかな~って頃に児童書を読むと
なんだか心が柔らかくなるような気がして好きなんですよね。
紅子さんにも楽しんでいただけるといいなあ。

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