「後巷説百物語」京極夏彦

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与次郎が語ったのは、言い伝え通り恵比寿像の顔が赤くなった時、1つの島が滅んだという話。それを聞いて正馬と惣兵衛は非合理な話だと強く否定し、剣之進1人があり得ることだと反論。剣之進は実際にその話の証拠として「豊府紀聞巻四」を見つけてきます。しかしそれでも正馬と惣兵衛は、確かに恵比寿像の顔が赤くなった後に天変地異が起きたのかもしれないが、その2つの出来事の因果関係が証明されたわけではないと言うのです。結局4人は薬研堀のご隠居のところに話を聞いてもらいに行くことに... という「赤えいの魚(うお)」他、全6編の収められた短編集。

一体いつ以来...? の京極作品。京極堂のシリーズの方だって、あんなに夢中になってたのに、「宴の始末」辺りから気持ちが離れ始めて、結局「邪魅の雫」も読まなかったんですよねえ。でもこの作品はともっぺさんにとても良かったと教えていただいて、読んでみました。「続巷説~」がとても綺麗に閉じていてすごく良かったので、あれ以上一体何を書いたんだろう?って思ってたんですけど、ともっぺさんも読む前は似たようなことを感じてらしたのに、読んでみたらすごく良かった~と仰ってたので。
「憑き物」を落として人を正気に戻す京極堂シリーズに対して、こちらは「憑き物」を利用して人を正気に戻すシリーズ。でも時代は既に明治となっていて、今までの話とはまた趣向が違いました。百介はもうすっかり老人だし、文明開化の時代を生きる4人の若者たちが中心。

最初のうちは、それぞれに確かに面白いんだけど、同じパターンが続くなあ... って感じだったんです。でもね、最後の「風の神」が良かった! きっとこの部分を書きたかったんですね、京極さんは。「彼岸」と「此岸」に関する部分がしみじみと良かった。百介が又市たちと過ごしたのはほんの数年間のこと。その後又市たちは百介の前に姿を現さなくなって、百介自身は又市たちに見捨てられてしまったように感じてるんですが、でもそれはきっと本当は全然違うんですね。大きな愛情が感じられるなあ。もしかすると又市たちにとって、百介は最後の良心だったのかも。江戸から明治へと移り変わった時代の中で、最早妖怪に用などなくなってしまったというのは、どうも寂しいんですが、やっぱりこの境目の時期だからこその話だったんだなあ。(なんて言ったら京極堂のシリーズはどうなんだ?なんですが)
あ、京極堂のシリーズに直接繋がる人物も複数登場してました。結局のところ、全部そっちに流れ込むってことなのね。(笑) (角川文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「巷説百物語」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「続巷説百物語」京極夏彦
「後巷説百物語」京極夏彦

+既読の京極夏彦作品の感想+
「百器徒然袋-風」京極夏彦
Livreに、これ以前の作品の感想があります

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Commentaires(3)

結局のところ、全部そっちに流れ込む。笑
まさにまさに。
でも、こんだけ綺麗にぴたりと揃うだなんて、京極さんの頭の中はどうなってんだ!、と思いました。笑
最初っから、こうするつもりで書かれていたのでしょうか??

京極堂本シリーズの宴の支度、始末は確かにちょっと辛かったかも~。
でも、新作、「邪魅の雫」は話自体も割とシンプルで、気分的にはなんだかシリーズ最初の頃に戻ったようで、私は面白く読みましたよ。
もし機会がありましたら、こちらも(誘惑。笑)。
関口と益田が活躍します♪

四季さん、連投すみません。汗
私、間違って、「前巷説」の方のトラバを付けてしまいました。
文庫だし、「風の神」の話ですものね、これは「後」の方ですよね~。
でも、「前」も良かったですよ。
文庫化されたら、私も購入しようと思っています♪

ほんと、京極さんの頭の中はどうなってるんでしょうねー。
京極堂のあのシリーズだって、時間的には結構短い間の出来事が続いているし
あのシリーズの事件や人間関係だけでも十分複雑に絡み合ってるというのに、
そこにこの重なり具合。ほんとものすごいことになってきてますよね。
一体いつ頃、この巷説シリーズの構想が浮かんだのかな? 結構早い時期なのかな?
きっと年代表とか人物相関図とか、立派なのがあるんでしょうね~。
これが京極さんでなかったら、きっとどこかに破綻が出てきてますよね。(笑)

「前」のトラバもありがとうございます。
そうですねえ、「前」を読むとしたら、それこそまた文庫になった時かな。
もしかしたら私、京極堂のシリーズよりもこっちの方が好きなのかもしれません~。

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