「スティル・ライフ」池澤夏樹

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アルバイト先の染色工場で出会った佐々井と親しくなった「ぼく」。やがて佐々井はそのアルバイトをやめるのですが、ある時、3ヶ月ほど集中的にお金を作る仕事をするので、それを手伝って欲しいと言われ、「ぼく」は手伝うことに... という「スティル・ライフ」と、1人娘のカンナを置いて東北に出張に出た文彦は、帰り道のサービスエリアで木材輸出の会社に勤めるロシア人のクーキンに声をかけられ、東京まで車に乗せていくことになり、それが縁でカンナも交えて時々会うことになるという「ヤー・チャイカ」の2編。

どちらも「ぼく」と佐々井、文彦とクーキンという、ひょんなことで知り合った2人の奇妙な関係と友情を描いた作品。これはもう物語の筋を追うよりも、雰囲気を味わいながら読むべき作品かもしれませんね。もちろん物語としても面白かったんですけど、それ以上にこの雰囲気が好き~。バーで飲んでいる時の星の話、雨崎での雪の降る情景、スケートをしている時の霧の思い出話... とても透明で、静かでひんやりとした空気が流れてます。いつの間にか、自分が空の星の1つになってしまったような気がしてくるような... もしくは宇宙から降ってくる微粒子の1つになってしまったような感覚、かな。音が感じられないのに、星の音がとても豊かに聞こえてくるような気もしたり。(それって一体どんな音? なんとなく硬質なイメージなんですが・笑) そして、紛れもない小説なのに、しかも理系の話題が多いのに(笑)、ものすごく詩的なんです。
ちなみに「ヤー・チャイカ」というのは、「私はカモメ」という意味だそうです。世界で最初の女性飛行士となったテレシコワのコールサインが、この言葉だったのだとか。Wikipediaによると、1963年6月16日にボストーク6号に搭乗したとありました。そんな時代の人だったのか。すごいなあ。(中公文庫)


+既読の池澤夏樹作品の感想+
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池澤夏樹『スティル・ライフ』。 ・スティル・ライフ アルバイトで知り合った佐々井から仕事を手伝ってくれと頼まれて、承諾。 酒を飲み、話、仕事をした。 ・カー... » Lire la suite

Commentaires(2)

わー、これ、バーの部分だけ覚えています。笑
チェレンコフ光の話、魅力的でしたよねえ。
ノーベル賞の小柴教授のスーパーカミオカンデも、確かチェレンコフ放射でしたよね。
浪漫ですよねえ。

そうそう、浪漫なんですよねえ。
…おお、「浪漫」という漢字がすごく似合うなあ。
科学とか数学とか、いいですよね!
って、十把一絡げにしてしまうのも、自分でどうかと思うんですけど(笑)
高度な理系の問題が理解できる頭脳が欲しかったですー。
小柴教授のノーベル賞受賞記念で、オール図版の本も出てるみたい… 見てみたいー。

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