「夜ごとのサーカス」アンジェラ・カーター

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フェヴァーズは、「下町のヴィーナス」とも「綱渡りのヘレン」とも呼ばれる、当代随一の空中ブランコ乗り。「彼女は事実(ファクト)か、それともつくり物(フィクション)か?」というキャッチフレーズで世間の評判になっていました。その晩、ロンドンでの公演を終えたフェヴァーズにインタビューにやって来たのは、アメリカ人の若い新聞記者・ウォルサー。フェヴァーズはインタビューで、自分はトロイのヘレンのように白鳥の卵から孵ったのだと言います。実際、その肩の後ろには途方もなく大きな羽がありました。すっかり彼女とその数奇な物語に魅了されたウォルサーは、フェヴァーズの取材を続けるために彼女の所属するサーカスに道化として入り、巡業に同行することに。

これは「ワイズ・チルドレン」のような、猥雑なショービジネスの世界を舞台にした作品。物語の中心となっているフェヴァーズは、天使のような羽を持ってるんですけど、その実態は天使からは程遠くて... 実は相当の大女だし、言葉は下町訛り。大酒飲みだし下品だし、楽屋には臭いの染み付いた下着やストッキングが散乱。それを若い男性に見られても動じるどころか、逆に相手の反応を見て楽しむ始末。でも彼女の語る生い立ちの話は面白い! 道端に捨てられてるところを売春宿の女性に拾われて、そこで育てられたことや、やがて肩から翼が生えてくると、売春宿では勝利の女神ニケの彫像のように館の中に立つことになったこと。そしてその売春宿がなくなった後は、フリークスが集められた館へ。
第1部の「ロンドン」で語られるのはそんなフェヴァーズのこれまでの人生で、第2部の「ペテルブルク」になると、ウォルサーがフェヴァーズを追ってサーカスに入るので、2人の関係を中心に話が展開すると思ったんですが... どうもちょっと違ったみたい。確かにフェヴァーズは常に中心にいるんですけどね。最後まで読んだ時に浮かび上がってきたのは、様々なフリークスたちの存在。そんな人々の存在がグロテスクでありながらも、幻想的で美しい情景になってました。
でも、「ワイズ・チルドレン」の面白さには及ばなかった気もするのだけど、これもとても良かったです。特に第1部が一番面白かったな。(国書刊行会)


+既読のアンジェラ・カーター作品の感想+
「ワイズ・チルドレン」アンジェラ・カーター
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