「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック

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これはカレル・チャペックが故郷であるチェコスロヴァキアについて書いた本。以前「イギリスだより」「スペイン旅行記」を読んだ時に(感想)、これも一緒に読むはずだったんですけど、イギリスやスペインに比べてチェコスロヴァキアの場合、地名を知らなさ過ぎて... どうも頭を素通りしてしまうので、ちょっと寝かせておいた本。ただ寝かせておいても地名に関する知識は全然増えてないんですけど(笑)、今回は前回に比べれば頭に入りやすかったかな。他の旅行記同様、雑誌や新聞に掲載されていた文章を1冊にまとめたものです。チャペックの死後70年経っているというのに(書かれたのがいつなのか知らないんですが、実質的には90年ぐらい経ってるのかな?)、全く古さを感じさせないどころか今でもとても興味深く読めるのは、他の著作と同様。
大抵はチェコスロヴァキアの牧歌的な風景が紹介されてるんですけど(外国人観光客の見分け方とか面白いです)、ものすごく印象に残ってしまったのは、「プラハめぐり3 そこで暮らす人々」の中の「警察の手入れ」の章でした。あまりに悲惨な人々の生活ぶりは、衝撃的。部屋を開けた途端に襲ってくる恐ろしい悪臭の波。部屋の中にあるのはぼろの山と驚くほど沢山のごきぶり。そしてそのびっくりするほど汚いぼろの固まりの中には何人もの子供たちが重なり合いながら寝ているというんです。1つの賃貸住宅の各小部屋(どのぐらいの広さなんだろう?)には、年配の男女1組と6~10人の子供たちがいるというのが平均的。部屋によっては、1つの小部屋に2~3家族が住んでいたりします。貧乏だから子沢山なのか、それとも子沢山だから貧乏なのか、でも薄い羽根布団が1枚しかなくて、互いに身体を暖め合うしかない人々にとっては、それは必然的な結末なのかも...。綺麗事を言うのは簡単でも、それは全く状況の改善には繋がらないということはチャペックもよく分かっていて、それでもやはり文章で訴えずにいられない気持ちが伝わってきます。この文章が書かれてから随分な年月が経ってるはずだけど、今プラハの貧民街はどうなってるんだろう? 相変わらず同じような状況なのか、それとも強制的に追い出されたりしたのか、それとも...?
もちろん、そんな悲惨な話ばかりではないんですけどね。祖国のいいところも悪いところもひっくるめて、チャペックの暖かいまなざしが感じられる1冊です。(ちくま文庫)


+既読のカレル・チャペック作品の感想+
「ダーシェンカ」「チャペックの犬と猫のお話」「園芸家12ヶ月」カレル・チャペック
「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック
「ロボット」チャペック
「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック
「北欧の旅」カレル・チャペック

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